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🔴【第1話から読む】穏やかな日常に忍び寄る、友人親子という“嵐の予感”
壊れたテレビを前に尚子が放ったのは「対策してないのもお互い様」という衝撃の責任転嫁だった。謝罪もなく去る尚子。呆然とする美智に対し、帰宅した夫・照也は「これは泣き寝入りだ」と毅然とした態度を見せる。
テレビが壊れた瞬間、家は凍りついた
静まり返ったリビングに、えまの泣き声が響きました。突然の大きな音と、無残に壊れたテレビに驚いたのでしょう。
「……あーあ、壊れちゃった。これ、高いやつ?」
尚子が最初に口にしたのは、心配でも謝罪でもなく、値踏みするような一言でした。
私は震える手でテレビに駆け寄ります。電源ボタンを押しても、赤いランプが虚しく点滅するだけ……。
画面は完全に沈黙していました。
「駆! ダメでしょ、暴れちゃ。ほら、美智に『ごめんね』は?」
「ごめんねー」
駆くんは全く反省した様子もなく、また別の場所でおもちゃを振り回し始めました。
尚子は私の方を向き、申し訳なさそうに眉を下げて言いました。
「本当にごめんね、美智。でもさ……」
続いた言葉に、私は耳を疑いました。
「正直、小さい子がいる家でテレビをそのまま置いておくのも危ないよね?対策してないのも、お互い様っていうか……。うちは保護パネル貼ってるし、壁掛けにしてるよ? こういう事故って、いつか起きるものだしさ!」
悪いのは、対策しなかった私?
「え……?」
私は絶句しました。我が家の娘たちは、テレビに触れてはいけないと言えば守れる子たちです。
おもちゃを投げつけるなんて、私たち夫婦には想像もできない出来事でした。
それなのに――まるで「対策していない方が悪い」と言われたようで、胸の奥が冷たくなるのを感じました。
「……とにかく、今日はもう帰るね。駆も疲れちゃったみたいだし。また連絡する!」
尚子はそれだけ言うと、嵐のように帰っていきました。
後に残されたのは、壊れたテレビと、泣き止まない娘たち。そして、ただ立ち尽くす私だけでした。
夫の一言が、胸に刺さった
夜、仕事から帰宅した夫の照也に、今日の出来事を話しました。
「……それで、尚子さんはなんて?」
「『対策してないのも悪いよね』って。弁償の話は、一言も出なかった」
照也の表情が、はっきりと険しくなります。普段は私以上に温厚で、滅多に怒らない人です。
「それはおかしいよ。子どもがやったことでも、親には責任がある。しかも、自分の家から持ってきたおもちゃで壊したんだろ?」
「でも……同じ学区だし、小学校も一緒になるかもしれない。強く言って、揉めるのは怖くて……」
私がそう言うと、照也はそっと肩を抱きました。
「美智が優しいのは知ってる。でもね、これは“優しさ”じゃない。“泣き寝入り”だよ。僕が間に入る。きちんと話をしよう」
夫のまっすぐな言葉に、私は小さく頷くことしかできませんでした。
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あとがき:“お互い様”という便利な逃げ道
壊した側が口にする「お互い様」という言葉ほど、理不尽に響くものはありません。非を認めず責任をぼかす尚子の態度に、怒るより先に言葉を失う美智の気持ちは、とても現実的です。それでも夫の「それは優しさじゃない」という一言が、立ち止まっていた心に小さな光を灯した回でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










