「保育園落ちた」今年もこのような声が聞かれる時期となりました
「0歳から子供を預けたい」と考える方は、妊娠中から保活を始める方も見られます。「できる限り育休を取って子育ても楽しみたい」と考える方の中には、2歳や3歳になる4月から保育所へ預けると決めている方も。
自治体によっても異なりますが、4月入園児の募集は前年10月頃から始まり、1月~2月頃自治体から通知が届く仕組みが大半です。
その中でも「家・職場・保育園」の動線が悪い保育園が当たったという方や、「待機児童登録」になったという方が悲痛な叫びをあげています。
保活中のママたちの声を無視していませんか?
妊娠・子育て・妊活中の女性向けアプリ「ママリ」ではこのような声がたくさん寄せられていました。
少子高齢化を解消するために、自治体によっては「子育て支援事業」と称しミルク代やおむつ代を補助する行政サービスの提供が増えています。子供を生み育てる環境はだんだんと整ってきたのに、「保育所の受け入れ人数が限られている」というのはとても大きな課題ですよね。
さらに、日本政府は2017年12月に「幼児教育無償化」を新しい政策に盛り込みました。世帯収入に応じて保育園・幼稚園の保育料を無償とすることが決まり、2019年4月から導入されることがアナウンスされています。
- 内閣府「新しい経済政策パッケージ(平成29年12月8日閣議決定) 第2章 人づくり革命 1.幼児教育の無償化」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf,2018年3月13日最終閲覧)
幼児教育無償化の内容とは…?
以下、政府が閣議決定した経済政策パッケージの「幼児教育・保育」に関する部分を抜粋しました。
・0~2歳児の保育は住民税非課税世帯は無償化(年収約250万円程度)
・3~5歳児の認可保育所・幼稚園・認定こども園は所得を問わず無償化。認可外施設は対象を検討
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国の政策で、幼児教育無償化が導入されることになりました。
しかし「無償化といっても、認可外保育所に預けているわが家は処遇が不透明」「正式導入されても、0~2歳児だから世帯収入面では対象外」という声も寄せられています。
幼児教育無償化の前にやるべきことがある
この閣議決定を受けて、保活経験者などで作られた「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会(以下めざす会)」は2018年2月26日に「幼児教育無償化の前に待機児童解消を求めること」を柱とした政策提言を公表しています。
これは、めざす会が「財源に限りがあるなかで無償化と待機児童解消のどちらを優先して欲しいか」という質問をSNSを通じた会員アンケートで募ったところ、8割近くの回答が「待機児童解消である」という意見だったことを受けての行動です。
政府は待機児童32万人を解消するための受け皿を作る事を目標に掲げていますが、民間シンクタンクの試算によると、待機児童は約88万人いるとして「待機児童解消のための目標設定値を再設定してほしい」との提案もしています。
- 朝日新聞デジタル「「無償化の前に待機児童解消を」 保活経験者が政策提言」(https://www.asahi.com/articles/ASL2V44S4L2VUTFK004.html,2018年3月4日最終閲覧)
- 希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会「#子育て政策聞いてみた」(http://hoikuen-hairitai.com/questionnaire/,2018年3月13日最終閲覧)
「幼児教育無償化」に対する、ママの声
育休中などの理由でこれから保活を始めなければいけないママ、ワーキングママや専業主婦など、さまざまな立場の方がこの「幼児教育無償化」に対する意見を出しています。
先にまとめた内容でお気づきになった方もいらっしゃると思いますが、「幼児教育無償化」といっても、全ての0歳~5歳児までの幼稚園・保育園に通っている子供が平等に無償で教育を受けられるとは限らない状況です。
中には共働き世帯でも、乳幼児にかかる保育料を捻出できるまでの収入がなく専業主婦になったママもいます。たくさんの声の中から二つの意見を紹介します。
更なる待機児童を生み出しそう
保育園が足りてるならともかく…と思ってしまいます。
待機児童がさらに増えるだけのような気がしてしまいます。
自治体によってかなり幅のある小児医療を国で所得制限なしで、せめて小学校卒業まで無償化してくれるとありがたいです。
働く主婦を増やす政策として、政府は配偶者控除の改正を行い、2018年1月より配偶者控除対象額が130万から150万に変更されました。
幼児教育無償化は「無償なら預けてパートしよう」と思う人が増えてくれるのでは、という考えにつながっていることが分かりますよね。しかし、子供の預け先がないのは変わらない。そういったところで悪循環が始まっています。
筆者が住む自治体では、子育て支援策の一環で所得制限はありますが、乳幼児医療に関して中学校卒業まで自治体が負担してくれます。自治体が設定している所得制限額がグレーゾーンの世帯では「世帯所得ではなく扶養家族の人数でも見てほしいなぁ」と考えることも。
保育環境の充実が先ではないでしょうか
まず園に入れられなければ意味のない話ですし…
保育士が足りていないことやお給料問題も解決していないのに無償化することで更に問題が出てきそうで不安しかありません。
無償化したところで保育をする財源はどこから??こんな国債だらけの国からお金は出るのか?
