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不妊治療と仕事の両立を考える人に知ってほしいこと

これから不妊治療を始めたいけれど、仕事と両立するのが大変そう。お金がかかる不妊治療だからこそ、できれば仕事を続けたい。でも何をどうしたら両立できるの?そう不安に思っている方もいるでしょう。残念ながら職場のサポートが万全とはいえないのが今の日本の状況です。そんな中でもなるべくストレスが減らせるように、自分にできることを考えてみませんか。今あるサポートをしっかり活用し、不妊治療と仕事の両立を目指していきましょう。

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9割が「不妊治療と仕事の両立は難しい」と回答

NPO法人Fine「仕事と治療の両立についてのアンケート」(2015年8月)によると、9割が「不妊治療と仕事の両立は難しい」と答えています。

同じNPO法人Fineの別のアンケートによると、体外受精1周期あたりにかかった平均金額は30万円~50万円、顕微授精になると50万円以上との結果に。治療にかかった総額となると、100万円~200万円という意見が最多でした。これだけの金額、もし仕事をしていても両立できなくなって辞めるとなると、貯金から捻出するしかありません。

治療費として直接病院に支払うお金以外に、交通費もかかります。妊娠しやすい体になりたいと考え、サプリメントや鍼灸、ヨガを始める方もいるかもしれません。お金はいくらあっても足りないくらいです。

不妊治療がきっかけで働き方を変えた人が4割以上

通院 PIXTA

また、不妊治療の通院日は、生理や排卵日など体の調子に合わせて決まります。ホルモン量を調整するための注射が頻回となれば、仕事を休む、あるいは遅刻や早退をせざるを得なくなります。

不妊はただでさえデリケートな話題。職場で治療中だとは言い出しにくく、周りに言えないまま治療を続ける人もいます。思い切って不妊治療中だと打ち明けたとしても、周囲の目が気になってしまうかもしれません。

冒頭でふれたアンケートでも、不妊治療を経て「勤務状況に何らかの変更があった」人は4割以上にのぼります。内訳としては約6割が「退職」、1.5割が「転職」、1.2割が「休職」、1割が「異動」という結果に。

働きながら不妊治療を続けることを断念せざるを得なかった人が6割もいるとは非常に残念な結果です。頻回な通院に対して理解してくれる上司や同僚に恵まれることはまれであり、まだまだ不妊治療に対しての理解が得られていない現状が浮かび上がってきます。

出典元:

不妊治療の経済的負担や仕事との両立を助ける制度

不妊治療費がかさむ要因の一つが、健康保険が適用されるものとされないものがあることです。

そもそも、健康保険は「病気」に対して適用されるものです。不妊そのものは病気とはみなされていないため、基本的には健康保険の適用外です。しかし、卵巣や卵管、精巣や精管など、体の機能に異常がある場合は「病気」とされ、健康保険が適用されます。

不妊の原因を探るための「一般不妊検査」や「タイミング法」までは、ほとんどが保険適用です。人工授精や体外受精など、「高度生殖医療」と呼ばれる高額な治療は保険適用外なのです。

特定不妊治療費助成制度

待合室 PIXTA

そこで、経済的負担を減らすために2004年から特定不妊治療費助成制度がスタートしました。対象となる治療は特定不妊治療、つまり体外受精と顕微授精です。

この2つの治療以外には妊娠の見込みがない、もしくは極めて可能性が少ないと診断された法律上の夫婦で、治療期間の初日に妻の年齢が43歳未満、それに加えて夫婦の合算所得が730万円未満である場合に助成金を受け取ることができます。

助成を受けるには指定の医療機関を利用していなければならない点は注意が必要です。こちらの制度は国が主導で行っていますが、自治体によって独自の制度や助成金の追加があります。まずはお住まいの自治体まで確認を。

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医療費控除の申請を忘れずに

医療費控除 PIXTA

医療費が1月から12月までの1年間で10万円(総所得金額等が年200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超えたとい、確定申告で医療費控除を申請することができます。

