留守番中9階から転落死。人ごとではない
2018年3月11日の午後1時半ごろ、埼玉県川口市の団地で3歳の女の子が倒れているのが発見されました。
警察は、ベランダからの転落死とみています。当時母親は仕事に出かけており父親は買い物で外出中でした。玄関は施錠してありましたが、ベランダの窓は開いていました。女の子の自宅のベランダは高さ約70センチの塀と、その上にある高さ約50センチのフェンスがありましたが、それを超えて落ちてしまった可能性があるそうです。
人ごとではないこの事件。1人にしなければ大丈夫、と思ってしまいがちですが、家事をしていたりトイレに行っていたりなど、ふと目を離したすきにベランダへ出てしまうということも考えられます。
また、ベランダの柵が高くても、踏み台のようなものがあれば3歳以下の子供たちでも乗り越えてしまう可能性が考えられます。
- 朝日新聞DEGITAL「3歳児、9階自宅から転落死か 1人で留守番中」(https://www.asahi.com/articles/ASL3C5WC6L3CUTNB010.html,2018年3月28日最終閲覧)
実際に起きうる転落事故、事例を紹介します
このような事故を耳にすると、とても悲しいですし人ごとではありませんよね。
暖かい季節は窓を開けっ放しにしている方も多くなってきていると思います。まだ小さいから上がれない、柵が高いから大丈夫、同じ部屋にいるから安心などと思っていても、意外な落とし穴があり事故につながる可能性も。
今回は、医療機関やデータバンクに寄せられた転落事故の事例を紹介します。
事例1
自宅マンション3階の窓より 15m下の道路に転落した。窓の横に足がかりになる物が置いてあった。保護者は同じ部屋にいたが、転落に気付かなかった。頭蓋内損傷、全身打撲などの重症を負った。
(医療機関ネットワーク、事故発生:平成 24 年5月、2歳、重症) ※1
事例2
子どもが網戸にもたれかかっていたところ、網戸が外れ 60~ 70cm 下の屋外へ転落した。泣き声を聞いた保護者が見に行くと、コンクリートの上に仰向けで倒れていた。CTにて骨折、出血等は見られず、頭部打撲で経過観察をし、帰宅した。
(医療機関ネットワーク、事故発生:平成 27 年8月、1歳、軽症) ※2
事例3
マンション4階のベランダから転落した疑い。家族が起床時に子どもがいないことに気づき家を出たら、エントランス付近で近所の人に保護されていた。外傷が あったため、救急要請したが、肘の剥離骨折、内臓損傷の疑いでICU管理となり、 18 日間の入院となった。
(医療機関ネットワーク、事故発生:平成 28 年 10 月、3歳、中等症) ※3
どの事例も、両親が家にいるにも関わらず起こった転落事故。どの事例もちょっと目を離したすきに起こってしまった事故なので、想像するだけでも怖いです。
特に事例3は就寝中に起こった事故。寝ている間にそんなことが起きてしまうなんて予想できないですよね。
事例1は窓の横に足がかりになるものがあり、事例2は網戸が外れてしまったというもので、ママとパパが想像しにくいアクシデントから事故が起きてしまった例。どちらも少しのあいだ見逃していたことがきっかけとなっている気がします。しかし、育児で忙しい場合なかなか細かなところまで気を配るのは難しいかもしれません。
気を付けていても何が起こるか分からないですし、子供たちはどんな行動をとるのか分からず頭を抱えてしまう問題です。
消費者庁からパパやママへ事故防止のポイントを紹介
万が一に備え、私たちはどのようなことを注意すればよいのでしょうか。
消費者庁によると、転落事故は子供がベランダや窓枠を乗り越えてしまう、網戸や柵が外れてしまう、大きな隙間からすり抜けてしまうことによって起こってしまうそうです。また、ベランダに出る機会が多い春~夏にかけて発生することが多いそう。
これらのことを踏まえ、消費者庁では注意する三つのポイントを提示しています。そのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.子供の行動を把握し、見守りを徹底する
- 開いている窓やベランダの出入り口を子供たちに近寄らせない工夫をする
- ベランダを遊び場にしない
- 子供だけを1人にしたまま外出しない
- 転落の危険性について理解できるようになったら、きちんと理解させる
子供たちの行動を理解しなるべくベランダに近寄らせない、1人にさせないようにするポイントです。
ベランダに近寄らせない、1人にさせないというのはとても重要なポイント。すでに皆さん実行しているかもしれませんが、転落の危険性についてきちんと理解させるというのも重要なポイントではないでしょうか。
小さな子供でもママの言葉をきちんと理解すようとする力が徐々についてきています。そのため、まだ早いかなと思っていても、きちんと言い聞かせることで事故防止につながるかもしれません。
2.子供の発達に応じ、日頃から転落防止の環境を整える
- 子供が1人でベランダに出ないよう、施錠する
- 窓やベランダの出入り口を人で開けられないようにストッパーなどを使い工夫する
- 窓の近くに足がかりになる家具を置かない
- ベランダの手すりの近くに足がかりになるものを置かない
ベランダや窓は法令によって高さが決まっていますが、近くに足がかりがあると子供たちは簡単に乗り越えてしまうもの。そのため、これらの点を徹底することで転落が防止できます。
特に窓へ近寄らせないというのは見逃しやすいポイントかもしれません。高い位置に窓があるから大丈夫と安心していても、窓の近くにソファーなど高いものがあると簡単に窓を乗り越えることができるので、定期的に家具の配置を考える必要がありますね。
いつも子供たちと過ごすママは見逃しやすい点もあるかもしれないので、パパや祖父母などほかの方にも見てもらうことにより一層対策が強化できるかと思います。
3.窓やベランダの手すり、網戸に劣化がないか定期的に点検する
- 窓や手すりの構成部分にがたつき、腐食、脱落がないか点検する
- 窓の網戸が外れたり、破れていないか点検する
- 窓のサッシが壊れていたり、鍵が壊れていないか点検する
転落事故と聞くと、足場になるものがないか、子供が乗り上げてしまうものがないかきちんと確認することに注目しがちですが、もともとある手すりや網戸が壊れてしまっていたら元も子もないですよね。
そのため、マンションであっても自宅であっても定期的に点検することが大切。手すりがあるから、網戸があるから安心という固定概念を払しょくし、きちんと確認することで子供たちだけでなく大人の事故も防ぐことができますね。
- 消費者庁「窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!」(http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_release_180314_0001.pdf,2018年3月28日最終閲覧)
転落事故は事前の対策が大切。家族皆で意識を高めよう
転落事故は最悪の事態になりかねない重要な問題です。
そのために、事前に対策をとっておくことはとても重要。できることはきちんとやっておきたいですよね。
また、これらの問題はママと子供たちだけではなく、家族全体の問題です。そのため、点検をする際はママだけでなく家族皆で行うことで、より意識が高まり子供たちも積極的に問題に向き合ってくれるかもしれません。
命に関わる転落事故。ぜひ、これをきっかけに家族皆で話し合ってみてはいかがでしょうか。