また保育士のお給料減ったりするんじゃないの?
私の地域でも園を減らして統合していく話が出ています。預け先が減っては元も子もありません。
また、無償化することで預けたい人が増え、更に待機児童が増える可能性もありますよね。
そういうことに対応は出来るのか??
するならそういうところを解決してからにしてほしいです。また、無償化して起こり得る問題をどう解決するかを明確にしてからしてほしいものです。
起こり得る解決策を掲示出来ないのなら政策は進めないでほしいですね。
子供の預け先には、幼稚園・こども園・保育園などさまざまな施設があります。その中で保育園は早朝から夜間帯まで保育対応をしなければいけないため、シフト制を組んでいることがあるようです。保育園では法律によって、子供の数に応じて配置しなければいけない保育士の人数が決まっています。保育士がいなければ、子供を受け入れることができないのです。
一方、幼稚園の先生が忙しくなるのは子供が帰宅してから。園舎の環境整備をするために残業をすることや家に持ち帰って仕事をすることもあるようです。この辺りは改善の動きが出ているようですが、残業や持ち帰り作業をしなければ終わらない程の業務量とすると、先生への負担が減らず結果的に園のクオリティを下げる結果にもなりますので、八方ふさがりですよね。
また、大学や短大で幼稚園教諭や保育士を養成する学部もありますが、保育施設側の新規採用が多いというわけではないようです。在職中の先生が退職しないため、新規採用は無しということも。また、園舎の老朽化や少子化のあおりを受けて規模縮小という保育施設も増えているので、なかなか新しい先生のなり手が増えないということもあります。
- 内閣府「新しい経済政策パッケージ(平成29年12月8日閣議決定) 第2章 人づくり革命 2.待機児童の解消」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf,2018年3月13日最終閲覧)
幼児教育無償化、あなたはどう感じますか?
幼児教育無償化とは言っても、待機児童が減らない状態の今であれば火に油を注ぐのでは…と気になってしまいますよね。処遇改善策を打ち出し、保育士の人員確保が成功したとしても、保育施設の老朽化・施設に対するキャパシティの問題など根本的な問題も待ち受けています。
それでいながら、少子高齢化対策・子育て支援策などがどんどん打ち出され、それを提供する側となる保育士や幼稚園教諭、自治体側は悲鳴をあげている状態。
極めつけに「働き方改革」。テレワークの推進、時短・フレックスに副業推進など。働きやすくなり子育てもしやすいけれど、子供が預けられないという大きな現実。子育て世代の20代~30代は一番不条理さを感じているのではないでしょうか。あなたは、この問題をどのように受け止めていますか?
単純に「待機児童問題」だけでは済まされないこの問題。負のループが大きくならないうちに、子育て世代が暮らしやすくなる政策を打ち出してほしいです。子供がのびのび育つ環境になるとよいですね。