妊娠34週目の妊婦の様子
妊娠34週目になり、出産予定日まであと1ヶ月半程度になりました。働いている人は産休に入る時期です。この頃の妊婦のおなかの大きさや体重はどの程度なのでしょうか。子宮底長(しきゅうていちょう)と体重増加の目安、この時期の妊婦さんに起こりやすい症状についてご紹介します。
- 子宮底長:約28〜31cm
子宮底長とは、左右の恥骨が合わさった部分から子宮底までの長さを指します。出産までにさらに大きくなっていきます。
下記は、妊娠中期から後期にかけての1週間あたりの体重増加量の目安です。神経質になる必要はありませんが、急激に体重が増えると体に負担がかかります。定期的に体重をはかって意識してみましょう。
- 妊娠前「やせ型」だった人(BMI18.5 未満):0.3kg〜0.5kg
- 妊娠前「ふつう」だった人(BMI18.5以上25.0未満):0.3kg〜0.5kg
- 妊娠前「肥満」だった人(BMI25.0 以上):個別に医師と相談
全妊娠期間を通しての推奨体重増加量は、「やせ型」の人で9〜12kg、「ふつう」の人で7〜12kg。「肥満」の人は、およそ5kgを目安として個別対応することとなっています。
胎児の位置が少し下がってきます
胎児が少し下に移動し、骨盤に入ってきます。下がり方には個人差がありますが、胃や肺への圧迫が減り、息苦しさが改善されます。そのかわり、今度は膀胱(ぼうこう)に圧力がかかるため、トイレが近くなったり、尿もれしやすくなったりすることがあります。
痔になることがあります
妊娠中は痔になる方多いですからね。うーーーんと気張るのはしばらくやめといた方がいいですよ。
(中略)
出産後先生がうまいこと中に引っ込めてくれたりもしますし、
肛門科にかかれば、小さいものなら日帰りで取れる場合のものも。
私は切れ痔もちですが、たまに切れて出血もありドキドキです。
大きくなった子宮に圧迫されて血流が悪くなり、うっ血するため痔になることがあります。なりやすいのは主に「いぼ痔(肛門部分の腫れ)」と「きれ痔(肛門の皮膚が切れたもの)」の二つです。出産経験のある女性の約7割が経験しているといわれ、珍しいことではありません。
排便のときに強くいきむと悪化しやすいため、便通をよくするヨーグルト、野菜、果物、わかめ、納豆などの食材をとり、スムーズな便通を心がけましょう。痔や便秘の症状が気になるときは医師に相談してください。
おなかが張りやすくなります
子宮が出産に向けて準備を始めます。ちぢんだり、ゆるんだりをくり返すため、おなかが張りやすくなります。おなかが張ったらすぐに横になって休みましょう。横になってもなかなか張りがおさまらず、どんどんひどくなる場合は受診してください。
乳頭から分泌液が出ることがあります
妊娠34週目頃になると、乳頭がかゆくなることがあります。これは、体が赤ちゃんに母乳をあげる準備を始めているサインです。乳頭から分泌液が出ることもあります。これは母乳の初期の分泌液なので、心配する必要はありません。量が多い場合は、母乳パッドなどを当てましょう。
手がしびれることがあります
痛いのを我慢して10回〜20回くらいグー✊パー✋をすると痛みが軽減します。
検診の時に先生に相談しましたが、塩分と水分を取りすぎないようにといわれました>_<
手首がしびれたり、痛んだりすることがあります。これは「手根管症候群」といい、ホルモンの影響を受けてむくみが起きることが原因といわれています。放置すると悪化することがあるので、気になるときは医師に相談しましょう。
骨盤がゆるみ、恥骨が痛むことがあります
体が出産の準備を始めるため、靭帯(じんたい)や関節がゆるみ、骨盤や恥骨結合部(ちこつけつごうぶ)も開いてきます。そこに胎児の頭が入ってくると恥骨に負担がかかり、痛みを感じることがあります。痛みが激しい場合は、医師に相談してください。
胎動が少なくなります
この時期になると胎児が大きくなって子宮が狭くなってくるため、個人差はありますが、胎動が少なくなります。胎動が落ち着いても、胎児が元気であれば胎動がなくなることはありません。1時間様子を見ても胎動がない場合は受診してください。
- 竹内正人「はじめての妊娠・出産事典」P60、135(朝日新聞出版,2016年)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P114、128(学研,2017年)
