🔴【第1話から読む】アプリで出会った「運命の夫」しかし夫は二時間前にあのアプリにログインしていて...
決戦の水曜日。待ち合わせ場所でまどかを待つ亮平に、りかこは正体を隠したまま「あなたの正体を知っている」と引導を渡す。逃げるように帰路につく夫。りかこは静香と、彼が味わう絶望を冷ややかに見届ける。
ソワソワうれしそうに支度をする夫
約束の水曜日。亮平は朝からどこかソワソワしていた。
鏡の前で入念に髪をセットし、私が選んだのではない、少し高価そうなシャツを選んで着ていった。
「今日は仕事、遅くなりそう?」
「ああ、ちょっとプロジェクトの打ち合わせが長引きそうでさ。夕飯は適当に済ませてくるから、先に寝てていいよ」
「分かった。頑張ってね、亮平」
私は彼を笑顔で送り出した。その足で、私は静香の家へ向かった。
いざ、決行のとき
夜の19時。待ち合わせ場所は、隣駅のホテルの近くにあるカフェ。
亮平から「まどか」へメッセージが入る。
『今、着いたよ! 紺色のジャケットを着てる。楽しみにしてるね』
私たちはその画面を見ながら、コーヒーを飲んでいた。
「さて、第一弾いこうか」 私は「まどか」として返信した。
「まどか:ごめんなさい! 急に仕事が入っちゃって、少し遅れそうです。30分だけ待っててもらえますか?」
「リョウ:全然大丈夫! ゆっくり気をつけてきてね」
30分後、さらに30分。そしてさらに1時間。
亮平から届くメッセージは、次第に焦りを含んでいった。
『まどかさん、大丈夫? 何かあった?』
『もう2時間経つけど……連絡だけでもほしいな』
GPS(夫の同意済み共有アプリ)を確認すると、彼は律儀に待ち合わせ場所の周辺をうろうろしている。目に見えて落ち込んでいる姿が目に浮かぶ。
用意していた爆弾を投下
「そろそろいいかな。トドメを刺すわよ」
私は震える指で、あらかじめ用意していた「シナリオ」を送信した。
「まどか:本当にごめんなさい。実は……リョウさんのこと、私知ってるんです」
「リョウ:え? どういうこと?」
「まどか:私、リョウさんの奥さんの友達なんです。りかこさんのこと、知ってますよね?」
一瞬で、既読がついた。そして、それきり返信が止まった。 私はさらに追い打ちをかける。
「まどか:既婚者ですよね。意外とこういうのって、どこからかバレるもんですよ。離婚したくないなら、こういう遊びはやめたほうがいいですよ。奥さん、すごくあなたのこと信頼してるみたいですから。……今回は、奥さんには黙っておいてあげます。これが最後の警告です」
数分後、GPSのドッとが動き出した。猛スピードで自宅方向へ向かっている。 私は静香とハイタッチを交わした。
「見た!? あの逃げ足の速さ!」
「でも、これで終わらせないんでしょ?」
「ええ。一生消えない『監視の目』があることを、彼に分からせてやるわ」
あとがき:姿なき審判の鉄槌
あえて正体を明かさず、「妻の友人」という第三者を装って警告する。この「誰にバレたかわからない」という恐怖こそが、逃げ場のない監獄の始まりです。亮平が必死に逃げ帰る様子をGPSで眺めるりかこの視線は、もはや愛情ではなく、冷徹な観察者のそれ。肉体的な不倫に至る前に、精神をじわじわと削り取る。これこそが、賢い妻が選ぶ最も残酷でエレガントな復讐劇でしょう。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










