🔴【第1話から読む】アプリで出会った「運命の夫」しかし夫は二時間前にあのアプリにログインしていて...
アプリ内で「独身の一人暮らし」と嘘を吐き、まどかを口説く亮平。隣でポテトチップスを食べる夫が、画面越しに別人として甘い言葉を吐く。憤りを抱えながら、りかこは彼を誘い出し、ついに密会の約束を取り付ける。
マッチングした夫とのやり取り
マッチングした直後、リョウからメッセージが届いた。
『はじめまして! まどかさん、雰囲気すごく素敵ですね。僕も年下の元気な子と話したかったんです』
スマホを見つめる私の口元が、歪んだ。 (「年下の元気な子」ですって? 私には「落ち着いた大人の女性が好き」って言ってたじゃない)
私は静香と作戦を練りながら、返信を打つ。
「まどか:はじめまして! うれしいです。リョウさん、お写真から優しそうなオーラが出てて気になっちゃいました」 「リョウ:よく言われます(笑)。仕事は広告系で、今はちょっと刺激が欲しくて。まどかさんは、どんな出会いを求めてるんですか?」
隣で「独身で一人暮らし」だと嘘をつく夫
仕事が広告系? 嘘。彼はただの公務員だ。見栄まで張っている。私は怒りを通り越して、なんだか滑稽に思えてきた。私は彼が喜ぶツボを完璧に突いていった。
趣味の話、好きな食べ物の話、休日の過ごし方。
「まどか:実は私、ちょっとワケありの恋愛にも興味があって……リョウさんは独身ですよね?」
心臓がバクバクする。
「リョウ:もちろんです。今は一人暮らしで、ちょっと寂しいなと思ってるところで」
……一人暮らし? 今、私の隣のソファでテレビを観ながらポテトチップスを食べている男が、スマホの中で「一人暮らしの寂しい男」を演じている。
「ねえ、亮平。何笑ってるの?」
私はスマホを置き、彼に声をかけた。
「え? ああ、ショート動画が面白くてさ」
彼は画面を隠すようにして笑った。その画面に映っているのは、動画ではなく私(まどか)とのトーク画面であることを、私は知っている。
ついに夫からお誘いが…
やり取りは数日間続き、ついに彼から「その日」が提示された。
「リョウ:来週の水曜日の夜、会えませんか? まどかさんとどうしても直接話してみたいんだ。もしよければ、その後……ゆっくりできる場所に行きませんか?」
「ゆっくりできる場所」――ホテルに誘っているのだ。水曜日は私がいつもヨガ教室に行っている日だ。彼は私がいない隙に、完璧な密会を計画したつもりなのだろう。
「静香、食いついたわ。水曜日の夜、セックスもする気満々よ」
電話越しに、私は冷たく笑った。
「最高に惨めな思いをさせてやろうじゃない。りかこ、準備はいい?」
「ええ。とびきりの『絶望』をプレゼントするわ」
🔴【続きを読む】「とびきりの絶望をプレゼント」水曜日のドタキャンと、追い詰める言葉
あとがき:隣にいる「独身男」の滑稽
スマホの画面越しに繰り広げられる、夫婦の皮肉な対話。広告系勤務で見栄を張り、一人暮らしの寂しさを演出する亮平の姿は、怒りを通り越して滑稽ですらあります。一番近くにいるはずの妻が、実は牙を剥いた獲物であるとも知らず、鼻歌混じりに浮かれ飛ぶ彼。この「情報の非対称性」が生む歪なスリルが、物語の毒気を一層強く、魅力的なものにしています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