- 医療情報科学研究所「病気がみえる 10 産科」P34、P39(メディックメディア,平成19年3月)
- 厚生労働省「妊娠期の至適体重増加チャート」について」」(https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf,2018年9月26日最終閲覧)
- 日本産科婦人科学会「2)CQ010 妊娠前の体格や妊娠中の体重増加量については?」(http://www.jsog.or.jp/PDF/63/6312-315.pdf,2018年9月26日最終閲覧)
- 母子衛生研究会「妊娠月別 胎児の様子とママのからだ」(https://www.mcfh.or.jp/jouhou/taiji/24_27week.html,2018年9月26日最終閲覧)
- A.Christine Harris「安心マタニティブック」P161(永岡書店,2005年)
- 小阪産病院「よくある相談」(https://www.kosaka.or.jp/contact/qa.html,2018年10月2日最終閲覧)
- くるめ病院「妊産婦さんの痔」(https://uproad.ne.jp/kurume/koumonka/ninsanpusan,2018年10月2日最終閲覧)
- 湘南太平台病院「痔(いぼ痔 切れ痔 あな痔)の治療」(https://shonan-taiheidai.or.jp/痔いぼ痔-切れ痔-あな痔の治療,2018年10月2日最終閲覧)
- 柏厚生総合病院「手根管症候群」(https://www.kashiwakousei.or.jp/medical/seikeigeka/手根管症候群について/,2018年10月2日最終閲覧)
- 冬城産婦人科医院「胎動について」(http://www.fuyukilc.or.jp/column/胎動について/,2018年10月2日最終閲覧)
- レディースクリニックつねざわ「妊娠中の注意(1)胎動」( https://ameblo.jp/lc-tsunezawa/entry-11940228917.html,2018年10月15日最終閲覧)
妊娠34週目の胎児の様子
この頃の胎児は、起きたり眠ったりを20分おきにくり返していて、起きているときは胎動があります。手やひじを突き出したり、足で蹴ったりする様子が、おなかの外からも分かることがあります。
- 胎児の大きさ(FL:大腿骨長):約55〜67mm
- 体重:約1,650〜2,660g
FLとは大腿骨長(だいたいこつちょう)、太ももの骨の長さを指します。胎児はふっくらと脂肪がついて、体重が着実に増えていきます。
肺の機能が完成します
ついに肺の機能が完成します。胎児は出生前は胎盤を通じてガス交換(酸素を取り入れて二酸化炭素を出す)していますが、出生後は肺でガス交換をするようになります。妊娠34週目になると肺が機能的に成熟して、万が一早産になったとしても、自力呼吸が期待できます。
赤ちゃんらしい体つきになる
皮下脂肪が増えて体に丸みがついてきます。手足がぷくぷくしていきて、肌はピンク色で弾力があります。つめも誕生するときの最終的な位置まで伸びてきます。
ほとんどの胎児が頭を下に向けます
妊娠34週になると、ほとんどの胎児が頭を下に向けるようになります。頭がもっとも重いため、おさまりがよいからです。この時期にまだ逆子の場合、おなかの中で動きにくくなるため、なおりにくくなってきます。病院によっては帝王切開の手術予定を決める場合もあります。医師とよく相談しましょう。
臨月になっても逆子がなおる可能性はゼロではありません。手術を決めた場合でも、逆子がなおれば経膣分娩(けいちつぶんべん)になります。
- 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線 保健指導マニュアル」(http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_taiju_hatsuiku_201203.pdf,2018年10月2日最終閲覧)
- 日産婦誌53巻7号「12.胎児発育・児体重測」(http://www.jsog.or.jp/PDF/53/5307-130.pdf,2018年10月2日最終閲覧)
- レディースクリニックつねざわ「妊娠中の注意(1)胎動」」(https://ameblo.jp/lc-tsunezawa/entry-11940228917.html,2018年10月2日最終閲覧)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P125(学研,2017年)
