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「やめなさい」だけでは変わらない…親として気づいた“本当に伝えるべきこと”|息子がいじめる側になった話

翔への同調の裏にある“恐怖”を知り、ただ叱るだけでは届かないと気づいた母・真帆。それでも、学校や児童館でのトラブルは続き、どう関わればいいのか分からないまま悩みは深まっていく。そんな中、児童館で館長の森下さんに声をかけられた真帆は、思いがけない言葉を受け取ることに。「息子がいじめる側になった話」第四話をごらんください。

🔴【第1話から読む】いじめの加害者は自分の息子!「まさか、うちの子が?」

悠真がいじめに同調してしまう背景に、「仲間外れへの恐怖」や「身を守るための選択」があったことを知った真帆。正しさだけでは届かない現実に戸惑いながらも、どう伝えるべきか悩み続けていた。そんな中、変わらないトラブルに疲弊する日々の中で、児童館の森下さんに声をかけられる。

繰り返されるトラブルと、届かない言葉

ストレス 女性 PIXTA

「すみません、少しお時間いいですか?」

その言葉を聞くたびに、胸の奥が重くなるようになっていた。
学校の連絡帳。児童館での引き渡しのとき。あるいは、他の保護者との何気ない会話の中で

「最近、ちょっと言い方が強くて……」
「トラブルになりかけていて……」

悠真の名前が出るたびに、息が詰まりそうになる。
家でも、変わらなかった。

「だから違うって言ってるじゃん」
「ちゃんとやってよ」

何度注意しても、その言葉遣いは繰り返される。

「そういう言い方、やめようって言ったよね?」

強く言えば言うほど、悠真の表情は固くなっていく。
でも、引き下がることもできない。
どう接すればいいのか、わからなくなっていた。

「大丈夫ですか?」その一言に救われて

女性 涙 PIXTA

ある日の夕方。
いつものように児童館へ迎えに行くと、森下さんがこちらを見ていた。

「高瀬さん」

その声に、少しだけ身構えてしまう。
また何か言われるのではないか。
そんな思いが、頭をよぎる。

「少しだけ、お話できますか?」

穏やかな声だった。
でも、どこか違う。
これまでのような張り詰めた空気は、そこにはなかった。

「……大丈夫ですか?」

最初にかけられたのは、そんな言葉だった。

「え……?」

思わず、間の抜けた声が出る。

「最近、少しお疲れのように見えて」

静かに、そう言われた。
その一言が、胸にじんわりと広がる。

「あ……」

言葉が出てこない。
気づけば、目の奥が熱くなっていた。

「すみません……」

思わず、そんな言葉がこぼれる。
何に対して謝っているのか、自分でもわからないまま。

「謝らなくて大丈夫ですよ」

森下さんは、やわらかくそう言った。

「……実は」

気づけば、私は話していた。
悠真から聞いたこと。翔くんとの関係。一緒にやらないと仲間外れにされるかもしれないという不安。
言葉にしながら、自分の中でも整理されていく。

「だからといって、他の子に意地悪をしていい理由にはならないって、わかってるんですけど……」

最後の方は、ほとんど独り言のようだった。
森下さんは、静かに頷きながら聞いてくれていた。

「難しいですよね」

ぽつりと、そう言った。

「その場で浮かないようにするために、周りに合わせてしまう気持ち」

否定されるでもなく、ただ受け止められる。
それだけで、少しだけ肩の力が抜けた。

「大人でも、ありますから」

その言葉に、はっとした。

「どうなりたいか」を選ぶということ

先生 母 PIXTA

確かに、そうかもしれない。
場の空気を読んで、言葉を選んで、本当の気持ちとは違う行動を取ることだってある。

「ただ」

森下さんは、少しだけ間を置いた。

「その先で、どうするかは別の話なんです」

「……どうするか?」

「誰の側に立つのか。どう振る舞うのか」

ゆっくりと、言葉を紡ぐ。

「それは、その子自身が決めていくことになります」

その言葉は、厳しいものではなかった。
でも、まっすぐに届いてくる。

「周りに合わせてしまうこと自体を、完全にやめさせるのは難しいかもしれません」

「……はい」

「でも、その中で“どうありたいか”を考えることはできると思うんです」

その言葉を聞いたとき、胸の奥で何かがほどけた気がした。

私はずっと「やめさせなきゃ」と思っていた。

同じことをしないように。
悪いことをしないように。

でも──それだけじゃなかったのかもしれない。

「どう振る舞うか」
「どうなりたいか」

それを、悠真自身が考えていくこと。

「……私、ずっと“やめなさい”しか言えてなかったかもしれません」

小さくそう呟くと、森下さんは穏やかに微笑んだ。

「気づけたことが、大きいと思いますよ」

帰り道。
悠真の手を引きながら、私は考えていた。
この子に、何を伝えるべきなのか。

ただ正しさを押しつけるんじゃなくて。
怖さから逃げるための選択だけでもなくて。

「どうしたいか」を、選べるように。
「どんなふうになりたいか」を、考えられるように。
そのために、私ができることは何か。

まだ答えははっきりしない。
でも、少しだけ、進む方向が見えた気がした。

🔴【続きを読む】怖くても選んだ一歩…息子が見せた“同調しない勇気”|息子がいじめる側になった話

あとがき:“やめさせる”から“選ばせる”へ

子どもの問題行動に直面したとき、「やめさせること」に意識が向きがちです。しかし本当に大切なのは、その行動の先にある“選択”に目を向けることかもしれません。

本作では、「同調をやめさせる」のではなく、「どう在りたいかを選ばせる」という視点の転換を描いています。親として何を伝えるべきか。そのヒントになる回です。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

🔴【全話読む】息子がいじめる側になった話

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