🔴【第1話から読む】自宅に段ボールいっぱいの“商品”、紹介ビジネスにハマった義姉に戸惑い|ネットワークビジネス義姉
かなこは「商品の良し悪し」ではなく「家族の意思と必要性」に基づき、義姉にネットワークビジネスへの関与を断ることにしました。誠実な「NO」は義姉に受け入れられるのでしょうか。
わたしには不要なだけだと気づく
ネットワークビジネスの商品を愛用する友人・ななえと話して以来、私の心の中の霧が晴れたような気がしていました。私が本当に嫌だったのは、商品そのものや、ビジネスの仕組みではなく、義姉の「押し付けよう」とする熱意と、それに付随するプレッシャーだったのです。
改めて義姉が扱っている商品について調べてみました。中には、確かに世間一般でも評判の良いものや、こだわりを持って作られているものもありました。ほしいと思う人にとっては、良いものなのかもしれない。だけど、私には今必要なものではないし、何より、その仕組みで「稼ぎたい」とは思わない。私たちの家計を支える方法は、他にある。
この気持ちを正直に、でも義姉を傷つけないように伝えることが、今の私にできる最善の防御であり、正春をテニスから遠ざける最良の方法だと確信しました。
テニスの予定が迫った週末、義姉が義実家に来たタイミングを見計らって、私は彼女をリビングに誘いました。
義姉からの謝罪
「お姉さん、ちょっとお話いいですか?」
「もちろん!かなこちゃん、最近肌の調子悪くない?私の使ってる化粧水、試してみる?」
話そうとすると、すぐに勧誘の言葉が飛んできます。私は深呼吸をして、冷静に切り出しました。
「ありがとうございます。でも、今は大丈夫です。実は、お姉さんがしているビジネスのことなんですけど…」
義姉の顔から笑顔が消え、少し身構えたのが分かりました。私は早口にならないよう、言葉を選びました。
「お姉さんが気に入った商品を広めたいと思っているのは分かりました。姉さんが熱心に活動されていることも、すごいなって思っています。ただ、私と正春については、今はそういうものは必要ないんです」
「うーん、すごくいいものなのよ?はるとくんの健康にも」
「はい、お姉さんは私たちを思って熱心に勧めてくれているんだと思います。でも、今の私たちがほしいもの、必要なものとは、ちょっと違うんです。それに、ビジネスについても今の私たち家族には必要ないなと思うんです」
私は「商品の良し悪し」ではなく、「私たち家族の意思と必要性」だけを根拠に断りました。
私の言葉は、義姉の熱意を否定するものではなく、ただ「自分たちは選ばない」という強い意志を示すものでした。義姉はしばらく黙っていましたが、意外にも素直に、そして少し寂しそうな表情で言いました。
「…そっか。かなこちゃんが、そう言うなら…わかった。ごめんね。強引だったよね」
キチンと断ることも重要
義姉は自分の勧誘や家族へのアピールが少し強引だったことに、自分でも気づいていたのかもしれません。その日以来、義姉は私たちの前でネットワークビジネスの話をすることはなくなりました。
義姉自身は商品を買うしセミナーにも行っているようですが、以前のような家族への圧力は感じられず、話題の一つという印象。夫を勧誘の場に誘うこともなくなり、おかげで義姉とは、今も良好な関係を続けています。
ななえと話して気付いた、「押し付け」への嫌悪感。そして、その嫌悪感を曖昧にせず、きちんと「NO」と伝えることの重要性。断ることは、相手との関係を終わらせるのではなく、むしろ健全な境界線を引き、お互いの尊重を守るために大事なことだと感じたできごとでした。
義姉のビジネスの行方はわかりませんが、今後も自分たちの領域はしっかりと守りつつ、親族としてのお付き合いは健全に続けられたらと思っています。
🔴【第1話から読む】自宅に段ボールいっぱいの“商品”、紹介ビジネスにハマった義姉に戸惑い|ネットワークビジネス義姉
あとがき:尊重という名の防御
最終話は、感情や商品への批判ではなく、「家族の意思と必要性」という、最も動かしがたい根拠で断るという、主人公の成熟した対応が焦点です。ななえから学んだ「選択の尊重」の姿勢で、義姉の熱意を否定せず、ただ「自分たちは選ばない」という強い意志を示すことに成功します。これにより、義姉との関係を壊さずに健全な境界線を引き、夫のテニス参加という危機を回避します。「断ることは関係の終わりではなく、尊重の始まり」であるというメッセージで、物語は幕を閉じます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










