幼児食で1日にとりたい食品と目安量
幼児食は、朝昼晩の3回の食事からとり、取り切れない分は1日1~2回のおやつ(補食)で補います。これはあくまでも目安のため、神経質にならず子供のペースに合わせましょう。
子供の機嫌によっては食べてくれないときもあるかもしれません。栄養は1回ごとの食事で無理にとらせる必要はなく、1日を通してトータルで摂取できれば大丈夫。日によって食べない場合も3~4日くらいの単位で様子を見ましょう。
子供にとっても大人にとっても食事が楽しい時間になるように、無理のない範囲で進めてください。幼児食を始めた子供が1日に取りたい食事量について、主食・主菜・副菜・その他に分けてお伝えします。
主食
主食とは、ごはん、パン、うどんなどの穀類のことで、目安量は1日270g~300g。食材の組み合わせ例は以下です。
- ごはん:子供用の茶碗1杯分(80〜100g)
- パン:8枚切り1枚
- ゆでうどん:1/3玉
ごはん、パン、うどんの組み合わせは自由。ご飯が好きな子供なら、3食ごはんでも構いません。子供に合わせた組み合わせで1日の合計が目安量になれば大丈夫です。
また、子供の食欲や機嫌に合わせて1食ごとの量は調整してOK。朝やお昼に食欲がないようなら、おやつに補食としておにぎりを食べさせるなど、工夫してみてくださいね。
主菜
主菜とは、肉や魚などメインとなる食材を使った料理のこと。1日の目安量は、肉類15~20g、魚類30g、大豆・豆製品35g、卵類25gです。食材の組み合わせ例は以下を参考にしてください。
- 肉類:赤身ひき肉大さじ1、または薄切り肉2/3枚
- 魚類:切り身大2/3切れ
- 大豆・豆製品:納豆20g、または豆腐1/5丁
- 卵類:鶏卵1/2個
肉や魚をあまり食べない子供には、たんぱく質が多いチーズや大豆・豆製品を多めに食べさせて栄養のバランスをとりましょう。
副菜
副菜とは野菜や海藻、イモ、果物を使った料理のこと。1日の目安量は、緑黄色野菜80g、淡色野菜80〜100g、イモ類30〜50g、海藻・キノコ類10g、果物100g。食材の組み合わせ例は以下です。
- 緑黄色野菜:ニンジン3cm、ホウレンソウ1/10束、ブロッコリー2房
- 淡色野菜:ハクサイ1/5枚、ダイコン2㎝、キュウリ1/5本
- イモ類:ジャガイモ1/2個、またはサツマイモ1/4本
- 海藻・キノコ類:シイタケ1枚、またはワカメ10g
- 果物:リンゴ1/2個、またはバナナ1と1/2本
3回の食事の中にこれだけの種類を含めたメニューを作るのはなかなか難しいと感じるママもいるかもしれませんね。おやつに蒸したサツマイモを食べさせるといった食事以外の時間を活用するのもおすすめです。
ワカメは乾燥タイプを使えばみそ汁にさっと入れられます。ブロッコリーやホウレンソウ、キノコ類は多めにゆでて冷凍保存しておくと使い勝手がよさそうです。
その他
その他の食材とは、牛乳やヨーグルト、チーズといった乳製品、植物油などを指します。1日の目安量は、牛乳・乳製品200g~300g、油脂類8g。食材の組み合わせ例は以下です。
- 牛乳・乳製品:牛乳200ml、ヨーグルト1/2個
- 油脂類:バター小さじ1、またはサラダ油小さじ1
牛乳やヨーグルトは食事に添えても、おやつとして食べさせてもOK。油脂類は1日で小さじ1杯にとどめたいため、調理で使いすぎないように注意しましょう。
- ベネッセコーポレーション「初めての幼児食」25(ベネッセコーポレーション,2011)
- NPO昭和「離乳食卒業からの幼児食の基本」(http://www.npo-showa.net/station/ship/letter/1106youjishoku_kihon.pdf,2019年12月15日最終閲覧)
- 味の素「食材の目安量」(https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/basic/ingredients_bunryou/,2019年12月25日最終閲覧)
幼児食を与えるときのポイント
幼児食を与えるときには、意識したいポイントがあります。調理法や取り分け時の注意点について知っておきましょう。
子供の成長に合った調理法を
