「でもね……離婚してからの方が大変かも…」
夏乃のスマホが机の上でブブッ、と震える。画面に表示されたのは「平治」の名前。
「今どこ?」
「大事な用があるから電話して。本当に大変なことになる話だから」
夏乃はメッセージを見ると大きくため息をつく。
「無視しなよ。着信拒否していいんだよ」
「それができないの……。お金のこととか、まだ話し合わなきゃいけないことが残ってて。それに、彼、今……」
夏乃が言い淀んだ理由は、後で知ることになるあまりにも理不尽な現状だった。 ※1
離婚後も、元妻に泣きつく情けない男
離婚が成立したあとは、赤の他人のはず。ですが、優しくて情に厚い夏乃は、元夫・平治のことを完全に捨てることができないようです。
生活能力がまったくない平治は夏乃に泣きつき、アパート代もスマホ代も払ってもらっているそうです。呆れてしまいますね…。
それでも夏乃は、自分のために一歩を踏み出そうとしていました。男友だち・佐藤くんからドライブに誘われ、気晴らしに行くことにしたそう。しかし、この報告を受けた直後、とんでもないメッセージが届きます…。
ドライブの件は、本人と親友しか知らないのに…
ところが。そのメッセージを送った直後、夏乃の元に平治から狂気じみたLINEが届いた。
「お前、土曜日に男と会うんだって? 」
夏乃は震える指で私に電話をかけてきた。
「ねえ、なんで……なんで平治が知ってるの? 佐藤くんと会うこと、祥子にしか言ってないのに!」
「嘘でしょ……? どこかで見てるってこと?」
「分からない。でも、インスタに不正ログインされたかも…それか、私のスマホに何か入れられているとか…」
平治からの追撃は止まらない。
「お前だって結婚してる時からそいつと浮気してたんだろ?写真撮って追い詰めるからな」
自分が浮気をして、会社をクビになり、借金を作り、離婚を突きつけられた男の言葉とは思えなかった。平治の中で、物語は「悲劇の夫」に書き換えられているようだった―――。 ※2
元夫の異様な執着心と行動に、恐怖を覚えます…。どうやら、離婚後の夏乃の行動を監視していたようです。自分のことは棚に上げ、夏乃に対して脅迫じみたことを告げる言動は異様です。
しかし夏乃は、「佐藤くんに危害が及ぶかもしれない」という理由でドライブを断ります。
このまま泣き寝入りするわけにはいかない
そして今、彼は「夏乃が自分以外の男と会うこと」に拒否反応を示し、異常な行動を取ろうとしている。夏乃はもう、あの男の妻ではないのに…。
「夏乃、あなたは浮気なんかしていなかったし、離婚後に佐藤くんと会うのは何も問題ないんだよ」
「でも、彼、何をしでかすか分からないよ。もし佐藤くんにまで被害がいったら……」
「うん。だからこそ今、専門家の手を借りないといけないと思う。何か起きてしまう前にね」
私は夏乃に、知り合いの弁護士を紹介することにした。
「夏乃が優しいから、彼は付け入るの。その優しさを、自分を守るための強さに変えて」
夏乃は小さく頷いた。その瞳には、恐怖の中にわずかな決意の光が宿っていた。 ※3
離婚をし、ようやく自由を手に入れたのに、このままでは離婚前と何も変わりません。元夫がしている行為は、立派なストーカー犯罪です。
離婚後も、異様に執着されるなんて、恐ろしいですね。優しさにつけ込む卑劣な手口、許せません。本当の自由を手に入れるため、夏乃は大きな一歩を踏み出しました。
ストーカー被害は、自分ひとりで対処するのはとても危険です。信頼できる友人や専門機関に相談することが大切です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










