🔴【第1話から読む】ママ友を家に残し「コンビニに行ってくる」→“たった5分”で信頼崩壊へ|ママ友にタンス貯金を盗まれた
監視カメラのおかげで、ママ友・ともみさんがお金を盗んでいることを突き止めたゆり。ゆり夫妻の怒りに怯えながら、ともみさんは盗んだ理由を話し始めます。
お金を盗んだ理由を聞いても許せない、だけど…
私たちは、ともみさんの夫にもすぐに来てもらい、目の前で、もう一度、監視カメラの映像を見せました。ともみさんの夫は、最初は信じられないという表情でしたが、映像を見て、そして泣きじゃくるともみさんを見て、すぐに事態を悟りました。
私たちは、ともみさんに、なぜこんなことをしたのか、正直に話すように詰め寄りました。ともみさんは、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、言い訳にも聞こえる、悲しい事情を話し始めました。
「生活が…どうしても苦しくて。夫が借金していて、仕事も転々とするし…」
この期に及んで夫のせいにするともみさんに、私は心底失望しました。
「ブランドバッグが…欲しかったんです。周りのみんなみたいに私も、少しでも豊かな生活をしている気持ちになりたくて…」
その告白に、私たち夫婦だけでなく、ともみさんの夫も、言葉を失いました。やがて、ともみさんの夫は、私たち夫婦に向かって、深々と頭を下げ、土下座をしました。
「本当に、申し訳ありません。妻が、こんな卑劣な真似を…今すぐ警察に連れていきます」
ともみさんの夫は、心底、私たちに謝罪してくれました。その姿を見て、私たちは、これ以上、事を荒立てるべきではない、と考えました。私たちも、息子が同じ幼稚園の親友と、このような泥沼の騒動を起こしたくはなかったのです。
夫と相談し、私たちは、通報しない代わりに、以下の条件を提示しました。
・盗まれたお金、つまり2万円を、すぐに返済すること
・金輪際、私たち夫婦や息子に関わらないこと
ともみさん一家は、すぐにこの条件を呑み、その場で盗んだお金を返してくれました。前回の1万円札は、火が浅かったからかどうやらまだ使っていなかったようです。さらに、ともみさんの夫からは、謝罪のしるしとして、後日丁重なお詫びの品も受け取りました。
どんなに信頼している相手でも、警戒心は忘れない
数日後、私たちは幼稚園から、ともみさん一家が遠方に引っ越すことになったという連絡を受けました。私たちが、ともみさんと顔を合わせることは、二度とありませんでした。
息子は、仲良しの友達が突然いなくなってしまったことに、少し寂しそうな様子を見せましたが、こればかりは、どうすることもできません。
5年間、とても信頼し、助け合ってきた親友からの裏切り。そのショックは、計り知れないものでした。私の心には、大きな穴が開いたように感じました。
「金銭的に苦しいなら、正直に言ってくれれば、何か手助けができたかもしれないのに」
そう考えるたびに、胸が締め付けられます。しかし、彼女の行動は、私たちの信頼を完全に踏みにじってしまいました。夫は、私のそばで、優しくこう言ってくれました。
「悪いのはすべてともみさん。ゆりには、何の非もないよ」
「ううん…」
いや、私にも非はあるのです。他人がいる中で、大切なものを置いている場所を不用意に家を留守にしてしまったこと。油断していたのは事実です。もし私がそんなことをせずにともみさんとお付き合いしていたら、ともみさんがお金を盗むことはなかったのかもしれません。遅かれ早かれなのかもしれませんが。
人は、見かけだけでは分かりません。親友だと思っていても、その人の心の闇や、隠された事情までは、決して見抜けないものです。この経験は、私にとって、あまりにも苦いものでした。しかし、これからは、人間関係においても、また、自宅の防犯に関しても、慎重に、そして注意深く生きていこうと、心に誓ったのです。
穏やかな日常は戻ってきましたが、私の心の中には、まだ、あの日の監視カメラの映像が、焼き付いたまま残っています―――。
あとがき:信用と油断は紙一重
夫の言う通り、ともみさんにすべての非はありますが…確かにゆりも、不用心だったかもしれません。いくら信用していても、他人を家に一人にするのはどんな危険があるかわかりません。
皆さんも信用しているからといって油断までしないよう、気をつけましょうね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










