2人目の出産、産まれてきた子は灰色で泣き声も聞こえず、一瞬で平静に戻りました。息子が「ママ!産まれたよ!女の子だって!」と言う声にも返事ができませんでした。
看護師さんは「お母さんの血圧が下がりません」と混乱していましたが、その声も遠くで聞こえるほど一言も話せない私たち夫婦…。
助産師さんは驚く様子もなく冷静に背中をさすっていて、ようやく小さな産声が聞こえたけれども、息子が産まれたときとも違う灰色の赤ちゃんを私はどう受け止めたら良いのか、と混乱していました。
そのとき息子が「赤ちゃんちっちゃいね、可愛いね、白いね」と言ったことは、今でも忘れません。
助産師さんが「これはタイシですよ。予定日超過で見られるのは珍しいけど、これがあると赤ちゃんはお腹の中の居心地が良くなるんだよ」と言ったときに、私もようやく少し冷静になれた気がします。
息子が支えてくれた出産
分娩中も産後も息子のおかげでどこか冷静になれたり、笑ってしまったりと多少なりともリラックスできたけれど、息子がしてくれたことはもっと大きなことでした。
分娩時緊急高血圧症のリスク
出産した翌日に助産師さんと院長先生が病室に来て分娩の経過について説明してくれました。
本来、妊娠中は血圧が少し上がる傾向にあるが、私は血圧が多少上がったものの低いままでした。そこから急に血圧が通常時の倍まで上がったことで、命の危険があったことを知らされました。
赤ちゃんが産道を下りる前に血圧が下がれば緊急帝王切開で母子ともに高い確率で無事に生まれるそうです。しかし私のようにお産がだいぶ進んで、もう産まれそうなときに血圧が上がると、私の意識がなくなった場合には赤ちゃんを自力で産むことができなくなってしまうらしいのです。
その場合は産道を切って赤ちゃんを助ける必要がありますが、陣痛開始から分娩までの時間が短かったために、私の体には大きな負担がかかって出血多量となっていました。
そこで更に手術となっていた場合、赤ちゃんは無事に取り上げられても私には命の危険があったそうです。
気づかないうちに支えてくれていた息子
院長先生は「意識を失わないでいてくれて良かった。お母さんよく頑張りましたね」と言ってくれて、私はやっと気づきました。
分娩中に息子が話しかけたり、私の頭のところに電車を置いてくれたことで、私はイライラしながらも意識を失わずにお産を終わらせられて、母子ともに無事でした。
まだ3歳になるかどうかの息子が子どもなりに私を励まそうと頑張ってくれたことにイライラしてしまうような情けない母親だけど、息子は献身的にずっとそばにいてくれました。
産後も支えてくれた息子
人生で初めての高血圧を経験し、退院後も薬を処方され、1ヶ月健診までに4度通院して血圧の管理をされました。
血圧計を購入し、自宅でも血圧を測り、高いときには薬を飲んで抑えますが、その薬が苦く、飲むたびにイライラしたりもしました。
それでも息子が「ママが好き(だ)から!」と毎日愛情を注いでくれたおかげで、私の心も落ち着いてきました。
息子がムードメーカー
まだ3歳、気分のムラもある息子ですが、息子が笑うとみんなが笑い、息子が泣くと、みんな息子の周りに集まって慰めています。
これからも小さな体と大きな存在感で我が家を支えてくれるだろう息子の優しさに感謝しながら、時にはケンカしながら、毎日を大切にしていこうと思います。










