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乳幼児に多い事故は、親が防げます。国民生活センターに寄せられた事案を紹介

子供は成長とともに知恵や好奇心が育ちます。できることが増えてくると事故のリスクも上昇。いたずらによる事故や誤飲など、ささいなことでも危険な場面に直結します。今回は、国民生活センターが注意喚起している乳幼児に関わる事故やトラブルの事例と共に、解決策や対応すべきことを紹介します。小さなものをつかめるようになった子供はもちろん、新生児の赤ちゃんを持つママもぜひ読んで、意識を持って頂ければと思います。

PIXTA

わが子の成長を書き出してみましょう

子育てをしていると「いつの間にかこれができている」「昨日はできなかったのに、今日はすんなりとできている」といった、何かしらの成長に気付くことがあります。

まずはメモ書き程度に「今、わが子ができること」を書き出してみませんか?寝返りができるようになった、素早くはいはいをするようになった、つかまり立ち、いすに座る、手づかみ食べやあんよなど…。

わが子ができることの多さに驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

新生児の赤ちゃんのママは「これからできるであろうこと」を書き出してみてください。

できることが増えると、リスクも上がります

コンセント PIXTA

では、先ほど書き出したメモを見ながら、これまでの子供の行動を振り返ってみてください。ママやパパがヒヤリとしたことや、冷静に振り返ってみてハッと気付いたことはありませんか?

「パパのゴルフボールをつかんで口に入れていた」「いすの脚を使ってつかまり立ちをしていたら、バランスを崩して倒れ下敷きになった」など、できる限り集めてみましょう。

まだ、新生児の赤ちゃんのママや「わが子が危ない思いをしたことがない」という方は、メモに書いた事柄から「隠されている危険」を予測しましょう。

例えば「つかまり立ちができそう」という状態であれば、「リビングの本棚は不安定でつかまり立ちをしたら危ない」というように、ママやパパが家の中や公園など、身近な場所で危ないと感じるところとすり合わせてみると良いですね。

このように危険予測も含めて書き出してみると、子供ができること以上に危険が潜んでいるかもしれないということに気付くことでしょう。

国民生活センターに寄せられた事例から、実際にあった事故を知ろう

「家の中ではママが四六時中一緒だから大丈夫」「わが子はいうことをきちんと聞いてくれる」という方でも、いつ、どこで、なにがあるか分かりません。

家に遊びに来た子供が、家の中での事故に巻き込まれる可能性も考えられます。ここからは国民生活センターに寄せられた、乳幼児の事故の事例をご紹介いたします。

いずれの事故も実際にあったできごとです。

歯磨き中の喉突き事故などに気を付けましょう

歯磨き PIXTA

小さなうちから、口腔衛生の概念をしつけることはとても大切。歯が生えてきたら歯磨きを教える親も増えてきました。

一方で歯ブラシを口にくわえたまま歩き、転倒と同時に口の中を傷つけてしまうという事故が報告されています。

6歳以下の子供に多い事故です

平成22年12月から平成28年12月末までに、6歳以下の事故情報が139件報告され、そのうち3歳以下で124件となっています。報告の中には、歯ブラシが口の中に刺さって入院するなどの事故も起きており、保護者の方は、注意が必要です。 ※1

私たちができる対策とは?

  • 保護者がそばで見守り、床に座らせて歯磨きをさせましょう(歯ブラシを持たせたまま歩かせないこと)
  • 子供用歯ブラシは、喉突き防止カバーが付いた安全なものを選ぶようにしましょう
  • 仕上げ用歯ブラシは、子供の手が届かない場所に保管しましょう
  • 歯ブラシだけの事故ではありません。箸やフォークなども同様に対策しましょう

こんろのグリル窓に触ってやけど!キッチンに潜む危険

魚焼き PIXTA

1歳前後の子供の身長は70~80cm前後。食事への関心も高まる時期です。つかまり立ちを始めると、視点が変わります。直立したときの目の高さには、シンクの天板や魚焼きグリル、コンロのボタンやツマミなどもたくさんありますよね。

また、後追いが長引いているということで、食事の支度中自分の足元には子供がいる状態、という方もいるかもしれません。

キッチンでの事故は、つかまり立ちやひとり歩きが始まった1歳前後の子供に集中しています。

魚焼きグリルの事故が増えています

魚焼きグリルのガラス面に触って左手の人差し指から小指までをやけどした。グリルは火を消した後だったが、余熱が残っていた。(当事者:1歳 女児)

グリルで魚を焼いているとき、子どもがつかまり立ちして、グリルの側面に手をついてしまった。グリルまで手が届くとは思っていなかった。(当事者:10カ月 男児) ※2

ここでは、「魚焼きグリル」の事故をクローズアップしましたが、ビルトインタイプの食器洗い乾燥機の蒸気噴き出し口や、ビルトインオーブン、シンク下収納の引き出しなども危険が潜んでいます。

私たちができる対策とは

最近の製品ではほぼ高温抑制がなされていますが、それでも熱さを感じないというわけではありません。魚焼きグリルを選ぶときには、高温抑制されたグリル窓を採用している製品を選びましょう。

食器洗い乾燥機などは予約機能を用いて子供が眠っている時間に利用できるよう設定する等の対策も必要ですね。

万一のやけどには応急手当が必要

  • すぐに水道などの流水で冷却する
  • 水ぶくれができた場合は破らないこと
  • 目安として硬貨大の水ぶくれができたやけどは即医療機関を受診。小さめのやけどであれば、落ち着いた後受診
  • 子供の月齢が小さいほど、やけどが深くなる可能性があることも覚えておくとよい

