28週目で突然の入院
その日は28週目あたりの検診で普段と変わらずNSTでおなかの状態をモニターでチェックしていました。しばらくして看護師さんが確認しに来たのですが、驚いた様子で「わっ!これって軽く陣痛が始まってるんじゃないの?」と。
どうやら、微弱ではありましたが、一定のタイミングで陣痛のような波が出ていたようです。それを知った先生もビックリして、「今から赤ちゃんが出て来られては大変だ!」と、緊急で車いすに乗せられそのまま病室へ。
そこから私の入院生活が突然始まりました。とにかく絶対安静だったので、トイレ以外はずっとベッドの上で過ごすしかなく、気分転換に外の景色を見たくても、その部屋はすりガラス。全く外も見えずとても息苦しかったです。
入院中は、数々のお産の声が聞こえたり、一方で新しい命と残念ながらお別れし病室を去った方もいらっしゃったり、私にとって命についてとても考えさせられる時間にもなりました。
35週目で出産
およそ一か月病室で過ごし、35週を迎えました。おなかの張りも落ち着いていて、子宮口も開いてないということでようやく退院の許可が。しかし騒ぎはその日の夜に突然起こります。
退院したのもつかの間、なんと陣痛が。そのまま夜中に産婦人科に飛び込み、翌朝スピード出産。私よりも先生が1番ビックリしていました。
こうして、長男は2,360gで、予定日より1か月程早くこの世に誕生しました。同時にここからが、私の育児への覚悟と大いなる不安や罪悪感との葛藤のスタートとなったのです。
低体重で産んでしまったと悩んだ日々
出産直後はマタニティハイ真っただ中で、とにかく感動に浸って気分がキラッキラしていました。しかし長男は低体重児だったので、あらゆる機能がきちんと正常に働いているかどうかの確認もあって、しばし保育器での生活に。一緒に退院できると信じていたのですが、低体重だと黄疸(おうだん)も強く出やすかったので残念ながら別々の退院となりました。
初めて長男と離れて過ごした夜、「どうしてもう少しおなかの中にいさせてあげられなかったんだろう」と考え始めました。
今こうして振り返ると、当時は全てが初めての経験で、妊娠や出産に対する知識も心構えも十分ではなかったと思います。腹帯や張りどめの薬の他に、さらしを巻いていたらもっと予防できていたかもしれない、などと考えて後悔することも。
その後長男も無事に退院でき、自宅での育児がスタートしました。しかしおっぱいを吸う力が弱く、全く体重も増えず悩む日々。時には無理やり飲ませすぎて吐かせてしまうこともありました。
退院して初めてとなる、産院での発育測定の日。
他の新生児はみんな順調に体重が増えていておっぱいの飲みもいい中、長男はまだまだちっちゃくて、周りのママさんたちに心配のまなざしでこちらを見られているのかと思うと、自分が母親として劣っているのではないかと勝手に自己嫌悪に陥ったりしてとてもつらかったです。
何よりも息子に申し訳なくて、気づいたら「小さく産んでしまってごめんね」と心の中で何度も謝っていました。
ありがたかった助産師の言葉
そんな情緒不安定な時に、ある助産師さんから言ってもらえた言葉があります。
「赤ちゃんはそんなに弱くないから心配しなくても大丈夫よ」
たった一言でしたが、その時の私にとってこれ以上のありがたい言葉はありませんでした。この言葉を聞いてから、長男の力を信じてやってみようと思えるようになり、育児に対しても少し余裕を持って進めていけるようになった気がします。
子育ては、決して他のお子さんと比べることではありません。赤ちゃんのそれぞれのペースがあります。それをどうぞお母さんが信じてあげてほしいと思います。
おかげさまで長男はその後みるみる体重も増え、今では幼児園で身長も体重もビッグに成長中。子どもの力は無限大です。