🔴【第1話から読む】「絶対、わざとだ」偶然再会した友人男性→好意を持たれて“地獄の始まり”|最低!既婚ストーカー男
平和を取り戻したかに見えた萌子だったが、武内は共通の友人・美香を介して仲直りを求め、執着を見せます。そして、誰かから萌子の職場を聞き出した武内は、退勤時間に合わせて職場のビル付近に出没し始めて…。
共通の友人の話にゾッとする
英会話教室を辞め、武内をブロックしてから、数週間が経った。ようやく安堵感が戻り、圭吾と過ごす週末の時間が以前にも増して穏やかに感じられた。しかし、その平和は長く続かなかった。
ある日、共通の知り合いである友人の美香から連絡がきた。「気になることがあって…」というので会ってみると、なんと武内くんのことだったのだ。
「武内くんがさ、萌子に話を取り次いでほしいって、しつこいんだよね…」
美香の口から出た名前に、私の背筋が凍った。
「し、しつこいって?」
「萌子ちゃんと仲直りしたいから、間に入ってくれないかって。何回も何回も連絡してくるの」
美香はうんざりした表情で、私にスマホの画面を見せた。武内と美香のLINEのやりとりだ。
一方的なメッセージ
武内:「萌子ちゃんにさ、俺が悪かったって伝えてくれる?」
美香:「あんまりしつこいと迷惑だと思うよ」
武内:「わかってるんだけど…」
そのやり取りは、美香が最後に無視するまで、1、2週間に1度のペースで繰り返されていた。
美香「しつこいっていうか、ストーカーの一歩手前だよ、萌子が心配で…」
萌子「……鳥肌が立ったよ…」
完全に拒絶された人間に、ここまで執着する心理が理解できない。ただただ、その歪んだ情念の吐き出し先に私がいるという事実が恐ろしかった。
そして、事態は最悪の方向に進んだ。共通の知り合いが多いという厄介な環境が、私を追い詰めた。誰かが、何気ない会話の中で私の職場の名前を漏らしたようなのだ―――。
ついに職場にまでやってきた
その日の退勤時間、私は職場のビルを出て駅に向かって歩いていた。夕闇が迫り、人通りも多い時間帯だ。街路樹の陰に、見覚えのある男の姿があった。武内くんだった。彼は、スマホを触るふりをしながら、歩く人たちを観察して明らかに誰かを探している。きっと私を探しているんだろう。
少し離れたところで見つけることができたので、私は駅に向かうのをやめて通りのタクシーを拾うことにした。タクシーを止めたその瞬間、振り返ると私を見つけた武内くんが、笑顔で手を振ってこっちにくるところだった。
「すみません!すぐ出してください!」
タクシーに乗り込んだ私は青い顔で運転手に頼み、武内くんに捕まらずにその場を去ることができた。武内くんはまだこっちを見ていたのかもしれないが、怖くて振り返ることはできなかった。
私はパニックになった。もしもそのうち職場に乗り込んできたらどうしよう。かと言って、はまだ直接的な被害(暴行や脅迫)を加えているわけではない。ただ、職場付近をうろうろしているだけ。警察に相談しても、「ただの偶然かも」「様子を見ましょう」と相手にされないかもしれない。
私は誰にも相談できず、外出が怖くなり、毎日怯えるしかなかった。この悪夢を終わらせるには、どうすればいいのだろう。この理不尽な状況を、法や暴力に頼らず、終わらせる方法はないのだろうか―――。
あとがき:日常を奪う、見えない「監視」
この話では、ストーカー行為の手前、という最も対応が難しい段階に入ります。彼はまだ直接的な脅迫や暴力を振るっていません。ただ「偶然を装って」職場付近にいるだけです。この曖昧さが、警察や他人に相談しにくい一番の壁となります。萌子が誰にも言えないのは、彼を刺激して事態を悪化させたくないという恐怖心と、既婚者同士のトラブルを公にしたくないという羞恥心です。彼の執着は、物理的な攻撃よりも、精神的な「日常の安心感」を破壊しにかかっています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










