婚活中の紀子。アプリで、親友・優菜の夫である「博嗣」を発見し、彼から「いいね」をされる。真実を伝えようと優菜を呼び出すが、そこで彼女から「妊娠報告」をうけ…。
婚活中に起きた衝撃のできごと
私は、紀子(28歳)、絶賛婚活中の身だ。
「いい人いないかなあ」なんて言いながら、スマホ画面をスワイプする毎日。正直、少しつかれ気味だった。でも、そんな私の指が、あるプロフィール写真でピタッと止まった。
「……え? ウソでしょ?」
画面にうつっていたのは、優菜のご主人の博嗣さん。
優菜は、私の大学時代からの親友で、2人は一昨年結婚したばかりだ。博嗣さんはやさしくて、優菜のことをいつもいちばんに考えている「理想の夫」のはずだった。
だが、その写真は…まちがいなく、「博嗣さん」本人。
2人の家でくらしている愛犬がうつっていただけでなく、ガッツリとキメ顔をした本人の写真も…。
(博嗣さん…なにやってるの?)
混乱する私に追い打ちをかけるように、画面には「あなたに「いいね!」されました」の文字。 博嗣さんの方から、私にアプローチがきていたのだ。
私が優菜の親友だとは、気づいていないのだろう。登録名は本名じゃないし、私も婚活用の雰囲気写真を使っていたから、気づかなくてもおかしくはなかった。
友人に真実を告げようと思ったが
私は優菜を食事にさそった。
「ちゃんと伝えて…博嗣さんに目を覚ましてもらわなきゃ。子どもができる前なら、まだやり直せるかもしれない」
そう決意し、カフェで彼女をまった。
「紀子〜おまたせ! ごめんね、最近ちょっと体がおもくて」
現れた優菜は、どこか顔色が優れないものの、しあわせそうに微笑んでいる。
「実はね〜紀子にいちばんに報告したかったんだ!……私ね、赤ちゃんができたの!」
「え……」
お祝いの言葉が…のどのおくでつかえてしまった。
友人のしあわせをこわすことができなかった
優菜の顔は、希望にみちあふれている。
つわりが始まっているのか、時折、くるしそうにしながらも、おなかをさする手はとてもやさしかった。
「博嗣さんもすごくよろこんでくれて…これからは僕がもっとしっかりして、2人を支えるからって…。本当に、彼と結婚してよかった」
そんな彼女に、「ご主人がマッチングアプリで私に"いいね"してきたよ」なんて、言えるはずがない。
(もし今、真実を伝えたら…彼女のしあわせも、おなかの赤ちゃんの平穏も…すべてこわれてしまう)
「おめでとう、優菜……。本当によかったね」
私はそう言うのがせいいっぱいだった。
そして、そんな博嗣さんからの通知を知らせるスマホが、バッグの中でちいさくふるえていた。
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あとがき:理想のうらがわに潜むワナ
信じていた日常が、ある日突然、くずれさる……。そんな背筋の凍るような経験、「もし自分だったら」と想像せずにはいられません。
しあわせの絶頂にいる親友を前に、残酷な真実を飲み込んだ紀子。葛藤に胸が締め付けられる思いですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










