よく聞く「子宮口」ってどこのこと?
臨月になると週に1度の健診になり内診がはじまります。そこで告げられるワードが「子宮口柔らかいよ」「○センチあいてるよ」…ではその子宮口とは何でしょうか?
子宮口とは子宮の出口となり、子宮内で育った赤ちゃんが出産時に通るゲートのようなもの。
出産前には閉じているものであり出産の準備ができたら開いてくるものですがその開き具合には個人差があり、臨月になると子宮口を確認してお産が早いか遅れるかを判断します。
- いそいち産婦人科医院「母親学級」(http://www.isoichi-clinic.jp/hahagakkyuu.html,2018年12月14日最終閲覧)
- 長岡産婦人科医院「成熟期誘導分娩」長岡産婦人科医院(http://www.nagaoka-clinic.com/seizyuku/,2018年12月14日最終閲覧)
私の出産体験談
子宮口が開かないとお産になりません。なかなか開かない子宮口に私はとても不安になりました。
そんな筆者の体験談をご紹介しましょう。
妊娠中の生活
私は34週までとてもハードな仕事をしており、1日1万歩以上歩く生活でした。
なので「当然、出産は安産で早いだろうけど、妹の結婚式が37週にあるから出席できるように安静にしておこう」などと勝手に思い込んでしまい、仕事を辞めてからは散歩もせずグータラして過ごしてしまっていました。
勝手に開くと思い込んでいた子宮口
36週に入り毎週の健診に変わった際、内診をしました。「子宮口は柔らかいけどしまってるね」と言われ「まだ36週だからしまってていいや。来週には開いてくるだろうな」と勝手に思い込んでいました。
しかし37週になっても開かず38週になっても開かずとうとう39週4日の健診。さすがに開いていると思いましたが先生からは「ガッチリしまってるね。お産は予定日過ぎるかもね」と。
さらに「お母さんは小柄なのに赤ちゃんもう3,000g超えてて大きいから次の健診で産まれてなかったら入院して計画分娩、それでもだめなら帝王切開にするからね」と言われてしまいました。
ついに始まった陣痛
39週4日で見たエコーで赤ちゃんは3,100g。
私は身長153cmと小柄だったためこれ以上遅れて赤ちゃんが大きくなることに焦りと恐怖を感じ、重い腰を上げて運動をすることにしました。すでに里帰りをしていたため、実家の周りを10分程度ウォーキング。そして室内で階段昇降とスクワットをしました。
安産で出産するために話題になっている飲み物を飲むなど、できることは全てしましたがとうとう予定日になってしまいました。
予定日を過ぎてしまうと赤ちゃんのペースで出てくる!と思い逆に吹っ切れた私は、ウォーキングに関しては寒いのでやめてしまいました。
予定日翌日、早朝におしるしが出ましたが気分転換に実家近くの企業の感謝祭に出掛けました。すると、何だかおなかがいつもより重たく感じ、歩きづらくなり夕方には生理痛の様な鈍痛が出てきました。
初めて感じる痛み
それからすぐ、出産に備えて夕方の早い時間にお風呂に入り寝ることにしました。
しかし目が覚めるほどのおなかの痛み。感覚を図ると10分間隔になっていました。病院からは「初産なので5分間隔になったら連絡を」と言われていたのでそのときは耐えていました。
それから少し経った19時頃、痛みが強くなり感覚を図ると6分間隔になっていたため病院へ連絡。急いで向かい、陣痛室で内診しましたが「子宮口の開きは1cmくらいかな?」と言われ、帰宅することに。
「陣痛って子宮口が開いてからくるんじゃないの?」と、急に不安に襲われつつも耐え、さらに痛みが増した23時頃、再び病院へ行きました。
それでも「1.5cmくらいしか開いてないけど予定日過ぎているから入院しますか?」と助産師さんに言われ、結局入院することに。
なかなか開かない子宮口
「陣痛は来てるから朝になってもお産が進まなければ促進剤打ちましょうね」と言われ一晩中耐え、明け方には思わず唸るほどの痛みが3分間隔に迫っていました。
