私は、慎重にメッセージを打ちました。
『沙織、返信が遅くなってごめんね。実は、なかなか連絡できなかった理由があるんだ。今、二人目を妊娠していて、3か月目に入ったところなの。今回は前よりも悪阻がひどくて、毎日横になっている時間が多くて。慎吾の世話と家事でいっぱいいっぱいで、スマホを触るのもままならない状態なんだ。お祝いを早めてほしいって言ってくれたのに、応えられなくて本当に申し訳ない。
もう少し体調が落ち着くまで、ラインの返信も遅くなっちゃうと思う。2週間後のお祝いも、今の体調だと伺えるか分からなくて……。直前になってしまうかもしれないけど、また連絡させてもらってもいいかな?』
送信ボタンを押した後、どっと疲れが押し寄せました。 ※1
震えながら伝えた、本音
なるべく相手を傷つけないよう、自分の想いを相手に伝えるのは気疲れするものです。妊娠中の真理にとっては、なおさらだったことでしょう。
果たして、沙織の反応は?
怒らせた?親友の返信は…
それから数日、彼女から連絡がくることはありませんでした。既読はついていたので、怒らせてしまったか…そう思っていた矢先、突然連絡がきました。
恐る恐る画面を見ると、そこには沙織からの長文が届いていました。
『真理、本当にごめん。夫に真理の話したら、「お前、自分のことばっかりで真理さんの状況を考えてなさすぎる」ってすごく怒られた。それで、自分の気持ち整理するために、勝手に既読スルー状態にしててごめんね。夫から言われたこと、本当にその通りだと思った。私が舞い上がりすぎて、真理の優しさに甘えきってた。
妊娠3か月なんて、一番しんどい時期だよね。それなのに私、自分の暇つぶしに付き合わせようとして、何度も催促して……本当に最低なことをした。
ウェルカムボードの時も、今思えば真理は慎吾くんの育児で大変だったはずなのに、私、お礼もまともに言えてなかったよね。お祝いのことは気にしないで!今はゆっくり休んで。会えそうな時に、真理の方から連絡して。それまで私からはラインしないようにするから。本当に、自分勝手でごめんね。おなかの赤ちゃん、大事にしてね』 ※2
沙織からは、今までのことを反省し謝罪するとともに、真理の体を気遣う温かいメッセージも添えられていました。自分の非を認め、素直に謝ることができた沙織。これからは、本当の友人として関係を続けていくことができそうです。
その後、2人の関係は…。
「本当の友だち」とは?
以前のような、毎日べったりの関係ではないけれど。お互いの人生のフェーズが変わっても、形を変えながら続いていく関係。それこそが、30代からの「本当の友情」なのかもしれません。
「真理、顔色が良くなったね。もう悪阻、抜けてきた?」
仕事から帰った祥吾が、うれしそうに言いました。
「うん、少しずつね。……祥吾、あの時相談に乗ってくれてありがとう。一人で抱え込んでたら、きっと沙織との縁を切っちゃってたと思う」
「はは、僕はただ、真理がどうしたいか聞いた形を整えただけだよ。答えは自分の中にあったんだから」
私は、窓の外の柔らかな夕焼けを眺めました。沙織との距離感。自分自身の体。家族との時間。どれも、自分が大切に扱わなければ、簡単にれてしまうものばかり。
「……よし。今度は私から、お礼のラインしてみようかな」
私はスマホを手に取りました。でも、急ぐ必要はありません。私のペースで、私たちの距離で。
『沙織、お茶届いたよ。ありがとう。美味しくいただくね。体調が安定したら、またゆっくり会いましょう。楽しみにしてるよ。』
送信ボタンを押した指先は、以前よりもずっと軽やかでした。空は晴れ渡り、私の心も、おなかの中の命も、穏やかな春の風に包まれているようでした。 ※3
正直な気持ちを伝え合い、友人関係を修復することができました。伝える側も、そしてメッセージを受け取り反省した側も、勇気のいる行動だったと思います。
友人関係を続けていくために、ときには言いづらいことを伝えなければいけないことも。自分の気持ちを押し殺すのではなく、お互い素直になれたら、きっといい関係が築けるはずですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










