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監修:清水なほみ

【医療監修】自然分娩、和痛分娩、帝王切開のすべてを体験した私。もう一回選べるならこれ!

「和痛分娩」という言葉、妊娠中の女性なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?痛くないお産があるならそれにこしたことはないと思いつつも、日本では和痛分娩を選択する女性はまだまだ少数派です。興味はあるけれど、最後の一歩が踏み出せずにいる方のために、自然分娩、和痛分娩、帝王切開の全てを経験した私の経験をまとめてみました。私がもう一回出産をするなら、選ぶのは一体どれ?ぜひ参考にしてみてくださいね!

PIXTA

私が選択した「和痛分娩」

芸能人のブログなどではよく見かける和痛分娩ですが、一般にはまだまだ選択する方は少なく、約3年前に私が経験した時に麻酔科医の先生に聞いたところ、「全体の5%ほど」ということでした。一方アメリカでは自然分娩を選択する方が珍しいくらいだそうです。国が違えばお産のスタイルも違うのですね。

「母になるなら、お産の痛みぐらい耐えられなければダメ」「あの痛みを経験したからこそ、産まれたばかりの我が子を可愛がられる」そう思ってしまいがちですが、お産の痛みを感じないで出産を経験した女性は本当の母にはなれないのでしょうか?そんなことないですよね。どんな出産でも命がけです。そして産後のお世話を通してだんだん母になっていくものです。

しかし私は第二子で和痛分娩を選択しました。

第二子は和痛分娩

分娩 PIXTA

日本ではあまり浸透していない和痛分娩ですが、私は第二子の時に選択しました。第一子の時は、「陣痛の痛みぐらい耐えて当たり前」と思っていたので、和痛分娩は選択肢にありませんでした。

第一子は予定日より1週間遅れてのお産だったこともあり、陣痛促進剤を使用しました。そして陣痛の痛みは想像以上でした。よく「鼻からスイカを出すぐらいの痛み」などと表現されますが、そんな生ぬるいものではなく、骨盤を割られて引きちぎられるような痛みだったのです。

陣痛の最中には痛すぎて、陣痛促進剤の点滴を抜いてしまおうかとすら思ってしまいました。もともと「年の近い兄弟が欲しい」と夫婦で話し合っていましたが、産後直後は「子供は1人でいい」と思ってしまうほどだったのです。

和痛を選んだ理由はアクシデント

PIXTA

第二子の妊娠中期までは前回の陣痛の痛みも忘れ、和痛分娩にする気はありませんでした。

ところが、妊娠後期に提出する必要のあるバースプランに分娩スタイルの希望欄があり、その中に和痛分娩が含まれていました。

用紙を頂いてから提出するまでの間、和痛分娩についていろいろ調べたのですが、麻酔の効き方には個人差があり、お金をかけてまで和痛にするメリットを感じずにいました。

そんな状態で提出したバースプランですが、うっかり分娩スタイル希望欄の記入を忘れていました。空欄だったため、私が決めかねていると誤解した親切な助産師さんが和痛分娩のメリットとデメリットを説明してくれたのです。そしてその説明により、私は和痛分娩を即決しました。

出典元:

助産師さんが教えてくれた和通分娩のメリット・デメリット

助産師 PIXTA

そのとき助産師さんが話してくれたメリット・デメリットをみてみましょう。

メリット

  • 痛みの緩和
  • 産後の疲労度

和痛分娩のメリットはなんと言っても痛みの緩和だといいます。完全に痛みを消してしまうといきむタイミングがつかめなくなり、スムーズなお産ができません。そのため容易に耐えられる程度の痛みは残してお産に挑むそうです。

痛みの残り方に個人差があるために、ほとんど痛みを感じない方からかなりの痛みを経験する方がいるようです。それでも麻酔なしの陣痛に比べると格段に痛みは軽減されると助産師さんは話しました。

また、麻酔なしの陣痛は、あまりの痛さのため体中に無駄に力を入れてしまうそう。そのためにお産後の疲労感はとても大きいものになるといいます。和痛分娩の場合は陣痛中ものんびりと過ごせるため、お産直後でもすぐに赤ちゃんのお世話にとりかかれると聞き、私はとてもメリットが大きいと感じました。

デメリット

陣痛 痛い PIXTA

  • 全くの無痛ではない
  • コストがかかる
  • 計画入院をし、促進剤を使う必要がある

和痛分娩はスムーズなお産のために、あえて完全無痛にはしないようです。また麻酔の効き方には個人差があるためにとても痛かったという方もいるのだとか。

また、自然分娩と同様、和痛分娩も保険対象外でした。麻酔の費用も全額負担になるため、自然分娩に比べて高額になります。費用は産院によって異なりますが、私が出産した産院では自然分娩費に最低でも7万円追加になりました。

また、陣痛が来てから麻酔の対応ができるのは設備の充実した大きな病院であることが多く、分娩できる曜日や時間が限定されている場合が珍しくありません。その場合、陣痛が来る前に麻酔の準備をする必要があるため、計画入院をして陣痛促進剤を使用します。

