🔴【第1話から読む】「赤ちゃんの名前の候補、考えてきたから!」逆マタハラ先輩の凶行
部長から明かされたのは、後藤さんが過去にも同様のトラブルを起こしていた事実だった。かつて「双子の片方を頂戴」と後輩に迫った戦慄の過去。会社は彼女に厳重注意を下し、後藤さんは激昂しながらも居場所を失っていく。
被害者は私だけじゃなかった
「初めてじゃない……んですか?」
私は耳を疑いました。
川島部長は苦渋に満ちた表情で頷きました。
「ああ。2年前に産休に入った佐々木さんも、実は同じような悩みを抱えていたんだ。ただ、彼女の場合はここまで執拗ではなかったし、当時は『少し熱心すぎる先輩』という扱いで終わってしまった。でも、最近の後藤さんの行動は、明らかに常を逸している」
部長は、私が知らない「後輩の青木さん」から聞いたという驚愕のエピソードを教えてくれました。
青木さんが妊娠した際、後藤さんは今と同じように付きまとい、おなかの出方を見てこう言い放ったそうです。
「ほんとにおなか出てきたね!これ、2人いるんじゃない?」
「いえ、1人ですよ」と青木さんが答えると、後藤さんは真顔でこう続けたといいます。
『あら、1人隠れてるのかもね。もし双子だったら、大変でしょ?1人私に頂戴。私が育ててあげるから。ねえ、いいじゃない。私なら完璧に育てられるわよ。1人もらってあげるって言ってるのよ?』
上司が真摯に受け止めてくれた
その話を聞いて、私は全身に鳥肌が立ちました。 冗談で済ませられる内容ではありません。彼女の「子どもが欲しい」という執着は、他人の家庭を破壊しかねない危うさを秘めていたのです。
「阿部さん、安心してほしい。これは明確な『マタニティ・ハラスメント』であり、プライバシーの侵害だ。幸い、君が証拠をしっかり残してくれた。それに、過去に彼女の言動で不快な思いをした社員数名が、すでに会社に対して連名で抗議文を出す準備を始めているんだ」
「皆さん、そんなに……」
「彼女は仕事はできるが、この問題に関しては深刻だ。会社としても、これ以上放置すれば訴訟問題になりかねないと判断している。今日、これから彼女を呼び出して、厳重注意と勧告を行う」
ついに呼び出された先輩
その日の午後。会議室に呼ばれた後藤さんの怒鳴り声が、微かにオフィスに漏れ聞こえてきました。
「私はただ、良かれと思って!あの子が不安そうだから、プロの私が助けてあげようとしただけなのに!どうしてそれが悪いのよ!」
でも、部長の声は冷静でした。
「後藤君。君の『親切』は、相手にとっては恐怖でしかないんだ。エコー写真の強要や、食事の没収は、業務命令でもなんでもない。ただの嫌がらせだ。いいか、これが最後だ。次に誰かから相談があったら、降格、あるいは減給。場合によっては懲戒解雇も検討する」
部長は、過去に彼女から被害を受けた人たちが、弁護士を通じて法的措置を検討していることまで伝えたようです。
会議室から出てきた後藤さんは、顔を真っ赤にして、私の方を一度も見ることもなく席に戻りました。そして、そのまま荷物をまとめて、早退していきました。
私はデスクで、小さく息を吐きました。 ずっと胸に詰まっていた塊が、少しだけ溶けていくような感覚でした。
🔴【続きを読む】明るい未来へ!マタハラ先輩の処罰と取り戻した平穏
あとがき:執着という名の孤独な怪物
後藤さんの「一人頂戴」という発言には、背筋が凍るような戦慄を覚えます。彼女の根底にあるのは、子どもへの純粋な愛ではなく、満たされない欠乏感からくる執着だったのでしょう。他人の子どもを自分の所有物のように錯覚してしまう心の闇。それはあまりに深く、独りよがりなものです。会社が「マタハラ」として毅然とした対応を取ったことは、歩美さんだけでなく、過去の被害者たちにとっても大きな救いとなりました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










