由美子の言動はエスカレートし、ついには壮一本人へ冷たい視線と「しつけの差」という言葉を向ける。公共の場で我が子を否定され、周囲の空気も凍り付く。冴香は、息子の存在そのものを傷つける彼女に強い不信感を抱く。
わが子に厳しく注意するママ友
それからというもの、由美子ちゃんの態度は目に見えてエスカレートしていきました。 ある日、数人のママ友と一緒にキッズスペースで遊んでいた時のことです。
壮一が楽しそうに滑り台を滑り、着地した勢いで少し大きな声を出しました。「わーい!」という、子どもらしい歓声です。
すると、隣に座っていた由美子ちゃんが、あからさまに深い、深い溜息をついたのです。
「ちょっと、そうちゃん。うるさいよ。望がびっくりしちゃうでしょ」
由美子ちゃんは、私の息子に向かって直接、冷たい視線を向けました。壮一は一瞬きょとんとして動きを止め、私の方を不安そうに見てきました。
「無理だわ」ママ友の言葉に空気が変わる
「あ、ごめんね。壮一、少し声が大きかったかな。次はもう少し静かに遊ぼうね」
私は慌てて壮一をフォローしましたが、心の中では(今の、そんなに怒ること?)という疑問が渦巻いていました。壮一は誰かを突き飛ばしたわけでも、順番を抜かしたわけでもありません。ただ、楽しく遊んでいただけなのです。
「ねえ、冴香さん。やっぱり私、無理だわ。あんなに落ち着きがないと、公共の場に連れてくるのも大変じゃない? 私なら恥ずかしくて無理かな」
他のママ友たちもいる前で、彼女はまた例の言葉を口にしました。周りの空気が一瞬で凍り付くのが分かりました。一人のママ友がフォローするように「男の子は元気なのが普通だよ」と言ってくれましたが、由美子ちゃんは首を振ります。
「普通かなあ? 望はあんなことしないし。しつけの差かな?」
人格そのものを否定された気分
「しつけの差」その言葉に、私の堪忍袋の緒がピリリと音を立てました。私は壮一が悪いことをすれば、しっかり叱ります。
危険なこと、人に迷惑をかけることには人一倍敏感に注意してきたつもりです。でも、彼が持って生まれた「活発さ」そのものを否定されるのは、私の人格、そして息子自身の存在を否定されているのと同じです。
何より許せなかったのは、それを壮一がいる場所で、本人に聞こえるように言うことです。 子どもは敏感です。大人が自分を嫌っていること、疎ましく思っていることを、言葉の意味が完全には分からなくても察知します。
その日の帰り道、トボトボと歩く壮一の小さな背中を見て、私は言いようのない申し訳なさと、由美子ちゃんに対する強い不信感で胸がいっぱいになりました。彼女は、親しき仲にも礼儀があるということを、知らないのでしょうか。それとも、あえて私を傷つけようとしているのでしょうか。
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あとがき:子どもの心に届く、大人のトゲ
子どもは大人が思う以上に敏感です。直接的な言葉の意味は分からずとも、向けられた「拒絶の空気」は確実に小さな心に影を落とします。由美子ちゃんの「しつけ」という言葉は、母親としての努力を全否定する最も残酷な武器。自分の子を物差しにして他人をジャッジする傲慢さが、二人の溝を決定的に広げました。トボトボと歩く壮一の背中を思うと、親として胸が締め付けられる思いがするエピソードです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










