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高校から付き合っている彼・悠斗と婚約をした遥。あいさつで訪れた彼の実家では、朗らかな義両親とは対照的に、義姉・美里の冷たい視線とイヤミが結婚への不安を呼び起こし…。
婚約あいさつに訪れた彼の家
「……緊張するなあ」
「大丈夫だよ。何回か遊びに来てるし、その時、そんなにこわくなかったでしょ?」
「それはそうだけど…結婚のあいさつはまた別でしょ?」
私、西原遥は、高校時代から付き合っている彼、滝沢悠斗と婚約をした。そのあいさつに彼の実家へとやってきた。
彼のご両親とは、学生時代から面識があり、2人とも朗らかな印象だったので、緊張しつつも内心うまくやっていけそうだと思っていた。でもまさか、あんなことになるなんて━━。
彼の実家に着くと、お母さんは満面の笑みで、お父さんは私より緊張しているような固い表情で出迎えてくれた。
「遥ちゃん、いらっしゃい!久しぶりね〜」
「ご無沙汰してます。これ、つまらないものなんですけど……」
「そんな、気を遣わなくてもいいのに〜。わざわざありがとね〜。お仕事、大変じゃない?」
「……お母さん。まず、上がってもらいなさい」
陽気なお母さんに冷静にツッコむお父さんの姿を見て、気持ちを和ませつつ「こんな夫婦になっていけたらいいな」と彼との未来に思いを馳せていた。
玄関から居間に案内され、移動する私たち…。すると、目の前を横切るように、別の部屋から一人の女性が出てきた。
「あ、美里。遥ちゃん来てくれたよ」
彼女は美里さん。彼の姉で、私にとっては義姉になる。基本的に、義実家に不満はないのだけれど…気が強くて、どこか見下すような義姉の人柄が、昔から少し苦手だった。彼女はお母さんに声をかけられ、落としていた視線を私に向けた。私は「おじゃまします」と会釈したが、義姉は冷たい視線を向けるだけで、そそくさと居間に向かってしまった。
「ちょっと、美里〜。……遥ちゃん、ごめんねえ」
「いえいえ、大丈夫です」
申し訳なさそうに言う、お母さん。義姉の態度について、私は笑って受け流すことしかできなかった。
義姉の冷たい視線と口にするイヤミ
居間につき、雑談が落ち着くと、私たちは改めて婚約について彼の両親に話した。
感慨深さをかみ締めるような表情の2人に対し、横で聞いていた美里さんは不満げな様子…。
「その歳で結婚って…早過ぎるでしょ。もっとお互いを見たり、貯金してから考えないと、後悔するんじゃない?」
義姉の口からこぼれたのは祝福の言葉ではなく、イヤミや批判の言葉でした。
「ちょっと美里、何いってるの。失礼でしょ?」
「別に…私は心配してるだけ。若いうちの結婚は苦労するでしょ?」
義姉の言い分としては、私たちへの心配らしい…。だが、口調や態度からは、うさ晴らしをしているかのように感じた。
義両親や彼が義姉をたしなめつつ話は進み、結婚式の話題に…。彼と相談している結婚式の計画を義両親に話すと、2人ともうれしそうに話を聞いてくれた。しかし、義姉は気に食わない様子。シビレを切らしたのか…すごい剣幕で私をにらみつけて、
「見積もりが甘いんじゃない?そんな額で式あげるなんて無理だから」
と吐き捨てるように言った。
元々苦手な人ではあったけど…ここまで目の敵にされる心当たりはない。「何が気に食わないんだろう?」そんなモヤモヤした気持ちを残したまま、婚約のあいさつは終わった。
帰り際の冷たい一言と複雑な感情
帰り際…義両親と彼が話している間、玄関に私一人になった時、義姉が近づいてきた。そして、見下すような冷たい視線を向けてきて…
「嫁いでくるってガマンすること多そうだし、大変ね。まあ、がんばって」
と言ってきた。私は呆気にとられ、言葉が出なかった。その直後、彼や義両親が戻ると、義姉はそれまでの冷たい表情から一転…ほほ笑みかけるような表情で私たちを見送った。
私は義姉の言葉が胸に引っかかり、義両親に歓迎されたことも素直によろこべなかった…。こうして、義姉のイヤミな言動が、私の結婚生活に影を落とし始めたのだ━━。
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あらすじ:祝福ムードに影を落とす、義姉の存在
本エピソードでは、結婚を控えた主人公の、義姉に対する複雑な感情を描きました。朗らかな義両親との対比で際立つ義姉の冷たさは、遥の胸に大きな不安を抱かせます。結婚は当事者同士の問題だけでなく、身内になる親族との縁も結ばれるもの…。親族間のトラブルはなるべく避けたいものですよね。あいさつの段階から、大きな違和感を抱く義姉の発言に、不安を抱える遥の心中が伝わってくるエピソードです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










