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🔴【第1話から読む】出産後のパート復帰→職場に“まだいた”古株お局が厄介すぎる|辞めさせ常習犯のお局を成敗した話
若い従業員に対し「ゆとりだから根性がない」などと批判するお局のパワハラは、他店の応援メンバーにまで及ぶ。せっかく赴任してきた社員スタッフも、お局からパワハラを受けている状況に…。さゆりは、現状の限界を感じ、環境を変える方法を模索し始めます。
予想通りの嵐が到来
私が予感した「嵐」は、すぐに現実となった。
5月の新入社員研修後に配属されてきた、真面目そうな若い社員がいた。彼は大学を卒業したばかりで、いつも少し緊張した面持ちで仕事に取り組んでいた。私たちパートにも丁寧に挨拶をし、積極的に業務を覚えようとしていたから、誰もが「いい子が入ってきたね」と話していたはずだ。
だが、彼は先月、突然辞めてしまった。
現場の仕事を教えていたのはお局だった。というよりも、おつぼねが勝手に社員の指導に口を出し、すべてを自分のやり方に従わせようとしていた、という方が正確だろう。
「今の若い子は気が利かない。なんであんなことも気づかないのよ!」
「あんたは給料もらってるんだから、パートの私より残業してでも覚えなさいよ!」
おつぼねの声は、休憩室にまで響いていた。私はそのたびに、胸が締め付けられるような思いで聞いていた。
すばらしい人財が潰された後悔
そして辞めてしまう社員の最後のシフトの日。私はたまたまシフトが重なっていた。彼が私に話しかけてきたのは、退勤前の、店裏の通用口だった。
「さゆりさん、お疲れ様です。あの、今日で終わりなんです」
彼の顔は蒼白で、声には力がなかった。
「えっ…!辞めるって聞いてなかったよ。どうしたの?」
私は驚いて、思わず声を上げた。他の社員やパートに相談している様子は全くなかったからだ。彼は周りを気にしながら、絞り出すように言った。
「…鈴木さんに言われたんです。『あんたのせいで店の士気が下がる』って。僕の存在が迷惑だって。他にも、僕を否定されるようなことばかり言われて…誰にも相談できなくて。毎朝、胃が痛くて目が覚めるようになってしまって…」
「そんな…!誰かに話せなかったの?私だって、こうなる前に話を聞かせてほしかったよ」
私の問いかけに、彼は力なく首を振った。
「さゆりさんは優しくしてくれたけど…相談したことがバレたら、もっとひどい目に遭うと思ってしまって。それに、パートの人に社員が相談するのも、気が引けて…」
彼はそう言って、深々と頭を下げた。
「すみません。本当に、お世話になりました…」
私はかける言葉が見つからなかった。ただ、「お疲れ様。ゆっくり休んでね」としか言えなかった。彼の背中を見送り、通用口の扉が閉まった後、私はその場に立ち尽くした。怒りが沸き上がると同時に、強い後悔の念が押し寄せた。
実際、お局の「指導」のせいでやめた人は彼だけじゃない。私が勤続している間に何人もやめている。本当にあの人は“辞めさせ屋”なのだ。
後悔を感じ、立ちかう覚悟をする
あの時、おつぼねの暴言を聞いた時に、もっと積極的に彼に声をかけていれば。休憩中に「大丈夫?」と声をかけるだけでなく、「何かあったらいつでも私に言って」と強く伝えていれば。店長や地域社員に、もっと強く「あの人の指導は度を超えている」と進言していれば。
あの真面目な彼が、たった数か月で心を病んで辞めてしまった。彼は誰にも相談できず、一人で悩みを抱え込み、静かに職場を去ったのだ。この出来事が、私の中でくすぶっていた小さな不満の火種を、逃してはいけないという使命感と強い怒りの炎に変えた。
「これからもあの人のせいで辞める人が出てきたらどうしよう…?いや、次こそは、絶対に阻止しなければ」
そう決意した時、私の心は初めて、事態を見て見ぬふりをせず、お局に真っ向から戦いを挑む覚悟を決めたのだった。
🔴【続きを読む】「ゆとりだから根性がないわね」お局パートによるパワハラがひどい|辞めさせ常習犯のお局を成敗した話
あとがき:沈黙の代償と、怒りの炎
「誰にも相談できず辞めていった新人」の存在は、さゆりにとって決定的な後悔となりました。この出来事は、見て見ぬふりをした沈黙の代償として、さゆりの心に重くのしかかります。
感情的なパワハラが、真面目な人のキャリアや心をいかに簡単に破壊するか。それを目の当たりにしたさゆりの心に湧いた「強い怒り」こそが、彼女を傍観者から行動者へと変える一歩です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










