子供の味覚を発達させる「うま味」ってなに?
うま味は、甘味・塩味・酸味・苦味といった人間が感じる基本的な味の一つで、グルタミン酸などの成分によって生じる味です。中でも、甘味・塩味・うま味の3つの味は、生きていく上で必要な栄養素を取り込むシグナルとなるもので、人が本能的に好む味と言われています。
さらに、母乳にうま味を生み出す成分の一つであるグルタミン酸が非常に多く含まれており、赤ちゃんにとってうま味はなじみ深い味でもあります。
そんなうま味は、子供の味覚を発達させる上で重要な役割も果たしています。好き嫌いをすることなく、食材本来の味わいや料理の複雑な味わいを楽しむことができるよう促進してくれるのです。
おいしいだけでなく、やさしく穏やかな素材のうま味を脳にすり込んであげることで、子供の味覚の発達を促すことにつながります。
うま味を複数組み合わせることで、さらにおいしいご飯が作れる
うま味を生じさせる成分は、グルタミン酸以外にもイノシン酸、グアニル酸といったものがあります。これらの成分を含む食材を組み合わせて調理をすることが大切です。うま味は単独で使うより、2つの物質を組み合わせることによって数倍にも増して美味しく感じられるのです。
グルタミン酸を含んでいる食材には、こんぶや豆腐、きな粉、納豆、チーズ、白菜、トマト、ブロッコリーなどがあり、イノシン酸を含んでいる食材には、ツナ缶や削り節、鶏肉、卵、赤身魚などがあります。これらのようなグルタミン酸やイノシン酸を含んでいる食材を組み合わせることで、さらにうま味を増すことができます。
うまく食材を組み合わせて、子供がよりおいしく感じられる料理を作りましょう。
化学調味料は、うま味を消し去る
化学調味料(うま味調味料)は、食品の味付けをするために使用される食品添加物です。
うま味を刺激するグルタミン酸などの物質を人工的に作ったものが、化学調味料。この人工的に作られた物質を料理に加えることによって、他のうま味が化学調味料の味に負けてしまいます。
化学調味料は料理を美味しく仕上げることはできますが、人工的なうま味が素材そのものの自然な味や、さまざまな食材の組み合わせによって生まれる複雑な味を全て消してしまい、味覚の発達を妨害してしまう恐れがあるのです。
化学調味料無添加などの表記がない限り、インスタント食品や顆粒(かりゅう)だしには化学調味料が含まれているので、注意が必要です。
うま味を刺激する食材を使った離乳食・幼児食レシピ
子供が好き嫌いすることなく食事を楽しんでもらえるように、ママは不安が尽きないですよね。うま味を刺激するグルタミン酸やイノシン酸などの物質を含んだ食材を使うことで、子供の味覚が発達していきます。
カミカミ期の離乳食から幼児食まで、うま味が含まれる食材を使ったレシピをご紹介してきます。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
ハンバーグの小松菜あん(離乳食:カミカミ期)
グルタミン酸を含む木綿豆腐とイノシン酸を含む削り節を使ったレシピです。うま味を組み合わせているだけでなく、ハンバーグにはすりおろしのニンジンが入っています。ニンジンが苦手というお子さんでも、すりおろしたをお肉と一緒に食べることができるので食べやすいレシピになっています。
また味つけに悩むハンバーグですが、削り節を使ったあんが優しい味に仕上げます。
材料(3食分)
- 豚ひき肉:40g
- 木綿豆腐:20g
- にんじん:20g
- 乾燥パン粉:小さじ1
- 小松菜の葉:10g
- 削り節:適量
- 水:大さじ4
- 水溶き片栗粉:適量
作り方
- ボウルに、豚ひき肉、木綿豆腐(水切り不要)、ニンジンのすりおろし、乾燥パン粉を入れてよく混ぜ、6等分して平たい円形に成形する
- 熱したフライパンで両面を焼く
- 小鍋に水とみじん切りしにした小松菜の葉を入れて、2分ほどゆでる。
- 一旦火を止め、削り節、水溶き片栗粉を加えて、とろみをつけてあんにする。
- 2でできたハンバーグを器に盛りつけ、4をかける。
豆乳寒天と野菜のおかか和え(離乳食:手づかみ期)
グルタミン酸を含むトマトとブロッコリー、イノシン酸を含む削り節を使ったレシピです。
