🔴【第1話から読む】人手不足の喫茶店でママ友を採用→かえって増えてしまった【悩みごと】|ママ友を雇ったらもめた話
息子のためにホットケーキを作るも、大失敗してしまったみやこ。りほにとっては予想通りでしたが、みやこの息子の反応は…?
ぐちゃぐちゃホットケーキ、それでも…
「……はい、お待たせ。ちょっと形は崩れちゃったけど」
みやこさんが気まずそうにみつるくんの前に置いたのは、メニュー写真とは似ても似つかないホットケーキでした。ホイップクリームで誤魔化そうとした形跡はありますが、それも熱でドロドロに溶けてしまっています。
かたら、隣に並んだ私が作ったりオムライスとミックスジュースは普段通りのお店仕様だっただけに、その差は際立っていました。みつるくんは、テーブルに置かれた皿をじっと見つめました。期待に満ちていた彼の瞳が、一瞬だけ驚きと戸惑いに揺れたのを、私は見逃しませんでした。
みやこさんは顔を真っ赤にし、言い訳を並べ始めました。
「ごめんね、みつる。本当はもっと上手く焼けるんだけど、今日は調子が悪いみたい。りほさんはずーっと長くここでお料理してるけど、ママはまだ少しの期間だから…ね?」
彼女は最後まで、自分の未熟さを認めようとはしません。店内には気まずい沈黙が流れました。りおんも心配そうにみつるくんの顔を覗き込んでいます。
さすがに私もちょっと意地悪だったかと思い「作り直そうか?」と声をかけようとしましたが、それを遮ったのは、みつるくんの「いただきます」の声でした。 彼はフォークを手に取り、ぐちゃぐちゃになった生地の端っこを一口食べました。そして、もぐもぐとした後、母親に向かってにっこりと笑ったのです。
「ママ、写真とは違うけど、これ、ママのホットケーキだからおいしいよ。ママが頑張って作ってくれたからおいしいよ」
子どもの声で、解けていく心
子どもは親が思っている以上に、親のことを見ています。そして、どんなに不器用であっても、親が自分のために注いでくれた愛情を、そのまま受け取ろうとしてくれるのです。 しかし、みつるくんの優しい言葉が、みやこさんの胸を深く突き刺したようでした。
みやこさんは、一言も発することができずに立ち尽くしていました。自分のこれまでの仕事ぶりが、このぐちゃぐちゃのホットケーキに凝縮されていることに、彼女は気づいたのかもしれません。
メモを取らず、自分勝手に振る舞い、面倒なことから逃げ続け、同僚をバカにしてプライドを守ってきた自分。そんな自分が作った失敗作を、息子は「おいしい」と言って食べている。
みつるくんは結局、ホットケーキを完食しました。それを見守っていたみやこさんの瞳には次第に涙が溜まっているように見えました。
「ママ、ごちそうさま。かっこよかったよ」
みつるくんが皿を差し出した時、みやこさんは消え入りそうな声で「……ありがとう」とだけ答え、裏の洗い場へと逃げるように去っていきました。私はその背中を追いかけませんでした。今、彼女の心の中で起きている化学反応を、邪魔してはいけないと感じたからです―――。
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あとがき:誰よりも大切な子どもの言葉だからこそ
みつるくんの言動に、みやこも感じる部分があったのでしょう。果たして彼女は何を思っているのか気になりますね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










