🔴【第1話から読む】口を開けば「いいな」「羨ましい」→中学時代からの推し友に感じた“変化”|卑屈すぎる友人がしんどい
結婚してから卑屈めいた言動になった沙織。溝ができた彼女に沙織は、久しぶりの旅行を提案します。望がプランを決めてほしいと伝えると、彼女から長いプランメッセージが届きました。
望のプランで見えた新たな一面
望が行き先として決めたのは温泉地。私たちが初めて一緒に旅行をした場所だ。当時よりも格上の温泉ホテルに宿泊して、観光では彼女が行きたいという美術館や公園へ足を運んだ。
「美術館、一緒に入るの初めてだね」
「沙織はあんまり興味なさそうだったからさ」
「私がプランを立てると、食べ物ばっかりだもんね」
グルメ重視な私はいつも食べ歩きを提案していたが、望は観光や美術鑑賞をしたいという気持ちもあったらしい。20年間も付き合ったのに今さら。知らないことばかりだったことに気づかされた。
夜は部屋で料理を堪能。一緒にお酒を飲んでいると望は笑ってこう言った。
「今回はありがとう。私に任せるなんて言われてびっくりしたけど、楽しかったよ」
「こちらこそ、いつも私の提案ばっかりだったもんね」
「私、沙織と自分を勝手に比べて、卑屈になるようになっちゃってた」
望は自分の気持ちを話し始めてくれた。
彼女たちが出した答え
「本当は自分にだって良さがあると思いたかったし、きっとそうなのに、つい比べて負けてる部分にばかり目を向けちゃってさ」
「負けてるだなんてことないよ。望にしかない良さがあるもん」
「うん、そうだね。…ちょっと、気づくのが遅かったよ」
望は顔をあげて急にこう言った。
「お願いがあるんだけど。沙織、しばらく距離を置かせてほしいの」
「え?」
「沙織がそばにいるとどうしても比較しちゃう。子どものころからの習慣って簡単に変えられなくて。でも、本気で変わりたいの」
彼女は語る。長年こじらせてしまった卑屈さから脱却したい。そのためには、抱えている問題を私に頼らず解決したいのだと。新たなスタートを切ろうとする、力強い姿だ。
大切な推し友と距離を置くだなんて、本当は嫌だと言いたい。でも、優しい望にいつも甘えていた自覚があるからこそ、望の考えに応じたい気持ちも強かった。
「…わかった。じゃあ、これはファイナルツアーだね」
「うん」
これは悲しい疎遠ではない。未来に向けた別離なのだ。
時を経て、また繋がる
半年後、望は勝さんと離婚したという。夫の賢治によると、勝さんは会社でグチグチと元嫁である望の悪口を言いふらしているらしい。
「あんな性格だから離婚されるんだろって、周りは呆れてるよ」
「そっか」
何も知らない賢治も、勝さんの普段の行いのせいか、彼が悪いと見透かしている。望は宣言通り頑張ったのだ。そんな彼女を誇りに思う。
それから静かに生活を続けて3年後、久しぶりに望からメッセージが届いた。空白の時間を気にもせず、推しアイドルの全国ツアーのURLを張りつけている。
「ねえ沙織、久しぶりによかったら一緒に行かない?」
「…ふふっ」
思わず笑いが漏れ出る。風の噂で、彼女は独身を貫いていると聞いた。あれからきっと、自分らしい道を歩んだのだろう。今の望を知りたい。確認し合えばきっと、私たちの友人関係も新たなスタートを切る。はやる気持ちでメッセージを打った。
「いいね、行くしかない!」
彼女といると、いつも、あのころに戻れた。3年の時を経て、私たちの友情は第2章を迎えたのだ。
あとがき:「一緒にいる」だけが友人関係じゃない
久しぶりの女2人旅の結末は「疎遠」でした。しかしこれは、複雑になりすぎてしまったお互いの友情を一旦リセットするための儀式なのだと沙織は理解します。
いつも一緒にいるだけが、友人関係ではありません。それぞれ自分の人生を見つめ直し、しっかり歩んだ友人同士なら、きっと時間が経っても繋がれるはず。そんな姿を教えてくれた2人の女性の物語でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。










