🔴【第1話から読む】建築士の夫に“タダで図面を見てほしい”→ママ友の【お願い】非常識?|他人の夫をタダ働きさせるママ友
藤川の言動に積み重なる違和感を自覚した真帆。夫・恒一に相談し、図面確認の依頼を断る決断をする。丁寧に理由を伝えたものの、藤川の反応はどこか引っかかるものだった。小さなすれ違いが、やがて大きな波紋へと変わり始める。
断るべきか、受けるべきか
家に帰ってからも、私はずっと考えていた。
──「旦那さん、建築士でしょ?この図面ちょっと見てもらえない?」
藤川さんの言葉が、何度も頭の中をよぎる。
リビングでは、悠真がランドセルを放り出してゲームの準備をしていた。
「陽翔くん、今日さ〜」
嬉しそうに話し始める。
「算数の時間に、先生に当てられてさ」
「うん」
「陽翔くんが先に答え言っちゃってさ〜」
楽しそうに笑う息子の顔を見ながら、私は胸の奥が重くなるのを感じた。
悠真と陽翔くんは仲がいい。
幼稚園の頃からの友達で、今でもよく一緒に遊んでいる。
もし私が藤川さんのお願いを断ったら、その関係に影響は出ないだろうか。
「……」
頭の中で、ぐるぐる考えてしまう。
でも、やっぱり気になる。
図面を見てほしいって、つまり仕事の相談だ。
恒一は普段、建築事務所で働いている。
図面のチェックだって、本来は仕事として報酬をもらってやることのはずだ。
それを──
“ちょっと見てほしい”
そんな軽い感じで頼まれるのは、やっぱり違う気がする。
夫の答えと、見えた境界線
「ただいま」
玄関のドアが開く音がした。恒一が帰ってきた。
私はキッチンから顔を出す。
「おかえり」
「ただいま」
ネクタイをゆるめながら、恒一はリビングに入ってくる。
「今日、PTAだった?」
「うん」
私は少し迷ってから言った。
「ねえ、ちょっと相談していい?」
「どうした?」
夕飯を食べながら、私は今日の出来事を話した。
藤川さんのこと。
リフォームのこと。
そして、図面を見てほしいと頼まれたこと。
話し終えると、恒一は少し考えるように箸を止めた。
「図面か」
「……うん」
「スマホで見せられただけ?」
「そう。業者の図面みたい」
恒一は少し苦笑した。
「うーん……」
「やっぱり、変かな?」
私が聞くと、恒一はゆっくり首を振った。
「変っていうより」
言葉を選ぶように続ける。
「ちゃんとした相談なら、業者と直接話した方がいいと思う」
「やっぱり、そうだよね」
「僕が図面を見ても、実際の構造とか現場の状況までは分からないし」
確かに、そうだ。
図面だけで判断できることには限界があるはずだ。
「それに」
恒一は少しだけ笑った。
「責任も持てないからね」
「責任?」
「もし『大丈夫ですよ』って言って、後で問題が出たら困るでしょ?」
「あ……」
そこまで考えていなかった。
「だから」
恒一は穏やかに言った。
「僕と話すより、リフォーム業者とちゃんと相談した方がいいと思う」
その言葉を聞いて、胸のつかえが少し取れた気がした。
やっぱり、そうだよね。
私はゆっくりうなずく。
「じゃあ、そのまま伝えてもいいかな」
「うん。全然いいと思うよ」
恒一はあっさり言った。
「無理して引き受ける必要ないよ」
その言葉に、ほっとする。
見え始めた本性
次の日。
私は思い切って藤川さんに連絡をした。
《昨日の図面の件なんだけど》
すぐに既読がつく。
《うんうん!》
藤川さんから明るい返信が来た。
《恒一に聞いてみたんだけど、図面だけだと分からないことも多いみたいで》
私は慎重に言葉を選びながら打つ。
《業者さんと直接相談した方がいいと思うって言ってた》
少しだけ、間が空いた。
そして。
《えー》
短い返信。
私は続けて送る。
《責任も持てないから、軽くアドバイスするのも難しいみたいで》
《ごめんね》
画面を見つめながら、心臓が少しドキドキする。
しばらくして、藤川さんから返信が来た。
《そっか》
《忙しいもんね》
文字だけ見ると、普通の返事だった。
でも、いつもついているスタンプや絵文字は一切ない。
明らかに怒らせたと感じた。
思えば、今までも藤川さんは
「〇〇ちゃんのパパが車の整備士だから愛車のチェックをしてもらった」とか
「〇〇くんのパパがパティシエだからレシピ送ってもらっちゃった」とか
よその家の家族のスキルを当たり前のようにタダで使わせてもらったような言動をしていた。
今回も当たり前に「タダで」うちの夫のスキルを借りられると思ったのかもしれない。
そしてこのときは、この図々しいお願いを断ったあとにどうなるか、まだ予想できていませんでした。
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あとがき:「断ること」で見える本音
勇気を出して断ることは、ときに相手の本音を浮き彫りにします。真帆は誠実に理由を伝えましたが、それでも藤川の中には納得できない思いが残っていました。表面上は穏やかでも、心の中では違う感情が動いている──それは人間関係の難しさでもあります。小さな違和感は、やがて確かなズレへと変わり始めました。この後、2人の関係はどのように変化していくのでしょうか。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










