主人公・れいこは夫の転勤に伴い、あるママ友ができた。しかしそのママ友は常識が通じず、なんと朝から家に押しかけてきたりと奇行を繰り返していて…。
素敵な街に引っ越してきたのに、心にモヤモヤが…
1年ほど前のことになりますが、夫の転勤が決まった時、私は不安よりも期待の方が大きかったのを覚えています。それまで住んでいた場所は少し手狭でしたし、何より新しい環境で、幼稚園に上がる息子と三人、心機一転して生活を始められることが楽しみでなりませんでした。
引っ越し先のこの街は、緑が多く公園も整備されていて、子育てをするにはうってつけの場所。さらに幸運なことに、夫の新しい職場までも近いのです。朝はゆとりがありますし、夕食も家族揃って温かいうちに囲める。そんな理想的な日々が約束されているように思えました。
引っ越してきて最初の数週間は、本当に夢のような毎日でした。ご近所の方々も親切で、息子もすぐに新しい環境に馴染んでくれましたし、夫も「ここに来てよかった」と満足げに晩酌を楽しんでいました。私も心からそう思っていました。
ただ、その理想的な生活に、一滴の黒いインクが垂らされ、それがじわじわと広がっていくようなできごとが起き始めたのです。
家族ぐるみで仲良くなったママ友が、少しおかしい…?
そのモヤモヤの正体は、あけみさんという女性でした。今回の転勤は夫だけのものではなくて、会社のプロジェクトごとの異動だったため、夫の部下も家族を連れてこの近辺へ引っ越してきていたのです。
あけみさんは、その中の一人の奥様でした。 あけみさんの夫は、夫の部下にあたります。年齢は私より2つほど下でしょうか。小柄で愛想が良く、一見するととても人懐っこい印象の女性です。娘さんは私の息子と同い年で、偶然にも同じ幼稚園に通うことになりました。
最初は、「同じ境遇のママ友ができて心強い」と感じました。夫の職場も同じ、子供の年齢も同じという共通点は、一気に距離を縮めるのに十分な要素です。 しかし、あけみさんの私に対する距離感は、「異常」とも言えるものだったのです。
違和感を覚えたのは、引っ越しから1ヶ月も経たない頃。 あけみさん一家が住んでいるマンションは、夫たちの職場から車で20分ほど離れた場所にあります。
ある日の早朝、まだ空が白み始めたばかりの時間帯に、玄関のインターホンが鳴り響きました。時計を見ると、針はまだ朝の6時。こんな時間に何か緊急事態でも起きたのだろうかと、私は寝ぼけ眼をこすりながら慌ててモニターを覗き込みました。 そこには、満面の笑みを浮かべたあけみさんと、眠そうな娘さんが立っていたのです。
朝6時の訪問、これって普通?
「おはようございますー!れいこさーん!」
モニター越しに聞こえるやけに元気な声に、私は状況が飲み込めないまま玄関を開けました。
「あけみさん? どうしたの、こんな時間に……」
私が驚いて尋ねると、あけみさんは悪びれる様子もなく言いました。
「ごめんねー、早かった? パパの出勤が早くてここまで乗せてもらっちゃった。登園まで一緒に居れば、幼稚園も近いしさ」
「え……今、6時だよ?」
「幼稚園の時間まで遊ばせてもらえないかな~と思ってさ」
常識的に考えて、朝の6時に他人の家へ「遊びに来る」というのはあり得ません。朝食の準備もしていなければ、私自身パジャマ姿で、化粧どころか顔も洗っていない状態。夫もまだ寝室です。
けれど、相手は夫の部下の奥様であり、これから長い付き合いになるママ友です。無下に追い返すこともできず、私は引きつった笑顔で招き入れるしかありませんでした。
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あとがき:さすがに常識知らず?
さすがに朝六時にお宅訪問は常識では考えられませんよね。しかし立場を考えると強く言えないれいこのきもちも、痛いほど皆さん分かるのではないでしょうか。
人懐っこいだけなのか、それとも本当にずれている人なのか…一体どちらなのでしょう。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










