直接的なダメージと間接的なダメージ
私たちは社会に所属し生きていく中で、家庭環境の条件、身体的な条件、そして才能や成績など様々な要因により大なり小なり傷つくことがあります。それは故意に直接的に受けるダメージだけではなく、相手にとってはそんなつもりはなかった・・というような悪意のない間接的なダメージの場合もあるでしょう。
もしも母子家庭となった場合、居住エリアや環境によって多少の違いはありますが、離婚家庭が珍しくはない現代、また多様性が認められつつある現代、一昔前のような、親が離婚をしている子供に対する学校内や保護者間内での偏見は少なくなってきているかと思います。
しかし他方で、親族間での遠慮のない私的感情が入るグループや集団の中では直接的なダメージ、間接的なダメージ共に注意が必要です。
パパへの非難は子供への非難と同じ
離婚の理由は様々ですが、相手への不満や不信が根幹として大きな場合が多いことでしょう。そういったママの負の感情がママの実家のご両親・兄弟姉妹や親戚たちへと伝わり、偏った情報の中で身内の肩を持ち、共感の気持ちがエスカレートして時には相手方(ママの身内であればパパのこと)を非難したり悪者にしたりしてしまうという事態にも。
そこで怖いのが、そのマイナスな言動は子供へも伝わっていくということです。子供へ直接的には言っていないから大丈夫ということはなく、周囲の大人のふとした言動から子供は敏感に感じ取ります。
子供にとってパパは特別な存在であり、また子供の体の半分はパパから受け継いだものですので、パパへの非難や悪口は子供自身を傷つけることにもなってしまいます。
適度なデトックスも配慮をもって
だからと言ってママ自身が心の中の苦しみを抱え込みすぎてしまい、精神的に不健康になってしまうのも困りもの。時には誰かに話を聞いてもらうことで心が軽くなったり、自分の思考の整理につながったりしますので、適度なデトックスをすることは大切です。
その場合、聞き手側が子供との接点があるような身内や近しい友人の場合には、子供の前ではパパの非難はしないよう配慮をお願いするようにしましょう。大事なことは、大人のいざこざに子供を巻き込まないということです。
立ち直りの力を育てるサポートを
いくら子供を周囲のダメージから守ろうとしても、間接的なダメージから守るには限界もあります。そんなとき大切なのは、「子供自身が自分で立ち直れる力を持っているか」ということです。
言い換えれば、折れない心を育てるサポートを親がどれだけできるのか。また、親自身が周囲に惑わされず、ブレない心で子供と関わっていくことも大事です。
子供が幼児の場合は、もしも直接的・間接的なダメージを受けた場合、「こんなことを言われた…」とママへ報告し、確認をしてくることもあるでしょう。
そんな時、ママからの「大丈夫だよ」という言葉がけと、愛情をたっぷり伝えることで子供は救われます。そしてそれが自己肯定感へとつながり、折れない心を形成していきます。親は子供の安全基地としてブレずにどんと構えましょう。
- Julie A. Ross+Judy Corcoran (著),青木聡、小田切紀子(訳)「離婚後の共同養育と面会交流実践ガイド」全ページ(北大路書房,2013)
- ヒューマン・ギルド「勇気づけ勉強会ELM講座テキスト」全ページ(ヒューマン・ギルド開発・非売品,2008)
さいごに
今回は、離婚に伴う周囲の言動で子供が受けうるダメージについて、フォロー方法も含めてご紹介しました。
離婚はしないに越したことはありません。しかし、時には離婚の二文字が頭をよぎることもあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、子どもにかかる負担について、少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
いわもと くみこ(離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ)
NPO法人日本家族問題相談連盟認定 夫婦問題・離婚カウンセラー資格取得。その後、子育てコーチングを学び、親の離婚が子に与える影響に焦点を置き、現在「一般社団法人りむすび 共同養育アシスタント」としても活動中。また、ヒューマン・ギルド認定 ELM勇気づけリーダーとしてママ向け体験学習講座も行っている。