「ねえ、冴香さん。私、やっぱりそうちゃん無理だわー」
昼下がりの公園、ベンチでカフェラテを飲んでいた私の耳に、そんな言葉が飛び込んできました。声の主は、ここ半年ほど家族ぐるみで仲良くしているママ友の由美子ちゃんです。
私は一瞬、自分の耳を疑いました。
「えっ……? 無理って、何が?」
「いや、言葉の通り。もし私がそうちゃんの親だったら、絶対育てられないなって思っちゃって。悪い意味じゃないんだけど、本当に無理なの」
由美子ちゃんは悪びれる様子もなく、ストローをくわえながら笑っています。 ※1
愛する息子を拒絶された悲しみ
ある日を境に、突然ママ友・由美子から「ムリ」と言われるようになってしまいました。誰だって、わが子を否定されたら、悲しい気持ちになってしまうものです。しかも、そうちゃんは他の子に迷惑をかけたわけではありません。ただただ、元気に公園を走り回っているだけ。
由美子の3歳の娘・望ちゃんは、穏やかな性格でひとり遊びを好むタイプ。たしかに、そうちゃんとは真逆のような性格ですが、望ちゃんは激しいかんしゃく持ち。一度火がつくと、手が付けられません。ですがそのことを、冴香は口に出したことはありません。
もう限界…直接息子を傷つけたママ友
それからというもの、由美子ちゃんの態度は目に見えてエスカレートしていきました。 ある日、数人のママ友と一緒にキッズスペースで遊んでいた時のことです。
壮一が楽しそうに滑り台を滑り、着地した勢いで少し大きな声を出しました。「わーい!」という、子どもらしい歓声です。
すると、隣に座っていた由美子ちゃんが、あからさまに深い、深い溜息をついたのです。
「ちょっと、そうちゃん。うるさいよ。望がびっくりしちゃうでしょ」
由美子ちゃんは、私の息子に向かって直接、冷たい視線を向けました。壮一は一瞬きょとんとして動きを止め、私の方を不安そうに見てきました。
「あ、ごめんね。壮一、少し声が大きかったかな。次はもう少し静かに遊ぼうね」
私は慌てて壮一をフォローしましたが、心の中では(今の、そんなに怒ること?)という疑問が渦巻いていました。壮一は誰かを突き飛ばしたわけでも、順番を抜かしたわけでもありません。ただ、楽しく遊んでいただけなのです。
「ねえ、冴香さん。やっぱり私、無理だわ。あんなに落ち着きがないと、公共の場に連れてくるのも大変じゃない? 私なら恥ずかしくて無理かな」
他のママ友たちもいる前で、彼女はまた例の言葉を口にしました。周りの空気が一瞬で凍り付くのが分かりました。一人のママ友がフォローするように「男の子は元気なのが普通だよ」と言ってくれましたが、由美子ちゃんは首を振ります。
「普通かなあ? 望はあんなことしないし。しつけの差かな?」 ※2
由美子は、明らかに冴香とそうちゃんを傷つけようと発言しています。小さい子どもでも、言葉の意味がわからなくても、大人の雰囲気から嫌われていることが伝わるもの。
由美子は、なぜ冴香親子をターゲットにしているのかはわかりませんが、このままでは、そうちゃんにも悪影響が及んでしまいます。
無遠慮なママ友と「距離を置く」と決めた
その日の夜、私は仕事から帰宅した夫のハジメに、これまで溜め込んできた思いをすべて吐き出しました。
「……っていうことがあって。最近、会うたびに『そうちゃん無理』って言われるの。私の前だけじゃなくて、壮一に直接言ったりもするんだよ」
ハジメは夕飯を食べる手を止め、真剣な表情で私の話を聞いてくれました。彼は普段、穏やかで滅多に怒らない人ですが、話を聞き終えると、低く落ち着いた声でこう言いました。
「それは、いくらなんでも失礼すぎるな。冴香、よく今まで我慢してたね」
「やっぱり、そうだよね? 私の考えすぎじゃないよね」
「当たり前だよ。自分の価値観で他人の子を『無理』なんてジャッジして、それを親にぶつけるなんて、配慮がなさすぎる。例え心の中でどう思っていようが、口に出していいことと悪いことがあるよ」 ※3
夫の言う通りですね。いくら仲良しのママ友だとしても、言っていいことと悪いことがあります。「ムリ」と言われ、相手がどんな気持ちになるか、少し想像すればわかるはずです。
配慮が無い発言をする人や、明らかに傷つけようとしてくる人とは、距離を置くことがいちばんです。ママ友とは、所詮は「同じ年代の子どもを持つ親」というだけのつながりです。価値観が違うのは当然ですので、ムリに付き合う必要はありませんね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










