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テレ朝『リエゾン』第3話視聴、発達障害児を育てる親が思う「普通ってなんですか」

毎週金曜よる11:15~0:15(※一部地域で放送時間が異なります)放送のテレビ朝日系・金曜ナイトドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』。第3話はごらんになりましたか。今回も涙しながら視聴した方も多いのではないでしょうか。この記事は、5歳でADHD・広汎性発達障害と診断された息子との12年間を発信するインスタグラム「発達障害と共に生きる」家族のコミュニティ「そらあい」のSHI-・ママに寄り添う発達凸凹育児アドバイザー(@_so_ra_ai_)が、視聴感想をつづります。

うるさい PIXTA

「お願いだから静かにして」作中の母と自分が重なった

発達障害のある子どもを育てる親のコミュニティ内でも、大きな話題になっている『リエゾン-こどものこころ診療所-』。今回も「始まりから泣いた」「ずっと泣いていて目が腫れた」という声があがっていました。母親の心情がていねいに描かれていたのではないかと思います。

特に、作中の母親が娘・希ちゃんに言った「お願いだから静かにして」という言葉。これは私自身も息子に言った言葉です。朝から晩までずっとしゃべり続けている息子に「お願いだから静かに」と言ってきかせようとしていました。

息子は本当にずっと話し続けていて、歌ったかと思えば、話題はあちこちに飛び、いずれ叫んだり奇声を発したり。それを聞き続けるのは苦痛でした。わが子のことを苦痛だなんてと思われそうですが「ずっと音のある生活」は苦しいものです。

でも、ドラマと重ねて振り返れば、本人はただ聞いて欲しかったのでしょう。希ちゃん同様「話したいことばかり」だったのかも。そう思うと何とも言えない感情になります。

「みんなと違う」は怖い

母 泣く PIXTA

ドラマの中で希ちゃんの母親は「普通じゃない」と繰り返していました。「みんなと違う」という確信と、「普通であって欲しい」という親の思い。そのどちらも本当の気持ちだと思います。私自身もそう。息子に対して「うちの子、何か違う」と感じた時の恐怖心は忘れられません。周囲に考えすぎだと言われても、わが子にいだく違和感はなくなりませんでした。

作中で受診した結果、希ちゃんは、ASD(自閉スペクトラム症)と診断されます。しかし、両親はそれを受け入れられません。「普通じゃない」「支援学級なんてとんでもない」「一生、発達障害って言われる」「周りに普通じゃないって思われる」正直な親の思いがセリフにこめられているのを感じました。当事者家族にとって、このシーンはわが子の診断当時を思い出す、苦しいシーンだったのではないでしょうか。

私も息子が発達障害と診断された日のことは脳裏から離れません。病院帰り、息子を抱きしめ「普通に産んであげられなくてごめんね」そう泣いた記憶は鮮明です。母親として「私の何が悪かったんだろう」と自分を責め、苦しみました。今でこそ息子には「自分の人生、楽しんで生きて行きなさい」と言えますが、ここまでの道のりは平らではなかったのです。

発達障害による「いじめ」への不安

ドラマの後半「どうかこの子がいじめられませんように…」と希ちゃんを抱きしめる母親の姿を、自分に重ねたママはいるのではないでしょうか。私も涙が止まりませんでした。実際、息子も「暗黙の了解」が難しい特性があり、以前、仲間はずれになる状況を目にしたことがあるのです。

それは小学校2年生の夏、地域のウォークラリーに参加したときのこと。その行事は見ず知らずの子同士がゲームをしながら歩くもので、私は保護者として付き添いをしていました。そんなときです。

「あいつ変だから、話すのやめようぜ」

同じチームの子たちが、息子に聞こえないように話しているのが聞こえました。息子は気づかずにその子たちに話しかけますが、その子たちは知らんぷり。一方、息子は「楽しく参加できている」と思っています。無視されていても、笑って仲間に入ろうとしていて、私は涙をこらえて見守ることしかできませんでした。

息子は「暗黙の了解」がわからないだけ。ルールがまだわかっていないだけ。何かが悪かったわけではありません。でも当時の私は「この子はこうして大変な人生を送るのか」と落ち込んで、しばらく立ち直ることができませんでした。

「普通」でなくても、やれることはたくさんある

笑う 子ども PIXTA

「普通ってなんですか」障害のある子の育児では、この問いがいつもあるように思います。いわゆる「普通」の人たちは、人と違うことを恐れ、はみ出したくないと考えています。実際には一人一人違いますし、考え方によって「みんな違うけれどみんないい」と思うこともできるでしょう。でも、実際に「あなたの子が障害児です」と言われると「みんないい」とすぐには思えないのも事実です。

振り返ると、息子が幼いころは、診断を受けたことをきっかけに、息子を「障害児」としてばかり見てしまう時期がありました。「何かできないのは障害があるから」「育てるのが大変なのも障害があるから」そう思い続ける毎日は苦しいものでした。息子の場合、初めてのことが苦手で事前準備が必須、約束ごとを決めて行動する、かんしゃく・他害対応、周囲への謝罪など、挙げればきりがないほどの対応が必要でした。

しかし一方「普通ではない障害児」ではなく「みんな違うし、わが子の中に障害があるだけ」として見られるようになると、景色は少し違ってきます。大変なことばかりな分「少しの成長」がみられた瞬間のうれしさはひとしおです。あらゆる努力をしても、花が咲くのは1か月後、あるいは半年後…もっと先かもしれない。でも、必ず花は「わが子なりに」必ず咲くのです。

作中でも言語聴覚士の堀先生が語っていたように、わが子に対してやれることはたくさんあります。わが子の苦手や得意を理解し、子どもが過ごしやすい環境について、さまざまな機関と連携しながら整えることが大切なのではないかと思います。

SHI-・ママに寄り添う発達凸凹育児アドバイザー(_so_ra_ai_)のInstagram

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