不妊治療にかかったお金も対象となるため、病院でもらった領収書は捨てずにとっておきましょう。世帯全員の医療費をまとめて申請できますので、パートナーの分も忘れずに。治療費はもちろん病院までの交通費も対象となります。

すべての医療費を合算し、もらった助成金を引いた金額、つまり実際にかかった金額で申告をすると、所得税と住民税が軽減される可能性があります。

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独自の助成金・休暇制度を設ける会社も

会社 PIXTA

さまざまな困難が待ち受ける、不妊治療と仕事の両立。一部ではあるものの、独自の助成や休暇制度を設ける企業もでてきました。

たとえば、サイバーエージェントでは月に1回不妊治療のための休暇を取ることができます。休暇を取る際に不妊、妊活という言葉を使わずに済むように「エフ休」という呼び方にしているとのこと。また専門家に月1回30分個別カウンセリングを受けられる「妊活コンシェル」の他、専門医による社内セミナーも開催されています。

トヨタ自動車では体外受精と顕微授精に対して上限5万円(初回のみ10万円)を補助してくれる制度があります。他にもオムロンでは「不妊治療休職制度」、パナソニックでは「チャイルドプラン休業制度」と、不妊治療のための休職を認める企業もでてきています。

政府は平成28年6月に閣議決定したニッポン1億総活躍プランの中で、不妊専門相談センターを平成31年度までに全都道府県・指定都市・中核市に配置して相談機能を強化し、不妊治療支援の充実を継続すると明記しています。少しずつではありますが、治療を支援しようという動きが広がっています。

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不妊治療費に備える医療保険が登場

生命保険 PIXTA

公的な健康保険や助成のほかにも、不妊治療費に備える方法があります。

2016年4月、不妊治療を保障する民間の医療保険「ChouChou!(シュシュ)」が日本生命から発売されました。がん・急性心筋梗塞・脳卒中と死亡に加え、不妊治療にも備えることのできる保険です。

加入してから2年間の不担保期間はあるものの、採卵、または胚移植1回につき、5万円を受け取ることができます。支払回数は最大12回まで、7回目からは1回につき10万円に金額がアップします。めでたく妊娠・出産をすれば、出産給付金も受け取ることができます。

また、不妊治療中は保険に新規加入できないなど、さまざまな制約があるもの。アイアル少額短期保険の「子宝エール」は不妊治療中の女性に向けた医療保険で、保険料が比較的リーズナブル。経済的負担がかさむ中、安心を得たい人には一つの選択肢になるかもしれません。

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上司や同僚とのコミュニケーションのコツ

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最初にご紹介したNPO法人Fineの「仕事と治療の両立についてのアンケート」によると、治療していることを職場に話しづらいと感じた人は約7割にものぼりました。

職場に打ち明けるか否かは、本人の意志はもちろん、周囲との関係性もありケースバイケースでしょう。打ち明けてつらい気持ちになる場合もあるでしょうし、理解やサポートを得られる可能性もあります。

ただ、どちらにしても治療中は頻回な通院のために遅刻や早退はやむをえません。仕事のカバーをお願いすることになるであろう上司や同僚とのコミュニケーションは重要です。「いつもありがとうございます」と感謝を伝え、自分に余裕があるときは同僚の仕事を手伝うなどの気遣いがあるとスムーズでしょう。

とはいえ、必要以上に恐縮することはありません。上司や同僚も、いつ病気や介護などの理由で休暇が必要になるのかわからないのです。その時は自分が支える側になるのですからお互い様。思いやりとマナーは忘れずに、周りに頼ってみましょう。

不妊治療へのサポートが今後広がることに期待

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体外受精で生まれる子供は年々増えており、日本産科婦人科学会の2014年調査によると、今や21人に1人となっています。有名人が不妊治療中であることを告白したり、ブログで治療内容を発信したりと、不妊治療に関する情報を目にする機会も増えているように思います。

ご紹介してきたように国や自治体、企業も動き出しており、不妊治療が特別なことではなくなるのも時間の問題といえます。「新たな家族を迎えたい」という自分の今の気持ちを大切に、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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