- A.Christine Harris「安心マタニティブック」P162(永岡書店,2005年)
妊娠34週目で切迫早産の兆候があったら
切迫早産とは、早産になりかけている状態をさします。しばらく休んでもおなかの張りや痛みがおさまらない、性器から出血があった、破水した、といった症状があったら、すぐ受診してください。
切迫早産と診断されたら、症状や状況によって自宅安静か入院かを医師が判断します。自宅安静の場合、絶対安静と指示された場合は、トイレや食事以外は横になって過ごします。安静と指示された場合は、家事は簡単なものだけにして、無理をせずなるべく横になります。おなかが張ったらすぐ休んでください。
この時期、仮に早産になったとしても95%の胎児が助かります。妊娠34週目以降は自力で肺呼吸できる可能性があるため、NICU(新生児集中治療室)の管理が必要ない場合もあります。ただ、胎児にとっては1日でも長く子宮内にいられることが大切であることに変わりはありません。安静に過ごしましょう。
- 総合周産期母子医療センター「早産で生まれました。助かる率はどのくらいでしょうか?」(http://www.uraboshi.jp/answer.html,2018年10月2日最終閲覧)
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産」P100-101、104(学研,2017年)
妊娠34週目のおすすめの過ごし方と注意点
里帰り出産を予定している人は、妊娠34週目までには帰省しましょう。飛行機に乗る場合、搭乗可能な妊娠週数に制限があったり、医師の診断書が必要な場合があったりするので、事前に確認してください。
里帰り出産しない人も、この時期は遠出はできるだけ控え、外出時は母子健康手帳と保険証、診察券を持ち歩くようにしましょう。
妊娠線のケアを継続しましょう
はじめはショックでしたが.旦那さんに「頑張ってお腹の中で赤ちゃんを育ててる証拠やし、
妊娠線が出来るぐらいお腹が大きくなってるってことは赤ちゃんがちゃんと成長してるってことやん」と言われてそっか!と開き直りました(^^;笑
ますますおなかが大きくなり、胸、太ももやお尻にも妊娠線が出やすくなります。オイルやクリームを塗ってケアしましょう。妊娠腺は産後は半透明に変わって目立たなくなりますが、完全に消すことはできないので、できないようにしっかり保湿して予防しましょう。
貧血対策をしましょう
妊娠後期は胎児や胎盤に血液を運ぶため、血液の中のヘモグロビン濃度が薄くなり、貧血になりやすい時期です。貧血は出産時に出血が増える、産後の回復が遅れる、母乳が出にくくなるなどの影響があるため、出産までに改善しておきましょう。
レバーや貝類、ホウレンソウなど鉄分が豊富な食品を意識してとります。鉄分は、タンパク質やビタミンCなどと一緒にとると吸収しやすくなります。
医師に鉄剤を処方されたときは忘れずに服用してください。鉄剤が合わず、吐き気や便秘といった症状が出ることがありますが、その場合は医師に相談して種類を変えてもらいましょう。薬が飲めなくてもサプリメントなら大丈夫な場合があります。どうしても内服ができない場合は、点滴で鉄分を補うケースもあります。
適度な運動をしましょう
ウォーキングやマタニティビクス、ヨガなどの無理のない適度な運動は、体力や筋力を維持するのに役立ちます。主治医に相談し、運動しても問題がないか確認した上で、自分に合ったものを続けられるとよいですね。
- 萩田和秀「らくらくあんしん妊娠・出産 」P42、76、131(学研,2017年)
- A.Christine Harris「安心マタニティブック」P158、161(永岡書店,2005年)
- 萩田和秀「はじめての妊娠・出産事典」P130(朝日新聞出版,2016年)
妊娠34週目は産院への移動手段を決めておきましょう
出産まであと少し。陣痛が始まったり、破水したりしたときに慌てないよう、産院への移動手段を確保しておきましょう。自分で運転することはできないので、夫や家族に運転してもらうか、タクシーを使ってください。
陣痛タクシーを使うのもよいでしょう。陣痛タクシーは、事前に出産を予定している施設や予定日を登録しておき、いざ陣痛が来たときに優先して配車してくれるので安心ですよ。