🔴【第1話から読む】親友の夫がマチアプに!真実を話すつもりが、最悪のタイミングで発覚した"事実"
数か月後、博嗣は献身的な夫へと激変。紀子の監視はつづくが、優菜は夫の変容を「愛」だと信じ、しあわせをかみしめる。紀子は真実をかくしつづけることにまようが、佐代子の言葉にすくわれ、秘密を墓場まで持っていく覚悟を決める。
しあわせそうな親友
博嗣さんとの対決から、数か月がたった。
優菜のおなかはさらに大きくなり、もうすぐ臨月を迎える。あれから、博嗣さんの様子は劇的に変わったようだ。
「ねえ紀子、聞いて。最近、博嗣さんが定時で帰ってくるようになったの!お料理も勉強してくれて…私がうごけない時に、パパッとつくってくれるんだよ」
優菜からの電話は、いつもしあわせな報告であふれていた。博嗣さんは本当に、心を入れ替えたのかもしれない。
飲み会もパタリとやめ、週末は優菜と一緒にベビー用品を買いに行ったり、ウォーキングに付き合ったりしているそうだ。
「私、しあわせものだよね。あんなにステキな人と結婚できて…」
受話器越しの彼女の声は、かつてないほどはずんでいた。
証拠の出番がなく、安堵の日々
私は、時々アプリをチェックしている。
もちろん、あたらしいアカウントをつくって、彼が潜んでいないかを監視するために。 でも、彼は一度ももどってきていないようだ。
(「証拠」の出番は、今のところなさそうね)
そんなある日、佐代子さんとお茶をした。
「博嗣さん、本当に更生したみたいね。紀子ちゃんのあの時の迫力、すごかったもの」
「…これでよかったんですよね、佐代子さん。本当のことを言うのが友情なのか…だまっているのが友情なのか、ずっとまよっていました」
佐代子さんは私の手をそっと握った。
「正解なんてないよ。でも、今の優菜ちゃんの笑顔を守っているのは、まちがいなく紀子ちゃんの"黙る勇気"だよ。真実をつたえることが、常に最善とは限らない。特に、相手がいちばん守りたいものを守るためにはね…」
その言葉に、少しだけすくわれた気がした。
親友のしあわせを祈る
私は博嗣さんをゆるしたわけではない。
でも、彼が「良い夫」を演じつづけ、それが結果として、優菜のしあわせにつながっているのなら、それでいい。
「でも、紀子ちゃん。もし彼がまたバカなことをしたら……」
「その時は、容赦しません。この切り札を使って、地獄を見てもらいます」
これは、友情の証であり、同時に最も冷酷な武器…。
(優菜…あなたは何も知らなくていい。 博嗣さんが死ぬまで「理想の夫」を演じきってくれるなら、この秘密は私が墓場まで持っていくから)
空は高く、澄みわたっていた。 もうすぐ、あたらしい命が生まれる。
その子がわらい、優菜が微笑む世界を、私は陰ながら守りつづけるのだとつよく心に誓った。
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あとがき:沈黙は、究極の優しさか
「真実を伝えることだけが誠実ではない」という佐代子の言葉が、深く心に刺さるエピソードです。もし、優菜がすべてを知ったら、今のしあわせな家庭は一瞬で崩壊していたでしょう。
紀子が抱える秘密はおもく苦しいものですが、そのおかげで優菜の笑顔が守られているという皮肉な現実。博嗣が演じる「理想の夫」が、いつか本物に変わることをねがわずにはいられません。偽りから始まる平和であっても、今はそれを守り抜く紀子に拍手をおくりたいですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










