仕事にささやかな充実感を覚える主人公・川島。ある日、いつも明るかった藤井さんが、突然「働くのが苦しくて...」と涙ぐんでいました。川島自身も、誰にも話せずにいたできごとがありました。
距離を置きたい「お局おばさん」
私が近所のスーパーでパートとして働き始めて、もう3年が経ちました。
30代も半ばに差し掛かって、体力が落ちてきたなと思うことは増えましたが、それでも毎朝の開店準備の空気感は好きでした。静かな少し肌寒い店内で、棚に商品を並べている時間が、なんとも言えず充実しているように感じるのです。
ここは、私にとって比較的穏やかに働ける場所———のはずでした。そう、”高山さん”に関わらなければ。
高山さんはパート歴10年以上のベテラン。仕事上は頼れる人ですが、誰もが少し距離を置いてしまうような存在でした。機嫌が悪いと必要以上に扉を勢いよく閉めたり、カートを乱暴に扱ったり、あいさつをしても返ってこないことが多いのです。
それでも私は「仕事上の関係だから」と割り切って、なるべく刺激しないように接していました。
ベテランの圧力
そんなある日、休憩室でお茶を入れていると、パート仲間の藤井さんが、そっと近づいてきました。藤井さんは2人の子どもを育てているシングルマザーで、いつも明るく、爽やかな笑顔が印象的な人。私より少し年下ですが、仕事がていねいで尊敬できる人です。そんな藤井さんにしては珍しく、このときはうつむいて目が泳いでいました。
藤井「川島さん……ちょっといいですか?」
私「うん、どうしたの?」
藤井「その……高山さんのことで……最近しんどいんです」
その瞬間、胸の奥がざわつきました。
私「なにかあったの?」
藤井「この前ミスをしてしまった時に叱られて、そのあとは何をしても無視されていて......」
藤井さんの肩は小刻みに揺れていました。2人の子どもを育てながら働いている彼女は強い人です。それでも、毎日職場で理不尽な扱いを受けていたら、心がもたなくなるのも当然だと思いました。
私「大丈夫? 少し座ろうか」
藤井「……すみません。誰に相談していいか分からなくて。毎日顔色を伺いながら働くのが苦しくて……」
その言葉を聞いて、胸の奥がチクリと痛みました。私も、実は高山さんについて誰にも言えていないことがありました。実は最近、高山さんから「お金を貸して」と言われて、とても戸惑ったのです。
私も高山さんのことで困っている今、藤井さんとは困りごとを分かち合いたいと思いました。困ったお局的存在である高山さんを、なんとかしたいと考えたのです。
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あとがき:大切な職場環境
職場のちょっとした空気の変化は、毎日そこで働く私たちにとって大きなストレスになりますよね。今回描かれたのは、そんな「言いにくいけれど確かに存在する苦手な人」との距離感でした。
職場によくいる「ちょっと付き合いにくい人」、あなたはどのように関わっていますか?
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










