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「あのころ俺…」台風の夜、元夫からの告白…私が選んだ"未来"とは|シングルマザーの揺らぐ心

元夫の不倫をきっかけに離婚し、5歳の息子を育てるシングルマザー・真由。おだやかで誠実な恋人・直人と出会い、前を向き始めていたはずなのに、父親として変わっていく元夫の姿に心がゆれて…。離婚後の元夫婦の変化について描いた作品、『シングルマザーの揺らぐ心』最終話をごらんください。

PIXTA

🔴【第1話から読む】離婚後、父親らしくなった元夫と優しすぎる恋人…2人の男の間で揺れる本音

直人への“物足りなさ”と、健吾との過去の思い出の間でゆれる真由。だが、親友・美咲の言葉に背中を押され、真由は自分が求める未来へと手を伸ばし始め…。

台風の夜、元夫からの謝罪

雨 夜 リビング PIXTA

その日は、健吾が家に泊まることになった。台風で電車が止まり、帰れなくなったからだ。

陽向は「パパとねる!」と大はしゃぎで、布団にもぐり込み、あっという間に眠ってしまった。

リビングに戻ると、静けさが広がる。久しぶりに、健吾と2人きりだった。

「……なんか、変な感じだな」

健吾が苦笑する。

「……だね」

お互い、少し距離を保ったままソファーに座る。テレビもつけず、ただ雨音だけがひびいている。

「この家、やっぱ落ち着くな」

健吾がぽつりと言った。

「……前はさ、俺、ちゃんと見てなかったんだよな」

私はだまって聞く。

「真由がどれだけがんばってたかも…陽向のことも…」

しばらく沈黙が続いたあと、健吾は深く息を吐いた。

「……ごめん」

その一言は、思っていたよりもおもかった。

「…不倫のことも、あのころの態度も。俺、本当に最低だった」

いつも不機嫌だった。私の不安を笑って軽んじた。陽向が熱を出しても、飲み会を優先した夜──。

全部、全部、胸の奥に残っている。でも…

「もう、過ぎたことだから」

自分でもおどろくほど、静かな声だった。

ゆるしたわけじゃない。忘れたわけでもない。ただ、それにしばられて生きる時間は、もうおわりにしたいと思った。

私が選んだ答え

Ⓒママリ/画像の生成にAIを活用しています

私は手のひらをぎゅっと握った。

(言うなら……今だ)

そう決心し、私は深く息を吸って口を開いた。

「健吾さ、私ね……」

健吾が顔を上げる。

「直人さんと、結婚しようと思うの」

言葉にした瞬間、胸が少しだけふるえた。

健吾はほんの一瞬、目を見開いた。それから、ほんの少しの間、沈黙した。雨音だけが、2人の間を埋める。

「……そっか」

健吾はさっきと同じように、目を伏せた。ひと呼吸置いて、彼は私に視線を向けて言った。

「よかったな…」

その声はおだやかだった。でも、その言葉の奥にある、ほんの少しの切なさに、胸がきゅっと締め付けられた。

(もしも…あの時、不倫なんてなかったら…)

──そんな“もしも”が、一瞬よぎる。

でも、私は健吾の目をまっすぐ見た。もう迷いはない。あの日、美咲に言われた言葉が背中を押してくれた。

──安心してるってことなんじゃないの?

私が選びたい未来はそっちだ。

「陽向の父親であることは、これからも変わらないよ」

そう伝えると、健吾は小さく笑った。

「あたりまえだろ?」

あたらしい家族のかたち

パパ ママ リビング 幼稚園 息子 PIXTA

それから数か月後──。

「真由さんと陽向と家族になりたい」

直人から、改まった顔で言われた。

派手な演出はなかった。でも、その言葉はまっすぐだった。

「よろしくお願いします」

私は笑顔でうなずいた。このことを陽向にも話した。

「なおとくんといっしょにすむの?」

と、首をかしげながらも、最後は笑っていた。どうやら心配はいらないようだ。

あたらしい生活は、おどろくほどおだやかだ。

朝、同じ時間に起きて、同じ食卓を囲む。小さなことで言い合いになっても、ちゃんと話し合える。どなり声も、不安で眠れなくなる夜もない。

ふとした瞬間、あの夜の健吾の表情を思い出すことがある。

切なげで、少し寂しそうで、胸が痛む──。

でも、それは後悔じゃない。あれは、私が一つの人生を閉じた証。そして、あたらしい人生を選んだ証。

陽向がリビングで笑っている。直人が、そのとなりで静かに見守っている。

その光景を見ながら、私は思う。

(もう、ゆれていない)

選んだのは、刺激的な生活じゃない。たしかに“幸せ”だと、胸を張って言える未来だ。

🔴【1話から読む】離婚後、父親らしくなった元夫と優しすぎる恋人…2人の男の間で揺れる本音

【全話読む】
シングルマザーの揺らぐ心

あとがき:“選ぶ”という強さ

人生には、正解が一つに決まらない選択があります。たのしかった過去も、傷ついた記憶も、どちらも本物。その上で、「これから」を決めるのは、勇気のいることです。

真由が選んだのは、胸が高なる刺激ではなく、毎日を安心して過ごせる時間でした。

ゆれた時間があったからこそ、彼女は胸を張って言えるのでしょう。“これが私のしあわせだ”と。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

🔴【全話読む】シングルマザーの揺らぐ心

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