シングルマザーの出産体験記
私のようにシングルマザーで、一人きりでの出産をするという方もいらっしゃることでしょう。そんな私の出産までの様子をご紹介します。
出産は人それぞれいろいろな物語があると思います。出産に対する思い入れはみなさんありますよね。私の場合、一人きりで産むことがそれほど気にならなかったのは、それ以上に痛みが強すぎて寂しさなんて感じる暇がなかったからかもしれません。
初めての出産と妊娠中の思い
私は妊娠8ヶ月前から切迫早産と言われていて、正期産の時期(俗にいう正産期)まで自宅安静を強いられていました。
そんな生活も過ぎ、正期産の時期になった途端に先生から「軽く運動したり散歩したりして良いですよ」と言われましたが、怖くて動けずにいました。
何しろ勝手が全く分からない1人目の妊娠。ましてやシングルマザーでの出産。
里帰りする気持ちもなく、生まれてから親に知らせることにしていたので、産むまではとりあえず一人で何とかしないといけないと思っていました。そのため、正期産の時期になってからの前駆陣痛のあるときはちょっとしたことでも敏感になっていました。
出産日前日のお話
おしるし自体は数日前に自分で確認していたので、そろそろ出てくるのかな?と思いながら健診に臨みました。後々思い返してみればこれは出産日となる日の前日でした。
しかし、内診の結果「この様子だとまだまだ生まれてこないかも。もしかして予定日通りなのかなぁ?お母さんもっと歩いて良いですよ。」と主治医に言われ、とりあえず病院から自宅まで歩いてみることにしました。
妊娠前20分で歩けた道を所々休みを挟みながら1時間。休みながらとはいえ、「こんなに歩いたの何ヶ月ぶり?」という感じだったので、今思うとこれが刺激になったのかな?と感じています。
自宅に帰ってきてからは、いつも通り食事をしたりTVを見たりしてゆっくり過ごし、湯船でお腹の様子を確認しました。疲れたこともあり早めに就寝した日でした。
「この痛みはいつもと違う!」で目覚めた朝
前駆陣痛が毎日あったので、痛みを感じた時は時間を計る癖は既についていました。出産日となった朝は、「いつもの痛みとなんか違うな」と起き上がる前から感じていました。
この日は寝ているときも少し痛みがあったのですが、それはいつもの前駆陣痛と同じような痛みでした。
何となく気持ち的にそわそわしてきたので、起き上がる前に時計で陣痛時間を計ってみると規則的に5分間隔が続いていました。それにより「これは陣痛なのかもしれない!」と思い、起き上がる前に急いで産婦人科に電話をしました。
1時間自宅で様子を見てから病院へ
対応してくれた助産師さんが、「1時間程様子を見て痛みが消えなかったらまた連絡ください。陣痛が強くなると動けなくなると思うから、動けるうちにお風呂に入ったり、片づけたりしておきたいことはやっておいた方がいいよ。」と言ってくれました。
その後、時計を気にしつつお風呂に入ったり部屋をちょこっと片づけたりしていましたが、痛みはずっと規則正しく、徐々に強くなってきていました。
1時間過ぎた頃にもう一度産婦人科に電話をかけて状況を説明すると、急いできてくださいと言われたので陣痛タクシーを呼びました。急いで玄関に用意していた入院用のキャリーバッグを持ち、マンション前につけてもらったタクシーに飛び乗って病院へ向いました。
病院到着からが痛みが本格的に
これが陣痛なのか?と自分が思ってから約3時間後にタクシーで産婦人科に到着して、助産師さんに付き添われながらLDR室に移動し、病院着に着替え、体重測定後にお腹にモニターをつけました。
病院に来るまではお腹の痛みは強くなってきていたものの、無意識に「頑張らなくちゃ」と気を張っていたのかそこまで痛いと思っていませんでした。しかしモニターもつけて「病院に来たからもう安心だ」と気が緩んだ瞬間から、急激に痛みを感じるようになりました。
コードレスのモニターなので、ソファーに座っていてもいいし、畳に寝っ転がっていてもいいし、抱き枕を抱えててもいいし、過ごしやすい状態で過ごして下さいと言われたので、私はソファーの座面にもたれ掛かるようにして、ソファーと自分の間に抱き枕を抱え、畳に座り込むような体勢で波のように来る痛みを逃していました。
強くなる陣痛、開かない子宮口の狭間で
病院に着いてからは、赤ちゃんにすぐ会えるものだと思っていましたが実はそうではありませんでした。
私の場合、モニター上では陣痛の波は絶えず来ていたのですが、困ったことに子宮口がなかなか開かなかったのです。病院に着いた時点では2センチ開いていましたが、それ以上になかなか開きませんでした。
陣痛の強さがMAXになる度にモニターからピロピロ音がしたのですが、私自身、その音が余計に気になってしまって痛みが助長されるような感じがしていました。それに助産師さんも気が付いて途中から消音にしてくれました。それから子宮口を柔らかくする注射をして様子を見ていましたが、陣痛は強い状態でやってきているのに、子宮口は2センチよりなかなか広がりませんでした。
助産師さんは2名いて、代わる代わる背中や腰を摩ってくれました。子宮口の状態も確認してくれましたが、あまりにも子宮口の開きが悪く、私の体力の持続も懸念されたことから、夕方になって2回目の子宮口を柔らかくする注射を受けました。
夜になっていよいよそのときが!
1回目の注射を受ける前には胸から下が痛すぎて感覚がなくなってしまい、畳の上で横になり痛みに我慢できずにぎゃあぎゃあと大声を出してしまっていました。
助産師さんは、この日私以外のお産がなかったこともあって、代わる代わる背中や腰をさすってくれたり、声をかけてくれたり、水分補給をさせてくれたりしてくれました。
本陣痛が始まってから約9時間経った頃、もうすでに夜になっていましたが、やっと子宮口が全開になりました!自分では立ち上がれない痛みだったため、すぐに助産師さん2人がやってきて近くの分娩台に連れていってくれました。
分娩台に乗ってからはすぐにするっと出産!
分娩台に乗ったら、すでに子供の頭が出てきそうな感じになっていたので、すぐに助産師さんや主治医の先生が準備をしてくれました。それから、あっという間に出産!
分娩台に乗ってから、助産師さんが赤ちゃんを見せてくれるまでの時間は、30分もかかっていないと思います。
私はというと、分娩台に乗ってからは何かが下から出てきたという感覚だけしっかり残っていますが、不思議なことに痛みに関しては覚えていません。「ちょっと切りますよ!」という主治医の先生の声と、その後2回ぐらい「いきんでください!」と助産師さんに言われたのでその通りにしたぐらいで、何か不思議な感覚だったのを覚えています。
私が会陰の縫合を受けている間に助産師さんに綺麗にしてもらって、身体測定も終えて帰ってきた赤ちゃんは、肌がピンク色で顔も整っていて「昔からこうやって過ごしているよ」という雰囲気があって貫禄のある赤ちゃんでした。
シングルマザー、1人きりの出産だからこそ感じたもの
シングルマザーで一人で出産って大変そうと思われるかもしれませんが、陣痛から出産に至るまでは痛み以外のことを気にしている余裕は全然ありませんでした。
いろいろな事情で一人で出産に向き合わなければいけないママもたくさんいることでしょう。でも、一人きりの出産だからこそ赤ちゃんが生まれたときに感じることはたくさんあると思います。
出産は、赤ちゃんとママの一番最初の共同作業です。どうか不安な気持ちはどこかにしまって、希望を胸に挑んでみてくださいね。