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🔴【第1話から読む】母のお金の無心が止まらない…私が知らなかった長年の依存
久々に3姉妹で連絡を取り合い、母の車の買い替え費用について話し合う。母への返済を求めつつ、姉妹で負担を分ける方針を決めることで、初めて「家族の問題」として共有する第一歩を踏み出す。
久しぶりの姉妹の会話と心の距離
3姉妹で話し合うのも、いつぶりか━━。
グループチャットの通話越し、久しぶりの3人の会話は、緊迫した現状とは裏腹に懐かしく、どこか温かい。私はその時、姉妹関係の距離に寂しさを抱いていたことを、ようやく自覚しました。どこか冷え切っていた姉妹関係の雪解けとともに、もしかしたら母もどこかに似た孤独や孤立を感じていたのではないかと、思いを馳せました。
私たちは改めて、過去と現在の母からの無心を共有し、どう向き合っていくかを話し合いました。そして後日、私たちは3人揃って母の元を訪れました。
母との直接対話と毅然とした提案
「いらっしゃい。3人で来るなんて、珍しいんじゃない?春香なんて、久しぶりじゃない!」
「なかなか顔出せなくてごめんね。みんなで会おうって話になったからさ」
母はここ最近で一番の笑顔で私たち姉妹を出迎えてくれました。その屈託のない笑顔に、私たちがどうすべきだったのか、この時点でなんとなく分かったような気がしました。
居間に移り、しばらくそれぞれの近況を話しました。これから厳しい話になるかもしれないという、静かな緊張を抱えながらも、そこには穏やかな時間がたしかに流れました。お金のこともあり、厳しい生活ではあったし、真希の話を聞いてからはより複雑な思いを抱えました。だけど、いま目の前にある温かな時間と関係を、きっとみんな共有したかっただけなんじゃないかと、ふと思いました━━。
「そういえばお母さん、車買い替えるんだって?2人から聞いたよ」
長女・春香の一言をきっかけに、 話題は本題へ移りました。真希と私だけでなく、母からも緊張が感じられ、場の空気は一転しました。
「……そうね。2人には相談してたの。それで、真希に1回お金を貸してもらおうって話に……」
「その話なんだけど、3人で出し合うことにするね。あと、大きい買い物でお金を貸すの、今回で最後にしようと思うの」
母の発言を遮るように切り出す春香。予想外の動きと内容に、母は言葉を失いつつも、表情は確実に曇って行きました。
「……ちょっと待って。最後、って?」
動揺の色を隠せない母。その表情を見て苦しくなる胸を感じつつ、毅然と振る舞う私たち。
「……お母さん。今まで私が貸したお金、返してないよね?返してくれるの?」
重い口を開き、母を見つめ話す真希。その目には今までの苦悩と、それでも母を憎みたくないという抗いが滲んでいるようでした。
「……もちろんよ。忘れてるわけないじゃない」
「いつまでに返してくれる?みんなの前で約束したら、守ってくれる?」
その時、遂に真希の目から涙が溢れ出しました。家族のため、陰で支え続けてきた真希。約束を先延ばしにされ裏切られ続けてきても、家族を思い続けた彼女の献身を、その涙が物語っていました。
「そんなつもりじゃ……」
母は何か言いかけましたが、真希の真っ直ぐな視線に言葉を飲み込み、申し訳なさそうに顔を伏せました。
咽び泣き始めた真希の背中をさすりつつ、春香と私は目を合わせ、これ以上の追求は不要と頷き合い、話を進めました。
「そういうわけでお母さん、車の買い替えは3人で負担する。まずは、真希に今まで借りてきたお金を、可能な範囲でいいから返してあげて」
俯く母の顔を覗き込むようにし、春香は優しい言葉と眼差しで語りかける。
「お母さん、私からもお願い」
私も母の手をそっと握り、春香と同様に語りかける。母は静かに頷き、「ごめんなさい……」と後悔の念を滲ませた表情を浮かべていました。
今回の一件、少なくとも私は、母を責めることはできませんでした。母には母なりの苦労や背景があって、それが真希への依存や春香と私への遠慮となっただけ。女手ひとつで家庭を支えようとした母と、そんな母の崩壊寸前に傍にいて、献身的に陰で支えた真希。私は、2人の努力の上に日常を過ごせていたのです━━。
向き合う選択と家族の共有
その後、母の車の買い替えは宣言通り、姉妹3人でお金を出し合い購入。母は約束通り、真希から借りてきた過去のものから返済を始めました。真希の話によると最初の返済時、母から「今までごめんなさい。支えてくれてありがとう」とメッセージが送られてきたそうです。
とはいえ、姉妹全員が母の貯金が少ないことは察していて、全額戻ってくることは最初から諦めています。お金が戻ってこないことは残念だし、何より真希が損をしてしまう結果になってしまったことに悔いが残りました。
「もっと早くに相談し合えたら……」「家族で向き合えていたら……」そんなタラレバを抱きつつも、不幸中の幸いだったのは、最後に「向き合う」という選択肢を取れたこと。本音を伝え、それぞれの背景を共有することで、私たち家族は、最悪の結果だけは免れることができたのかもしれません……。
あとがき:話し合いがもたらす家族の絆
本エピソードでは、姉妹が久しぶりに顔を合わせ、母との直接的な話し合いに臨むことで、家族の問題を共有することの大切さが描かれました。真希の献身や母の過去の苦労、春香の冷静な判断が交錯する中で、話し合うこと自体が癒やしとなり、関係性の雪解けが始まります。困難な現実も、共有と対話によって最悪の結果を回避できること、そして家族の絆を再認識する回となりました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










