🔴【第1話から読む】自宅に段ボールいっぱいの“商品”、紹介ビジネスにハマった義姉に戸惑い|ネットワークビジネス義姉
義姉の勧誘はエスカレートし、義母は半ば強制的に商品を購入させられます。さらに義姉は、テニスを口実に夫・正春を勧誘の場に誘い込んで…。
義姉の圧に家族も引き気味
「かなこちゃん、聞いて聞いて!今度のミーティング、本当にすごいんだから!」
ある週末の昼下がり、義姉のまみさんが帰省してくるなり、リビングの空気が一変しました。はるとがおもちゃで遊んでいる隣で、彼女は目を輝かせて一方的に話し始めます。
「ねえ、すごいリーダーさんがいるんだよ!その人、元は普通のサラリーマンだったのに、今はもうこれだけで生活できてるんだって!すごい儲かってるんだよ。すごくない?」
「あ、ええ、すごいですね……」
私は曖昧に答えるしかありませんでした。彼女の話は、商品の素晴らしさから始まり、いかにそのビジネスが「時代に合っている」か、そして「参加している仲間が皆どれだけキラキラしているか」という内容で満たされていました。
「この商品がすごい良くて、周りの皆も使ってて、本当に生活が変わったんだよ。かなこちゃんもさ、はるとくん育てながらでもできるよ?時間なんて関係ないし、仲間と協力してできるから!」
勧誘の言葉は、以前よりもずっと露骨になってきています。私はなるべく目を合わせず、はるとに注意を向けているフリをしました。
義母を気遣うが…
そして、義母への勧誘もエスカレートしていました。
「お母さん、このサプリ、毎日飲まないとだめ!健康はお金で買えるのよ!」
義母は困ったように微笑みながら、まみさんが置いていった健康食品を仕方なく口にする。義母は胃腸が弱いのに、まみさんは「デトックス効果があるから」と半ば強引に買わせている様子。強引に買わされた商品が、棚の奥で消費期限を迎えようとしているのを見るたびに、私は罪悪感と怒りが混じった感情を覚えます。
「お姉さん、お義母さんは体が弱いから、いきなり量を増やすのはやめた方がいいんじゃないですか?」
と私が遠慮がちに言うと、まみさんは「かなこちゃんはまだこの商品の本当の良さを知らないんだね。大丈夫、これは自然なものだから!」と、私の忠告を鼻で笑うように一蹴しました。
義姉の暴走はついに夫にまで
さらに困ったことに、彼女の営業活動は、とうとう夫の正春を巻き込み始めました。
「正春、今度、会員が集まるテニスサークルがあるんだけど、一緒に行かない?運動不足解消にもなるし、みんな良い人ばかりだよ!」
正春は学生時代からテニスが好きで、義姉はそれを知っていたのです。最初は「ちょっと怪しいんじゃないか?」と躊躇していた正春ですが、まみさんの「えー、別に普通のテニスだよ?スポンサーがネットワークビジネスの会社なだけで!」
「みんな純粋にテニスを楽しんでるんだよ!」という明るい誘いに、あっさりと「まあ、テニスするだけならいいか」と承諾してしまったのです。
「ちょっと、正春。そういうの、調べた方がいいんじゃないの?」
「なんで?テニスだよ。姉さんの紹介だし、危ないことするわけないじゃん」
正春は、義姉がテニスという「無害なもの」をダシにしていることに全く気づいていないようでした。
私の心の中では警報が鳴り響いていました。調べれば調べるほど、そのテニス大会やサークルが、会員獲得のための「誘い込みの場」であることは明白でした。行かせたくない気持ちが、日に日に強くなっていきます。
でも、どうやって正春を止めればいいのでしょうか。義姉の話を聞き入れ、危険なことだと思ってもいない夫に、私の不安を伝えるには、どうすればいいのか皆目見当もつかないのでした。
🔴【続きを読む】「普通のテニスサークルじゃない」勧誘の場への妻の警戒→夫に届かず|ネットワークビジネス義姉
あとがき:沈黙の共犯者
第2話では、義姉の熱意と、夫・正春の無関心という二つの問題が浮き彫りになります。正春の「見て見ぬふり」や「面倒事を避ける」態度は、義姉の行動を間接的に助長し、かなこを孤立させていきます。ネットワークビジネスの勧誘は巧妙で、テニスという「無害なダシ」を使う手口は、正春のような平和主義者を容易に引き込みます。この話は、善意による無関心が、いかに家族を危険に晒す「沈黙の共犯」になりうるかという、現代の人間関係における警鐘を鳴らします。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










