主人公・由香里は小学2年生になる娘・葵の母親です。葵はこのごろ、ショート動画で見るような、キラキラしたダンスに憧れていました。そんな葵の熱烈な希望で、由香里は近所のダンススクールに入会を決めますが…。
華やかな夢と、固く閉ざされた輪
私の娘・葵がダンススクールに入ったのは、小学2年生の春。葵はスマートフォンやタブレットのショート動画で流れる、華やかなダンスに夢中でした。
「私もあんなふうに踊りたい!」と目を輝かせる葵に、私は背中を押されるように、地域のダンススクールに入会を決めました。
そのスクールには、小学校低学年から中学生まで、多くの子どもたちが在籍していました。葵と同じ低学年のクラスには、同い年の子が他に3人、そして小学3年生の子が1人の、計4人がいました。
子ども同士は、すぐに打ち解けてくれて、休憩時間にはきゃっきゃと笑い合い、楽しそうにしています。葵も新しい友達ができて、毎週のレッスンを心待ちにするようになりました。
しかし、親のコミュニティーは、子どもたちの様子とは裏腹に、ちょっとした序列がある様子。中心にいたのは、小学3年生の娘を持つ沙織さんで、いわゆる「ボスママ」です。
あと2人の低学年のママたちは、皆、沙織さんの取り巻きといった雰囲気でした。私はこのグループに後から入った形になり、レッスン後の井戸端会議の輪にもなかなか馴染めませんでした。
背後に届く、最初の「チクッ」
沙織さんは、子どもたちには常に優しく、レッスン中も笑顔で見守っています。しかし、新入りのママである私とは距離があるように感じていました。
そして、最初にチクッと言われたのは、入会して間もない頃のこと。クラスの連絡用として保護者間で作っているLINEグループに、沙織さんから、私あてのメッセージが届いたのです。
「今日、葵ちゃんのステップが全然踏めていませんでした。家でちゃんと練習させるのも大切な親の役目ですよ」
という、丁寧ながらも高圧的なものでした。私は「すみません、家でもしっかり練習させます」と返しましたが、コーチでもない生徒のママにここまで言われるとは、ちょっとした違和感を覚えました。
とはいえ「ダンスは団体でするものだから仕方ないのかな」と、このときはあまり深く考えないようにしていました。でも、このコミュニティーの異様さはまだまだこんなものではなかったのです―――。
🔴【次の話を読む】「あなたの子だけ変」ダンス教室ママとのメッセージが地獄|ダンススクールのママ友が怖い
崩れゆく、習い事の日常
この第1話では、由香里がダンススクールという新しいコミュニティで直面した、親同士のグループ化とボスママ沙織さんの存在が描かれます。子どもへの優しい態度とは裏腹に、由香里へ送られたLINEのメッセージは厳しいものでした。
チームで踊るダンスチームならではの厳しさもあるのかもしれませんが、新しく加入したばかりの由香里にはきつい言葉だったようですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