この時期は子供が手づかみしやすい大きさに食材をカットしましょう。約1㎝角で約4㎝の長さのスティック状がおすすめ。
固さは、子供の前歯でかみ切れる、もしくは奥歯でつぶせる煮物や肉団子程度に。子供の咀嚼力に合わせて食材を選び、切り方や加熱時間を工夫するとよいですね。
薄味を心がけて
保育所の運営などをしているNPO昭和が作成した資料では、幼児食の味付けについて下記のように明記しています。
濃い味のものは味覚が育ちにくくなり、塩分の摂り過ぎは将来、生活習
慣病にむすびつきます。味付けは大人の1/3~1/2を心がけましょう。 ※1
幼児期は味を覚えていく時期。調味料はなるべく控えて、素材本来の「旨味」を味えるようにしましょう。
大人の食事と同じものを子供に食べさせたい場合は、薄味にしたものを子供用に取り分けた後で、大人向けの味付けにするとスムーズです。料理を作る手間を省くため、取り分けも積極的にやってみてくださいね。
遊び食べも成長の過程
ママパパにとって「遊び食べ」はイライラしてしまうものでしょう。しかし遊び食べは、実は子どもの成長にとって欠かせないものです。遊び食べをしながら子どもは発達していきますし、食事をするときのゆとりや自由さが子どもに「食事は楽しいもの」という感覚を与えます。
3歳ごろになると自然とおさまるので、新聞紙やシートなどを敷いて対処してくださいね。
食材を嫌がっても「キライ」な訳ではないかも
1歳半ごろに幼児食を始めると、イヤイヤ期にともなって「イヤ」と言うのが増えることがあります。しかし食材が「イヤ」なわけではないかもしれません。
子どもはパサパサしたもの、噛み切りにくい薄いもの、口の中で崩れて食べにくいもの、弾力のあるもの、固いもの、野菜の皮を食べるのが苦手です。あきらめずに食材の切り方や調理法を工夫して、子どもが食べやすいようにしてあげることが大切です。
生活リズムを整える
幼児食を始めた1歳半ごろには、1日の目安量をしっかりと食べられるように生活リズムを整えるようにすることもポイントの一つです。
早起きして朝ごはんを食べ、昼食・夕食に加えて午前と午後のおやつを食べるのが理想のリズム。3食と2回のおやつ・軽食を食べられる生活になれば、1歳半の食事量の目安に到達するでしょう。
楽しく食べられる食卓づくりを
家族みんなで食卓を囲み、同じものを食べる楽しみを知ると、子供は食事の時間がぐっと楽しく感じられるようになります。
幼児期は食べる量が安定しなかったり、好き嫌いが出てきたりと悩みの種がたくさんあると思いますが、焦る必要はありません。無理強いせず見守りましょう。
基本を押さえて幼児食を進めていきましょう
幼児食の食事量の目安と与え方のポイントを紹介しましたが、食事量はあくまでも例です。大人にも日やタイミングによって食欲が湧かないときがあるように、子供にも食べたくないときはあります。基本は押さえつつも一生懸命になりすぎずに、肩の力を抜いて進めていきましょう。
子供が少しでも食べられたときは大げさにほめてみるのもおすすめ。食事の時間が親子で楽しめるものになるように、コミュニケーションを大切にしていきましょう。
- ベネッセコーポレーション「初めての幼児食」32(ベネッセコーポレーション,2011)
- NPO昭和「離乳食卒業からの幼児食の基本」(http://www.npo-showa.net/station/ship/letter/1106youjishoku_kihon.pdf,2019年12月15日最終閲覧)
- 京都市「1歳半頃の子どもの食事ポイント」(http://kyo-syoku.net/education/幼児期/幼児の食事/3回食とおやつのリズム/,2019年12月15日最終閲覧)
- 川崎市宮前区役所地域みまもり支援センター「幼児食について1歳6か月~2歳頃の食事」(https://www.city.kawasaki.jp/miyamae/cmsfiles/contents/0000119/119265/youjisyoku.pdf,2023年2月28日最終閲覧)
- JSTAGE「幼児の食行動に関する研究」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/22/4/22_4_325/_pdf/-char/ja,2023年2月28日最終閲覧)