子供のベランダからの転落事故に注意!
時折ニュースなどで見かける子供のベランダ転落事故。高層階からの転落だけではなく、マスコミで報道されない事故も存在しています。詳しい事故件数は明らかにされていませんが、すべてあわせるとかなりの件数になるかもしれないという想像が容易にできるのではないでしょうか。
ベランダからの転落事故に関して、平成29年度東京都商品等安全対策協議会において、安全対策の検討がされました。ここからは、検討事項についてまとめていきます。
事故の傾向
東京都のくらしに関わる東京都の情報サイトによると、ベランダなどからの転落事故は2歳児が最も多く、次いで3~4歳児が多い傾向とのこと。10歳前後の年齢のお子さんでも転落事故は起きています。
また、性別で見ると女児よりも男児の方が事故を起こしてしまう傾向があり、2階からの転落が最多となっています。好奇心旺盛な年齢である乳幼児世代の多くが事故に遭っていることがわかりますね。
乳幼児と比べれば「高いところから落ちるとケガだけでは済まされない」ことがわかるであろう、10歳前後の子供にもそのリスクがあるのです。
この結果を見ると、2歳児の事故が多く、2階からの事故が発生しやすいということが分かりますが、「何階だから危険」「何歳だから危ない」などと結論付けることはできません。誰がどこにいても起こるかもしれない、と考えることが大切です。
転落事故が起こる背景
- 子供をベランダで遊ばせているとき
- ほんのわずかな時間、子供を部屋で留守番させているときに1人でベランダに出てしまった
- 家族などの見送りのためベランダに出た、ベランダから見える道路の車などを見るため手すりによじ登った
- 親が洗濯物を干しているときにベランダに出た、子供がお手伝いの一環として布団干しや取り込み作業をしていた
「目を離さないで」とは言っても、子供はベランダにつながる窓のカギを開ければ、ベランダへ行けることがわかっています。また、保護者の目があってもベランダによじ登ってしまうことや、大きく重い布団に巻き込まれて落ちてしまうというケースもあるようです。
事故につながりやすい状況
- 手すりのそばに足がかりとなるものが置かれている(子供がよじ登れてしまう)
- 手すりに大きな隙間がある(子供がすり抜けられる)
- 手すりの部品が緩んでいる、または部品の腐食が見られる(体重を少しかけただけで破損の可能性あり)
エアコンの室外機やベランダ菜園のプランター、日差し除けのラティスなど、登らないだろうとパパやママが思っていても子供はふとしたきっかけで登ってしまいます。
ベランダの柵の間隔が10cmあれば、子供の片手や片足は容易にすり抜けられます。格子状になっていれば、足や指をかけて登れます。樹脂製のプレートで覆われている柵でも、避難や防火用で壊れやすい構造になっている場合があります。
鉄線が入り強化対策がなされたガラスも、壊れないとは言い切れません。
子供のベランダ転落事故を防ぐポイントとは
まずは、自宅のベランダを確認してみましょう。「危ない」と思うポイントがあれば、早めに対応を。
今はベランダへ出ることがなかったとしても、その半年後にはママと一緒にベランダで遊ぶようになり、子供自身が「危ない場所」と思わなくなっているかもしれません。
パパやママが転落事故を防ぐポイントを把握し、事故を未然に防いでいきましょう。
1.子供の年齢、成長に配慮し、子供の行動を予測した安全対策を実施
- ベランダの出入り口には子供の手が届かない場所に「サッシ用補助錠」などをつけて2重ロックにする
- ベランダは遊び場にしない、洗濯物を干さないなど使用方法を改めて考える
- エアコンの室外機の設置位置を再検討し、危険だと思ったら位置を変える
昨日はじめてたっちできたのに、今日はもう数歩歩いている…というように、子供の成長は目覚ましいものがあります。
2~3歳になると「なぜなぜ?どうして?」の質問攻めに合うこともあれば、自分で解決するために驚くような行動に出ることも考えられます。年齢だけでなく、体や精神面での成長に合わせた安全対策をしていくことが大切です。子供から目を離さないことはもちろんですが、それだけでは不十分。
一番有益なのは、「二重ロック」です。主に防犯対策グッズとして販売されている補助錠を、子供の手が届かない場所に設置することが大切です。昨今のサッシ窓にはチャイルドロック機能がついているものもありますね。
ひなたぼっこ程度でもベランダを遊び場と位置付けないことも大切です。
2.定期的に手すりを点検
金属製の手すりは、経年劣化により腐食する可能性も。塗装が剥げているなどがあれば、管理組合や大家さんへ相談をすることも一案です。
また、手すりの溶接部位やボルトのゆるみなども時折確認しましょう。もしべランダに危険だと思われるところがあった場合、その修繕責任は誰にあるのかも確認しておきましょう。マンションやアパートだけではなく持ち家の方も同様です。
3.子供に繰り返し教える
「ベランダから落ちたらけがをする」という言葉はわかっていても、実際に高層階へ住んでいると見慣れてしまい、ベランダは怖い場所という認識が薄れてしまうことを指摘する声も出ています。
自分の目の高さが基準となってしまい、そこが地面であってもマンションの高層階であっても同じ立ち位置と感じてしまう感覚的なデメリットが生まれてしまうのだとか。
繰り返し、子供には「高さ感覚」や、「落ちたら危ない」ということを教えてあげましょう。
- SAIKEI.com(WEST)「子供の転落死多発、背景に「高所平気症」 高層階で生活…恐怖心育たぬケースも」(https://www.sankei.com/west/news/160413/wst1604130047-n1.html,2018年7月13日最終閲覧)
4.窓からの転落も注意
寝室や子供部屋などにベランダはないけれど、採光・換気用に窓があるという場合があります。その窓も同じく転落の可能性があります。
観音開き(両開き)の窓を開けたときに体がもっていかれるケースや、身を乗り出した結果バランスを崩し、転落するケースも考えられます。
防犯柵を設置することなどの対策を考えていきましょう。
小さな「危険」をなくしていきましょう
ベランダから落ちたら「けがだけでは済まない」というのは大人にとって当たり前の見解ですが、子供はなかなか「危ない」という認識が芽生えません。
そのため、小さな「危ない」をベランダの中で見つけたら、それを取り除くように工夫しましょう。ただし、ナーバスになる必要はありません。子供にも少しずつ危険回避の知識を身に着けさせ、成長したときに自分自身で対応できるようにさせてあげましょう。
2歳くらいまでは、子供をベランダに出入りさせない、もう少し大きくなったら「ママと一緒のときだけ」と約束させるなど、家庭でのルールを作っていくことも大切かもしれませんね。