30歳の美恵子は、節約に執着する夫・庸介と二人の娘と暮らしている。しかし夫は、家族に内緒で株にのめり込み、数百万もの貯金を溶かしていた。センス皆無の投資を「運用」と言い張る夫に、美恵子は不安を募らせる。
節約夫の趣味は株
こんにちは、美恵子といいます。30歳、絶賛子育て奮闘中のママです。 4歳の長女カンナと、1歳になったばかりの次女リイナ。この子たちの笑顔を守るためなら、なんだってできる。そう思って毎日を過ごしていますが、正直、今はもう頭がパンクしそうです。
原因は、夫の庸介。32歳、一見すると真面目な会社員です。
「美恵子、そのスーパーの卵、あっちの店より10円高いよ。次からはあっちで買って」
「外食? もったいないだろ。家でうどんでも茹でれば数十円で済むのに」
口を開けば「節約、節約」。自分の小遣いも切り詰めているのかと思いきや、彼には私に内緒で続けている「趣味」がありました。それが、株式投資です。
大損しても「株は運用だ」と辞めないと夫
「また株見てるの? 前に大損して、もうやめるって約束したよね」
私が問い詰めると、庸介はスマホを隠しながら鼻で笑います。
「これはギャンブルじゃない、運用だよ。家計を豊かにするためにやってるんだ。お前にはわからないだろうけど、優待目当てのチマチマしたやつじゃなくて、一気にドカンと稼がないと意味がないんだよ」
「その『ドカン』で、今まで何百万溶かしてきたと思ってるの? 前に車を買い替えようとした時、頭金が出せなかったのは誰のせい?」
「……それは、たまたま地合いが悪かっただけだ。次は必ず上がる。今は『買い時』なんだよ」
庸介には、驚くほど株のセンスがありません。 素人が下手に手を出して、暴落してはパニックになって損切り。上がってきたら焦って高値で掴む。典型的な負けパターンを繰り返しているんです。 ある程度、余剰資金の範囲内でやってくれるなら私も目をつむります。
父親が大好きなわが子たち…
でも彼は、家族の将来のための貯金にまで手を出す。
「カンナとリイナの教育資金には絶対に手を付けないで。お願いだから」
「わかってるよ、しつこいな。もう買わないって言ってるだろ」
そう言って、彼はまたスマホに目を落とす。その指先が、家族の幸せを削り取っていることにも気づかずに。
私たちの新居は、2年前に建てたばかり。広々としたリビングで、カンナが「パパー!」と庸介に抱きつく姿を見るたび、私の心は揺れました。
「こんなにパパが大好きなんだから、父親を取り上げるわけにはいかない……」
でも、その甘さが、さらなる地獄を招くことになるとは、この時の私はまだ確信していませんでした。
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あとがき:幸せを削る「節約」の正体
自分には厳しい節約を強いるくせに、裏では大金を溶かしている……。この裏切りほど、妻として、母として許せないことはありません。投資自体が悪ではありませんが、家族の未来を「ギャンブル」のチップにしてしまう庸介の身勝手さには、怒りを通り越して悲しみさえ覚えます。物語の冒頭から、美恵子さんの「パンク寸前」な心の叫びが痛いほど伝わってきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