しかし子宮口は3cmほどしか開かず、いよいよ促進剤投与が決まりました。「万が一帝王切開になったときにもまた刺さなくていいような場所に点滴打ちますね」と言われ点滴を打ちました。
このときはすでに痛みで嘔吐を繰り返していたため、もう不安はなく、ただただ無事に産まれて欲しいとだけ願っていました。
促進剤と陣痛
促進剤の点滴を初めて2時間おきに内診。そして点滴のスピードもどんどん上がり痛みも酷く、もはや携帯電話を開く余裕もなかったです。そんななか運ばれてきた朝と昼の食事ももちろん食べることはできませんでした。
しかし夫からは「体が持たないから無理にでも食べた方がいい」と言われ、食べましたが胃液になるまで吐いたので気持ち悪くなりました。なかなか子宮口が開かないことで終わりの見えない陣痛に、私は号泣していました。
そんな姿を見て夫は前向きな言葉をかけ続けてくれ、徹夜で腰をさすって、食べていない私にお茶やスポーツドリンクなどをこまめに飲ませてくれました。
それから小さな唸りから叫ぶような唸りに変わり、身をよじるほどおなかと腰が痛く「もうおなか切って出して!」と思うように。
いよいよ分娩室に
昼すぎに助産師さんを呼びましたが子宮口は8cm。その1時間後にようやく全開になったため人口破水をしてもらい、生暖かい水が股を伝った後にいきみ方を教わりました。
そのときすでに便意のようなものを感じていましたが、他の患者さんで緊急のお産が入ってしまったため1人でいきんで待つことに。
初めてのお産でいきみ方もこのままでいいのかわからなかったですが、何分間か必死にいきみ、赤ちゃんが苦しくない様にとにかく呼吸をしっかり行い耐えました。
そして14時頃、ようやく助産師さんから分娩室に案内されることになり、歩いて分娩室へ行き分娩台に上がりました。
やっと会えた赤ちゃん
自然なお産を推奨するクリニックだったので痛みと共に声を掛けてもらい、「いきみます!」と伝えてから渾身の力を込めいきみました。
2回目にいきんだ際に「切りますよ」と言われ、会陰切開をされました。思いっきりいきんだところ助産師さんから「お母さん、目を開けて!」と言われたので見ると、すでに赤ちゃんが出てきていました。
そしてすぐに元気な産声をあげてくれ、その姿を見たときには達成感と赤ちゃんの愛しさに感動して涙が止まりませんでした。
出産を終えて
私は入院してから20時間という決して短くない分娩時間でしたが、分娩台に上がってからはわずか17分で産まれてきてくれました。
これから初めて出産される妊婦さんはこのような体験談を聞き、不安と恐怖を感じるかもしれません。出産というのは人生で一番つらく、一番苦しく痛いことかもしれませんが、私は産後3ヶ月経った今でも出産時を思い出すと涙が出てくるほど感動します。そして、また産みたいと思えるほど素敵な体験でした。
不安を抱えるのも恐怖を感じるのも当然ですが、それ以上におなかの中にいる愛しい我が子に会えるのを楽しみに、良いお産にしてくださいね。
清水先生からの補足
「臨月に入ると子宮口が勝手に開いてくる」と思っている人は少なくありません。しかし、子宮口は勝手に開くわけではないのです。陣痛を引き起こす物質には子宮口を柔らかくする作用があり、陣痛で赤ちゃんの頭が子宮口に押し付けられることで少しずつ開いていきます。そのため、陣痛が来る前に子宮口はあまり開きません。ただし、切迫早産だった人は、子宮頸管長が短くなっていることで、子宮口が開きやすくなっている場合もあります。
子宮口を開きやすくするためには、臨月に入ってから積極的に散歩・スクワット・床の雑巾がけなどを行って動いた方がよいでしょう。運動をしたからといって陣痛がきやすくなったり子宮口が開きやすくなったりするわけではありませんが、本格的な陣痛がくる前に運動による軽い陣痛のような子宮収縮があった方が子宮口が柔らかくなりやすいからです。