Ⓒママリ
【第1話から読む】【要注意人物?】評判最悪ママ友と接近…楽しいはずのお茶会で気持ちが暗転した理由
「ハイレベルな環境が大事」過剰なメリット重視ママにあぜん
小百合さんの「メリット至上主義」は、秋から冬にかけてますますエスカレートした。特に、運動会や冬の発表会は、彼女にとって子どもの成果をアピールする絶好の機会と捉えているようだった。運動会の練習が始まると、小百合さんは毎日のように先生に詰め寄り、リレーの選手選考や親子競技の組み合わせについて、細かく口出しをしていた。
小百合:「先生、うちの樹里はアンカーですよねえ? それから、親子競技は親のバランスも見てくださいね?運動神経がにぶそうな親御さんは赤白に別れさせるとか(笑)。そうじゃないと、勝てるものも勝てませんから」
職員室の前で、そんな会話を耳にしてしまった私は、もう開いた口が塞がらなかった。周りにいた他のママたちも、顔を見合わせて呆れている。中でも、人づてに小百合さんがわが子の悪口を言ったと知っている人たちは、怒りを抑えきれない様子だった。体操教室で「もう辞めればいい」とまで言われていた美緒ちゃんのママが話しかけてくる。
「ねぇ、麻友ちゃんママ。樹里ちゃんママのあの言い方、どうにかならないのかな?聞いているこっちが気分悪くなる…。うちの子だって、一生懸命頑張っているのにひどいことを言われていたようだし」
美緒ちゃんママの目には、うっすらと涙が浮かんでいるように見えた。私も、彼女の気持ちが痛いほどよく分かった。
亜由美:「本当にそうですよね…。でも、ああいうタイプの人に何を言っても、なかなか伝わらないのかもしれません…」
無力感に苛まれながらも、どう対処すればいいのかわからなかった。たとえ先生に相談したとしても「個人の価値観の違い」で片付けられてしまう可能性もある。何より、これ以上波風を立てて、子どもたちに影響が及ぶのは避けたかった。
お受験に向けて熱を上げるメリットママ
冬が近づくと、小百合さんは小学校受験に向けてますます熱心になっていった。有名私立小学校のパンフレットを何冊も持ち歩き、情報収集に余念がない。そしてまた、わが子にとってのメリットを声高に語っていた。
小百合:「やっぱり、小学生の頃の環境が大事だと思うの。あの私立小学校なら保護者の方々もそれなりのご職業の方が多いみたい。ハイレベルな環境に身を置くことが、樹里にとって一番のメリットだと私は思うのよ」
その言葉を聞きながら、私は心の中で「樹里ちゃん自身は、どう思っているんだろう…」と考えていた。親の期待を一身に背負わされて、プレッシャーを感じていないのだろうか。そんなある日、商店街の人通りの多い歩道で、小百合さんが樹里ちゃんを叱りつけているのを見た。どうやら受験対策の塾帰りのようだった。
小百合:「今日の態度は何?もっと集中しなさいって、いつも言ってるでしょう! これじゃあ、どこの小学校にも入れないよ?」
ヒステリックな声が廊下に響き渡る。樹里ちゃんは、俯いたまま、ただ黙っている。その小さな背中が、なんだかとても痛々しく見えた。
私は、自分の娘、麻友のことが心配になった。樹里ちゃんと遊ぶ中で、子どもなりに価値観の違いを感じたりすることはないだろうか。
亜由美:「麻友、樹里ちゃんと遊ぶのは楽しい?」
ある晩、寝る前に麻友にそっと尋ねてみた。
麻友:「うん、楽しいよ! でもね、樹里ちゃんママが、時々ちょっと怖い…」
麻友の言葉に、私は胸がチクリと痛んだ。子どもは、大人のそういう空気感を敏感に感じ取るものだ。
亜由美:「そう…そっか。もし、何か嫌なことがあったら、いつでもお母さんに言ってね」
麻友:「うん、わかった!」
麻友の笑顔に救われたけれど、私の心の中のモヤモヤは晴れることがなかった。小百合さんの精神状態は最近どんどん悪化しているし、いつ麻友に対しても「娘に悪影響」と言い出すかわからない。そうなれば、麻友が傷つくことにもなりかねない。それが怖かった。
そして年が明け、小学校受験の結果が出るころ。私は悪い予感が当たってしまうような気がしていた。
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自分の価値観だけでわが子をコントロールしようとする親
娘・樹里に対して自分の価値観を押し付けてばかりいる小百合。亜由美さんは娘の友達でもある樹里が、母親の言動に傷ついているのではないかと心配していました。
亜由美さんの娘も、子どもながらに小百合の言動に恐怖を覚えることがあるようだったといいます。受験期で親がピリピリすることはあり得ることではありますが、周りの子どもとの付き合い方にまで制限をかけるようだと、子どもへの悪影響が心配ですよね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん