1. トップ
  2. トレンド・イベント
  3. ブログ・SNS
  4. 「ダメ」だけじゃ届かない…息子が抱えていた“怖さ”の正体|息子がいじめる側になった話

「ダメ」だけじゃ届かない…息子が抱えていた“怖さ”の正体|息子がいじめる側になった話

「だって翔くんもやってたし」──児童館での出来事をきっかけに、息子・悠真の変化に戸惑う母・真帆。過去を振り返ると、いじめられていたはずの悠真が「仲良くなった」と語り始めてから、言動に違和感が現れていたことに気づく。なぜ同調してしまうのか。その理由を問いかけたとき、悠真の口から出てきたのは、思いもよらない本音だった。「息子がいじめる側になった話」第三話をごらんください。

🔴【第1話から読む】いじめの加害者は自分の息子!「まさか、うちの子が?」

児童館での言動をきっかけに、悠真が翔に同調していることを知った真帆。過去には翔からのいじめに悩んでいたにもかかわらず、「仲良くなった」と語るようになって以降、言葉遣いに変化が見られていた。そんな経緯を踏まえ、改めて悠真に向き合う中で、その行動の裏にある理由を問いかける。

「ダメ」だけでは届かない違和感

叱る 男児 PIXTA

「悠真、それはダメだよ」

できるだけ落ち着いた声で、そう伝えた。

さっきの話。
児童館での様子を聞いたあと、私は改めて悠真に向き合っていた。
悠真は少しだけうつむいて、「……うん」と小さく頷く。
その表情には、反省の色も見える。でも同時に、どこか納得しきれていないような、そんな曖昧さも残っていた。

「お友だちに強い言い方したり、無視したりするのは、よくないことだよ」

言葉を選びながら、ゆっくりと伝える。
悠真は黙ったまま聞いている。
けれど、何か言いたそうに、ちらちらとこちらを見ているのがわかった。

「……どうして、そうしちゃったの?」

私は少し間を置いてから、そう問いかけた。

「翔くんがやってたから、って言ってたよね?」

「……うん」

「でも、それだけじゃないよね?」

その瞬間、悠真の表情が、わずかに揺れた。

「やられる側になりたくなかった」本音

男児 反省 PIXTA

「……だって」

ぽつりと、言葉がこぼれる。

「同じことしなかったり、一緒にしてないと……」

言い淀みながら、続ける。

「仲間にしないからって言われるし……」

その声は、さっきまでとは違っていた。
少しだけ早口で、どこか焦っているような。

「それで……蹴られたりもするし……」

「……え?」

思わず、聞き返してしまう。
悠真は顔を上げないまま、言葉を重ねた。

「言葉でも、喧嘩でも……勝てないし!」

その一言に、胸が強く締めつけられる。
必死に、何かを守ろうとしているような声だった。

「だから……一緒にやるしかなくて……」

最後の方は、ほとんど聞き取れないくらい小さな声だった。

何も言えなかった。
ただ「ダメ」と伝えるだけでは足りなかったことに、ようやく気づく。

この子は、ただ真似していたわけじゃない。
そうしなければ、自分がやられる側になるかもしれない。
そう感じて、選んでしまった行動だった。

正しさと守ることの間で揺れる

葛藤 PIXTA

「……そうだったんだ」

やっとの思いで、それだけ言う。
頭の中が、ぐるぐると回っていた。
守りたかったはずのわが子が、今度は誰かを傷つける側に回っている。
でもその裏には、確かに“怖さ”があった。

その日は、それ以上うまく言葉をかけることができなかった。

「明日、またちゃんと話そうね」

そう言うのが精一杯だった。
悠真は「うん」と頷いたけれど、その顔には、まだ不安が残っているように見えた。

翌日。家事をしながらも、昨日の悠真の言葉が何度も頭をよぎる。

──仲間にしないからって言われるし
──蹴られたりもするし

あのときの表情。
あの声。
思い出すたびに、胸がざわつく。

「……どうしたらいいんだろう」

思わず、独り言がこぼれる。
翔くんのこと。その関係。

正直に言えば、翔くんのお母さんに相談することも考えた。
でも...顔が浮かぶ。

いつも感じのいい人で、会えば世間話もする。
お互いに子育ての大変さを話したこともある。
だからこそ、言い出しにくい。

「あなたの子が」と責めるようになってしまわないか。
関係が崩れてしまわないか。
そんな不安が、足を止める。

ふと、昨日のやり取りを思い出す。
悠真は、自分のことで精一杯だった。

怖かったこと。
嫌だったこと。

それをどうにか回避するために、必死だった。
だからこそ「ダメ」という言葉だけでは、届いていない。
正しさを伝えることと、守ること。
その両方を、どうやってやればいいのか、答えが見えない。

「……どう伝えればいいの……」

悠真にとって、本当に必要な言葉は何なのか。
考えても、考えても、はっきりとは浮かばなかった。
ただひとつわかるのは、今ここで、ちゃんと向き合わなければいけないということだけだった。

🔴【続きを読む】「やめなさい」だけでは変わらない…親として気づいた“本当に伝えるべきこと”|息子がいじめる側になった話

あとがき:“加害”の裏にあった、もうひとつの理由

子どもが誰かを傷つけてしまったとき、「やめなさい」と伝えることは大切です。しかしその行動の裏にある理由まで見なければ、本当の意味での解決にはつながりません。

本作では、“加害”の奥にある「恐怖」や「自己防衛」という側面を描いています。親として、正しさを伝えることと子どもを守ること。その両立の難しさに、どう向き合っていくのかを考える回です。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

🔴【全話読む】息子がいじめる側になった話

🔴【今読まれています】ペンで汚された筆箱と、折れた鉛筆…小1娘に嫌がらせしたのは誰?|小1の娘がいじめに遭いました

おすすめ記事

「小説」 についてもっと詳しく知る

本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

カテゴリー一覧

ブログ・SNSの人気記事