「ごめんね」を強制してはいけない理由
子どもの性格や考え方によって「ごめんね」という言葉に対するとらえ方はさまざま。そんな中、時々見かけるのが、大人が「ごめんね」を強要するシーンです。大人はその場を丸く収めるために「ごめんね」という言葉を使うのが当たり前のように考えがちですが、子どもは「ごめんね」という言葉を、仲直りのために重要だとは考えていないことも。
「ごめんねと言いなさい」と親に言われたとき、子どもはどうとらえているのでしょうか。
「自分は悪くないから言いたくない」
「自分は悪くなくても、親に怒られるからとりあえず言う」
他にもいろいろな考えを子どもは持っていると思いますが「親に怒られるからごめんねを言う」という考えを子どもが持つのは危険信号です。
なぜかというと、子ども自身が本来の意味で「ごめんね」と思っていないため、これから先も大人の「善悪」に左右されてしまうから。このような理由で、大人が謝ることを強制するのはよくないと私は考えています。
この場合に周りの大人ができることは「子どもの気持ちを言葉にしてあげること」。そうすることで、子どもの心のモヤモヤは解消されます。そして、自然な流れで「ごめんね」という言葉の意味を伝えてあげるとよいでしょう。
また、年齢が小さいうちは「ごめんね」という言葉が、相手への謝罪の気持ちとして必要だとわからないことも。この場合、成長とともに謝るときの言葉の一つが「ごめんね」だと言うことを知っていくので、すぐに言えなくても心配ありません。
どうしたらいい?「ごめんね」に代わる言葉
子ども同士のトラブルの仲介のしかたは「ごめんね」という以外にもいろいろな方法がありますよ。
- 言葉の代わりに「よしよし」してあげる
- 「イヤな気持ちになるから、しないでね」って理由を伝える
- 「こんな時はごめんねっていうんだよ」と教えてあげる
他にも子どもが納得できる方法がある場合は、その方法でOKです。保育士は研修で「仲介するときは裁判官にならない」と学びます。それは「大人の判断基準で裁かない」ということでもあります。
安全面などでどうしてもダメなことは別として、仲直り方法はそれぞれあるし、子どもたちのルールを尊重するためなんですね。ぜひ心の中にこの言葉をとどめてもらえたらうれしいです。
けんかを成長の機会にするために
子どもにとってのトラブルやけんかは、相手の気持ちを知るチャンス。そのためには「ごめんね」を無理強いせず、理由や相手の気持ちを聞くことが大切です。子どもの気持ちを聞く前に大人が「裁判官」になってしまうと、子どもの成長機会が減ってしまいます。
「けんかは成長の機会」を合い言葉に、子どもたちを見守っていきましょうね。