20~30代のがん患者の8割は女性
がんの患者数は年齢層によって異なりますが、25歳を過ぎると大きく増加する傾向にあります。特に20~39歳のがん患者の内訳を見ると女性が圧倒的に多く、全体の約80%を占めているほどです。
20歳を過ぎると、全体的ながん患者数は年齢とともに増加しますが、25歳以降にがんが急増する要因は、女性の乳がんと子宮頸がん患者が増えることにあります。がんは、寛解を目指したり生存率を高めたりするため、早期発見・早期治療が重要な病気です。定期的ながん検診を受診し、早く見つけるようにしましょう。
30代女性に多いがんを知っておき、定期的な検診を受けることをおすすめします。
- 公益財団法人 がん研究振興財団 「がんの統計」(https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2021.pdf,2021年7月30日最終閲覧)
- 国立がん研究センター「院内がん登録 小児・AYA世代がん集計 について」(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/1018/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- 広島県庁「AYA世代のがん患者さんへ」(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/lifestage-aya.html,2021年7月30日最終閲覧)
30代女性が気を付けたい、がん部位ランキング5
国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが発表した「小児・AYA世代:がん罹患データ(2009年~2011年)」をもとに、30代女性に多いがんをランキング形式でお伝えします。
1位:乳がん
乳がんは、乳腺の組織にできるがんで、主に乳管から発生しますが、一部は乳腺小葉から発生することもあります。特徴的な症状は乳房にしこりができる、乳房のえくぼやただれ、左右の乳房の形が異なる、乳頭から分泌物が出るなどです。
乳がんの検査方法は、主にマンモグラフィと超音波の2つがあります。自治体の検診は主に40歳以上が対象ですが、自治体によっては30代でも助成が受けられることがあります。
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」(https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- JA愛知厚生連 豊田厚生病院「がん診療情報」(https://toyota.jaaikosei.or.jp/mission/ganiryou/sinryojoho/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- 和泉市立総合医療センター「がんについて 」(https://izumi.tokushukai.or.jp/guide/cancer/aboutcancer/,2021年7月30日最終閲覧)
- 国立がん研究センター「院内がん登録 小児・AYA世代がん集計 について」(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/1018/index.html,2021年8月3日最終閲覧)
- 国立がん研究センターがん対策情報センター「小児・AYA世代のがんの罹患率」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html,2021年8月3日最終閲覧)
- 国立がん研究センターがん情報サービス「「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#childhoodAYA,2021年8月3日最終閲覧)
- 日本医師会「がん検診の種類はいくつかあります」(https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/what/type/,2021年8月3日最終閲覧)
- 松戸市「乳がん検診」(https://www.city.matsudo.chiba.jp/iryoutoshi/healthcare/kensin_osirase/nyu-gan.html,2021年8月3日最終閲覧)
- 中央区「子宮がん・乳がん検診を実施しています」(https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/koho/h25/250911/09_04/index.html,2021年8月3日最終閲覧)
2位:子宮頸がん
子宮頸がんは、子宮頸部と呼ばれる、子宮の入り口部分にできるがんです。がん化する前の「異形成」と呼ばれる状態のときにはほぼ自覚症状がないといわれています。進行すると、不正出血や濃い茶色のおりものが増える、水っぽいおりものや粘液が多く出る、下腹部や腰痛などを感じます。
20歳代や30歳代の女性でで増加傾向であり、ちょうど出産時期と重なることから「マザーキラー」ともいわれているがんです。検査は細胞診と呼ばれ、子宮頸部(子宮の入り口)を専用の器具でこすって細胞をとり、異常な細胞がないか調べます。子宮頸がん検診も、自治体の助成を受けられます。
- 国立がん研究センター 「がん情報サービス」(https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- JA愛知厚生連 豊田厚生病院 「がん診療情報 」(https://toyota.jaaikosei.or.jp/mission/ganiryou/sinryojoho/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- 和泉市立総合医療センター 「がんについて 」( https://izumi.tokushukai.or.jp/guide/cancer/aboutcancer/,2021年7月30日最終閲覧)