寒天は、子供の噛む練習にもぴったりな食材です。このレシピ以外にも、きな粉と黒蜜をかけることで和菓子のような寒天に、メープルシロップをかけることでスイーツのような寒天にもなります。味付け次第ではオカズ以外にも色々なバリエーションで料理ができるので、ママに助かります。
材料(3〜4食分)
- ミニトマト:3個
- ブロッコリー:30g
- 無調整豆乳:100ml
- 粉寒天:小さじ1/2
- 水:大さじ3
- 醤油:小さじ1/2
- 削り節:適量
作り方
- 豆乳寒天を作るため、小鍋に水と粉寒天を入れて火にかけ煮溶かす。沸騰したら、30秒ほどそのまま沸騰させておく。
- 豆乳を人肌程度に温める。
- 温めた豆乳を溶かした寒天に加えて、よく混ぜる。
- 型に流し込み、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やしてかためる。
- ミニトマトと、やわらかくなるまでゆでたブロッコリーを、つまみやすい大きさに小さく切る。
- かたまった豆乳寒天を1cm角位に切る。
- ボウルに2、3、醤油、削り節を入れ、和える。
根菜のスープ(幼児食)
グルタミン酸を含むこんぶ水を使ったメニューです。こんぶには、母乳が多く含むグルタミン酸を含んでいるので、こんぶだしやこんぶ水は「ママの味がする魔法のお水」に。
そんなこんぶ水とたくさんの野菜を一緒に煮ることで、野菜にこんぶの味が染み渡り優しい味わいを楽しむことができます。
材料4〜5杯分)
- ジャガイモ(またはサツマイモ):150g
- 大根、ニンジン、レンコン:各100g
- タマネギ:100g
- オリーブオイル:大さじ1
- 酒(あれば白ワイン):大さじ1
- こんぶ水:800ml
- ローリエ(あれば):1枚
- 塩:小さじ2/3
作り方
- タマネギは薄切りにする。大根やニンジン、レンコンは食べやすい大きさに切る。薄切りでも、ごろっと大きめにカットしてもOK。ジャガイモは煮くずれしやすいので、他の材料よりも大きめに切る。
- 鍋にオリーブオイルを入れ、タマネギがしんなりするまで弱火で炒める。
- 酒を加え、中火にしてアルコールを飛ばす。
- 残りの野菜とこんぶ水、ローリエ、塩をくわえて、野菜がやわらかくなるまで煮る。
野菜とチーズのパンプディング(幼児食)
グルタミン酸を含むブロッコリー、ミニトマト、チーズとイノシン酸を含む卵を使ったメニューです。チーズ(グルタミン酸)と卵(イノシン酸)を組み合わせているので、ブロッコリーとトマトがない場合は余りものなど冷蔵庫にあるお野菜を使っても大丈夫。
こんがりと焼けたチーズの香りが子供の食欲をアップさせてくれるので、少食の子供もパクパク食べそうですね。
材料(2食分)
- 食パン(8枚切り):1枚
- ☆卵:1個
- ☆牛乳:100〜150ml
- ☆粉チーズ:大さじ1
- ☆塩;少々
- カボチャ:40g
- ブロッコリー:30g
- ミニトマト:2個
- とろけるチーズ:40〜50g
作り方
- カボチャとブロッコリーをゆでる。
- 1とミニトマトを食べやすい大きさに切る。
- ボウルに☆のついた材料4つを入れ、泡立て器などでよく混ぜる。
- グラタン皿などに3を流し込み、食パンをちぎりながら入れ、2の野菜をいろどりよく飾る。
- とろけるチーズをのせ、トースターやグリルで10〜15分焼く。途中表面がこげそうなときは、アルミホイルをかぶせる。
うま味を感じさせて、子供の味覚を育てよう!
ママにとって、子供の味覚が発達しいろいろな料理を楽しく食べてくれることはすごく嬉しいことですよね。うま味を刺激するグルタミン酸やイノシン酸などを含む食材を使った料理は、子供の味覚の発達をサポートします。子供が食事をより楽しむために、上手にうま味を組み合わせた料理を作っていきたいですね。
なお、山口真弓さんの書籍『子供のからだとこころが育つ!6歳までの食事のホント』には、うま味や化学調味料だけでなく食品添加物、白砂糖、油などが子供の体に与える影響についてもコンパクトにまとまっています。また、管理栄養士という資格を持ちながらも、毎日の子供の食事には頭を悩ませたという山口さんのこだわりとレシピは、ママの心強い味方となってくれそうです。
子供の食事の基本を学びたいママも、離乳食・幼児食レシピが気になるママも、食品選びに悩むママも、一度手にとってみてください。