ドラム式洗濯機の事故が絶えません

洗濯機 amana images

洗濯物の出し入れが簡単、効率よく汚れ落としができるというような多機能性が人気のドラム式洗濯機。秘密基地遊びが好きな子供は、こういったドラム式洗濯機の内部も遊び場となります。

洗濯機は水漏れがないよう気密性が高く、ドアが閉まれば窒息の危険を伴います。内側からドアを開けることができない構造の機種もあるため、まずはご自宅のドラム式洗濯機の説明書を見直すことをおすすめします。

踏み台さえあれば、タテ型洗濯機でも同様のことが考えられます。

ドラム式洗濯機に7歳の男児が閉じ込められて死亡する事故が起きました。横向きにふたがついている「ドラム式洗濯機」は洗濯物の出し入れに便利な一方、子どもが自力でも簡単に中に入ることが出来ます。子どもは好奇心が旺盛で思わぬことをするので注意が必要です。 ※3

私たちができる対策とは

  • 洗濯機を使わないときはふたを閉めておき、チャイルドロック機能を利用
  • チャイルドロック機能がない機種では、子供が簡単に開けられないよう事故防止グッズなどを使用
  • 大人の話を理解できる年齢の子供には「息が苦しくなるから洗濯機には入らない」ことを言い聞かせておく

スーパーのショッピングカートも転倒の危険があります

ショッピングカート PIXTA

これは、つい先日筆者自身も痛い思いをしました。ペットボトル飲料を2ケース購入し、駐車場まで運ぶ途中段差にカートの車輪が引っかかり、筆者もろともカートごと前方へつんのめってしまったのです。

私はひざ下の打撲だけで済みましたが、これに子供が乗っていたら…と思うとぞっとするできごとでした。

スーパーマーケットのショッピングカートには子供用のいすが付いているものもあります。1歳前後の子供は手足が短く頭が大きいため、バランスを崩す可能性があります。また、落ち着きがない子供は立ち上がろうとすることも。

医療機関ネットワークには、店舗で子どもがショッピングカートから落ちてしまった、ショッピングカートに乗ったまま転倒してしまったなどの事例が多く寄せられ、頭部や顔面にけがを負ったり、なかには骨折や頭蓋(がい)内損傷などの重症事例も寄せられています。 ※4

実際の事例です

ショッピングセンターのカートに乗っていたところ、転落し後頭部を打撲した。すぐに泣き意識消失もなかった。その後吐き気があり自宅に帰っても吐き気が続くため受診したところ、頭部CTにて後頭蓋骨の急性硬膜外血腫を認め、救急搬送された。(2015年2月発生 1歳8カ月 女児 重症)

駐車場内で子ども用ショッピングカートから転落した。高さは約1m、下はコンクリート。すぐに啼泣(ていきゅう)あり、嘔気(おうき)・意識障害などはなし。右前額部に3cmの裂創あり。一部、骨膜が見えている。(2012年7月発生 3歳8カ月 女児 軽症)

母親と一緒にスーパーで買い物をしていて、一緒にレジ前で会計の順番待ちをしていた。本人はカートの下段に乗っていた。本人が揺らしたのか、ショッピングカートが転倒し、床へ転がった。右手親指にけがをしており、出血していたので、救急車で搬送。受診時、右手第1指は圧挫されており、開放骨折、爪は剥離していた。手術し、入院。(2012年11月発生 2歳6カ月 男児 中等症) ※5

私たちができる対策とは

  • 月齢に応じた子供乗せカートを利用する(ハイバックタイプのカートなど)
  • バックルなどをきちんと締め子供を固定する
  • 1歳前後の子供は、おんぶするなど子乗せカートに頼らない方法の選択も必要

商業施設の屋内遊戯場も気をつけるべきことがあります

ボールプール PIXTA

有料・無料問わずスーパーマーケットなどには子供向けの遊び場をそなえていることがあります。

お友だちと仲良く遊ぶことを教えるには良い場所ですが、有料制かつ管理された場所でも事故の危険性が潜んでいるようです。

遊び場での事故の事例です

【事例1】商業施設の中にあるキッズ用遊技場にある有料トランポリンで子どもを遊ばせていた。3×3mの四角い形で周囲にはネットが張られていた。遊んでいるうちにトランポリンの端の硬い部分に左肘をぶつけ、激しく泣いたので救急車を呼び病院で診察を受けたところ骨折しており、全治7週間と診断された。

【事例2】大型ショッピングセンター内にある有料の遊園地で5歳の息子を遊ばせていた。網状になっているトンネルのような遊具で遊んでいたところ、突然大きな泣き声がしたため息子を見ると、口を血だらけにしてうずくまっていた。歯医者に連れて行ったところ「前歯4本がグラグラになっているので抜歯した方がいい」と言われ、抜歯した。 ※6

私たちができる対策とは

  • 遊具には対象年齢を設けているものがあるため、遊ばせる前にチェック
  • 子供から目を離さないことも大切
  • 万一、事故が起こったら必ず事業者・管理者に連絡すること(事故後の対策を講じる必要があるため)

「危険予知」が大切です

家族 PIXTA

わが子の安全を守れるのは、身近な家族しかいません。子供は突拍子もないいたずらをすることがあります。一度、子供の目線で部屋の中を見回すとよいですね。

過保護になる必要はありませんが、感電事故など危険を伴う事故の可能性は家の中にもたくさん潜んでいます。使わないコンセントにはコンセントカバーをつけることなどの対策をしましょう。

独立行政法人 国民生活センターでは、「子供を守る最新情報」として、実際にあった事故の事例や家庭用品に潜む危険性などを紹介するメルマガが発行されています。リアルタイムの事故情報なども定期的に受信できるので、メールマガジンの登録をされてはいかがでしょうか。

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