- 大崎市医師会「第31回 市民医学講座 なぜ今「子宮頸がん」なのか」(https://www.furukawa-med.or.jp/siminigaku/index31.html,2021年8月3日最終閲覧)
- 藤沢女性のクリニックもんま「HPVワクチン反対のお母さまへ」(https://momma.clinic/blog/archives/229/,2021年8月3日最終閲覧)
- 厚生労働省「がん検診推進事業について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan11/,2021年8月3日最終閲覧)
3位:胚細胞腫瘍・性腺腫瘍
胚細胞腫瘍とは、精子や卵子のもとになる細胞(原始胚細胞、原生殖細胞)から発生する腫瘍の総称で、さまざまな部位に発生します。体の中心線に沿った部分(脳・胸・おなか)にできやすいといわれています。性腺腫瘍とは、女性でいう卵巣腫瘍です。
卵巣の場合は腹痛や下腹部のしこり、胸に発生した場合は胸痛、せきや息切れなど、がんの部位によって特徴的な症状が異なります。
検査は症状がある部位によって違いますが、超音波、CTやMRIなどの画像診断、採血検査での腫瘍マーカーなどによって病気の状況や進行度を診断します。体調に変化があれば、できるだけ早く受診しましょう。
- 希少がんセンター「胚細胞腫瘍 |」(https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/germ_cell_tumor/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- 和泉市立総合医療センター「がんについて 」(https://izumi.tokushukai.or.jp/guide/cancer/aboutcancer/,2021年7月30日最終閲覧)
- 新宿ライフクリニック「性腺腫瘍とは」(http://www.life-cl.com/glossary/se/gonadaltumor.html,2021年8月3日最終閲覧)
- 希少がんセンター「胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)」(https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/germ_cell_tumor/index.html,2021年8月3日最終閲覧)
4位:甲状腺がん
甲状腺がんは、喉仏(甲状軟骨)の下にある甲状腺にできるがんです。初期は首(前頸部)がこぶ状に腫れる以外に自覚症状がない場合があり、進行するとリンパ節転移による首のリンパ腺の腫れ、咳・痰・血痰などの症状が出るといわれています。
超音波検査(エコー検査)や腫瘍マーカーなどをもとに診断されます。首、のどに違和感を覚えたら受診しましょう。
- 国立がん研究センター 「甲状腺がん」(https://ganjoho.jp/public/cancer/thyroid/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- 和泉市立総合医療センター「がんについて」(https://izumi.tokushukai.or.jp/guide/cancer/aboutcancer/,2021年7月30日最終閲覧)
5位:大腸がん
大腸がんは大腸の粘膜から発生して、進行すると周囲のリンパ節や肝臓、肺などの臓器へ転移することがあります。早期の大腸がんでは自覚症状がない場合があり、がんが進行して大きくなると、下血、便秘、下痢、便が細くなる、貧血、体重減少などの症状が出てきます。
大腸がんは一般的には40代以降から注意といわれていますが、家族に大腸がんになった方がいる場合はリスクが高まるため、30代でも積極的に検診を受けるとよいでしょう。
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」(https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html ,2021年7月30日最終閲覧)
- JA愛知厚生連 豊田厚生病院 「がん診療情報 」(https://toyota.jaaikosei.or.jp/mission/ganiryou/sinryojoho/index.html,2021年7月30日最終閲覧)
- 和泉市立総合医療センター 「がんについて 」(https://izumi.tokushukai.or.jp/guide/cancer/aboutcancer/,2021年7月30日最終閲覧)
- 新百合ヶ丘総合病院「大腸がん」(https://www.shinyuri-hospital.com/department/12_digestive_surgery/disease_01.html,2021年8月3日最終閲覧)
- とよしま内視鏡クリニック「家族に大腸がんの方がいる場合は注意が必要です」(https://www.ichou.com/hnpcc.html,2021年8月3日最終閲覧)
積極的に検診を受けて早期発見を
30代の女性のがんは意外と多く「まだ若いから」と油断していると、知らない間にがんが進行することがあります。特に女性特有のがんは同年代の男性と比べてもリスクが高いと考え、定期的に検診を受けておきましょう。
家事や育児で忙しいと、つい自分のことは後回しになってしまいますが、健康は何にも代えられません。自分の体のメンテナンスも大切にしてくださいね。