妊娠中の主人公・みちるは、優しい義妹・さとみから、弟でさとみの夫・りょうたの暴言と支配について相談を受けます。単なる短気ではない違和感がつのりますが、みちるには弟を強く問いただせない理由がありました。
弟の妻が気がかり
わたし、みちる(35)は、夫のなおやと2人で、都心から少し離れた場所で暮らしています。性格はどちらかというと引っ込み思案。人前で強く意見を言ったり、揉め事を起こしたりするのは苦手なタイプです。でも、一度決めたことは曲げない芯の強さも持っているつもりです。そんなわたしの現在の大きな喜びは、おなかにいる新しい命。現在妊娠中で、安定期に入ったばかりです。
わたしの実家は少し特殊で、わたしは5人兄弟。長女であるわたしを含め、上四人は全員女。そして末っ子で一番年が離れているのが、弟のりょうた(29)です。男の子が1人だけという環境で育ったからか、弟は幼い頃から少し特別扱いされていたようにも思います。
その弟が、去年の春に年上の方と入籍しました。義妹・さとみ(33)さんです。彼女は本当に、驚くほど優しい人。控えめで、いつも相手を気遣う姿勢が見て取れます。ただ、結婚前からメンタルクリニックにかかっていて、服薬も続けているため、精神的に少し不安定なところがある、と弟から聞かされていました。
親族の集まりで見かける彼女は、夫である弟に何を言われても反論できず、全てを受け入れてしまう傾向にあるように見えました。
義妹から聞く弟の様子
親族の集まりでよく話すようになったからか、さとみさんから私に連絡が来るようになりました。最初は「お義姉さん、この前のお土産ありがとうございます」といったたわいのない内容だったのですが、次第に「りょうたくんのことで相談に乗ってほしい」という話題も。
「みちるさん、実は…、この間りょうたが『なんで俺より稼ぎが少ないのに、偉そうなこと言うんだ』って言ってきて…」
「わたしが夜ご飯の準備をしている時に、テレビの音量を少し上げたら『うるさい、耳障りだ』って…」
最初、わたしは弟のいつもの短気な振る舞いだと思っていました。りょうたは昔から少しでも自分の思い通りにならないと激昂する傾向があったからです。
「大丈夫?りょうたも疲れているのかな」
と、適当に相槌を打ち、愚痴を聞いていました。でも、その愚痴は、だんだんと様相が変わっていきます。
怖い存在の弟
しかし、愚痴は日に日に増えていきました。
「家のお金の管理は全部俺がする」と、通帳を取り上げられたこと。「お前にプライベートなんて必要ない」とスマホを取り上げられ、しばらく誰とも連絡が取れなかったこと。話を聞いているうちに、これは単なる夫婦喧嘩や短気の問題ではない、と感じるようになりました。
さとみさんは、話すたびに申し訳なさそうに「こんなこと言ってごめんなさい」と謝ります。電話の向こうから伝わる声もか細くなっていました。わたしは心の中で「このままではいけない」と強く思い始めました。
でも、わたしにとって弟は怖い存在です。思春期からキレやすくなり、何か気に入らないことがあると大声を出す傾向にありました。私の性格的にも怖い相手に言い返すのは苦手で、実の弟であるにも関わらず、何年も、まともに話せていないのです。
とはいえ、さとみさんの訴えをこのままにはできません。違和感の正体が何なのか、そしてどうして弟がこんな風になってしまったのか、その根源的な問題に目を向けなくてはいけないと考えるようになりました。
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あとがき:義妹の悩み
誰にでも優しく、反論できないさとみさんの姿が、読んでいてとても胸が苦しくなりますね。弟りょうたの攻撃的な態度は幼い頃からあり、みちるさんも「怖い」という感情に縛られています。
大切な義妹を助けたいのに、恐怖で動けないみちるさんの葛藤は、共感する方も多いのではないでしょうか。この「見て見ぬふり」が事態を深刻化させる中、みちるは決断を迫られる予感がします。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