出産日を決めてしまうのが嫌な方や、促進剤を使うことに抵抗がある方にはデメリットに感じるかもしれません。(※計画入院をしない方針の産院もあります。)

出典元:

計画入院から出産、病室に戻るまで

検診 PIXTA

私が経験した和痛分娩当日の流れをご紹介します。

計画入院の日は、1週間前の健診で決めました。私はできるだけスタッフに余裕のある日が良いと思い、帝王切開を含む、予約が一番少ない日にしました。もちろん立て続けに緊急出産が入ることは覚悟した上です。

当日の朝

当日は朝9時に夫に付き添われて病院へ。まず陣痛室に案内されてお産用の服に着替えます。その後普段の妊婦健診と同じような健診を受けました。次に麻酔科医が部屋にきて麻酔の説明。

麻酔科医から直接話を聞いたのは、この時が初めてでした。麻酔の説明書類を含む、いろいろな書類に印鑑を押したら準備完了です。

処置開始

麻酔のために手術室へ行き、手術台に上がりました。初めての手術台だったので、ここが一番緊張しました。

麻酔は横向きの姿勢でできるだけ丸くなり、背中に針をさします。注射なのでそれなりに痛いのを想像していましたが、ちょっとチクッとする程度でした。それよりも針を刺す位置を確認するために触る手がくすぐったくて、頑張って耐えていました。

その後、陣痛促進剤の点滴の針も手術室内で刺しました。

陣痛開始

すべての処置が終わり、陣痛室に戻って時計を見たら11時ぐらいでした。陣痛促進剤の点滴も始まっていましたが、私自身は何も感じず、12時に出されたランチも美味しくいただけました。

その後も夫と会話したり、テレビを見たりしながらのんびり過ごしていました。

途中で麻酔科医が何度か麻酔の効き具合を確認に来てくれて、しっかり効いているとお墨付きをもらいました。

出産

新生児 PIXTA

13時半ごろからお腹が張るようになりました。今まで経験したことのない種類の強い張りです。麻酔が切れたのかと思い、そのことを助産師さんに伝えると、さっそく子宮口のサイズを調べてくれました。

「あら大変、全開よ。」と言われ、助産師さんにつかまりながら用意された車椅子に座り、そのまま分娩室へ。

和痛分娩を選択したのに痛いと感じるのは、この張りだと思いました。確かに張りにしてはかなり痛く、一回目に自然分娩を経験していなければ、「和痛分娩は痛い」と周りに話していたと思います。自然分娩では骨盤が開く痛みに消されてしまい、気づかなかった痛みです。

分娩台に乗ってからも、今まで感じたことのない張りは定期的に襲ってきました。そのタイミングに合わせていきむこと数回、第二子誕生です。分娩室に入ってからの所領時間15分でした。

産後

第一子の時には全く余裕がなかったのですが、第二子の時は顔をゆっくり眺める余裕があり、鼻の大きさにびっくりした記憶があります。

しばらく分娩室で横になった後、車椅子で病室へ。この時はすでに自力で車椅子に座ることができたので、足の方から麻酔が切れかかっていたようです。

そして4時頃に母がケーキを持って来てくれたので、一緒に食べました。第一子の時は、あまりの疲労感に夕食を食べられなかったのですが、産後2時間でケーキを食べていた自分に驚いたのを覚えています。

次も和痛分娩を選びたい!

出産 PIXTA

3回目の出産は双子だったので帝王切開でした。でももし和痛分娩を選択できたなら、躊躇なく選択していたと思います。

もちろん麻酔の効き方には個人差があり、せっかくの和痛分娩でも痛い思いをする方もいます。また、陣痛促進剤がなかなか効かない場合は麻酔の追加が必要になる場合があるようですが、それでも自然分娩の痛みとは比べものになりませんでした。

この体験談はあくまでも私個人のものです。数ある和痛分娩の経験談の1つとして、バースプランの参考にしていただければ幸いです。

清水先生からの補足

日本ではまだまだ和痛分娩や無痛分娩を選択する人は少数派ですね。「痛みに耐えてこそ母親になれる」というのは迷信ですが、自然分娩であれば使う必要がない麻酔や陣痛促進剤が必要になるというデメリットがあることは否めません。メリットとデメリットをしっかり把握して、自分にとってのベストなお産を選べるとよいですね。

心理学的には「痛いのが嫌だから」という「嫌なことを避けるため」に和痛や無痛を選ぶとよくない影響が出ることがあります。本来は赤ちゃん自身が生まれるタイミングを決めて陣痛を起こすので、それを本人の意志とは関係なく薬で起こすことのデメリットも考慮に入れた方がよいでしょう。

また、陣痛の感じ方は個人差が大きく、例えば私個人の経験では、強い陣痛を感じていた時間は1人目が1時間半、2人目は40分程度でスルッと産まれたため、わざわざ和痛にしなくても平気で産後もスタスタ歩いていました。痛みに対する不安を大きくするより、自然に痛みがなく楽なお産にするにはどうすればよいのかを助産師と相談してみるのもよいでしょう。

記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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