優太が児童相談所に連れていかれ、茫然自失の優子と浩介。親としての壁にぶち当たった二人は浩介の実家へ、相談に向かいますが…。
親未満の二人への叱責
優太がいなくなった家は、驚くほど静まり返っていました。
散らばったおもちゃ、食べかけの夕飯。つい数時間前まで、ここには家族の温もりがあったはずなのに。
私と浩介は、一言も交わさぬまま、朝を迎えました。
翌日、私たちは藁にもすがる思いで、浩介の実家を訪ねました。
義母は、地元でも評判のしっかり者です。浩介が荒れていた時期も、決して見捨てずに更生させた強い女性でした。
私たちは、起きたことをすべて話しました。仕事のストレス、喧嘩、そして優太が連れて行かれたこと。
話し終えると、義母は長い沈黙の後、深く溜息をつきました。
「……情けないね。本当に、情けない」
義母の声は、怒りというより、深い失望に満ちていました。
「母さん、俺だってわざとやったわけじゃ……」
「言い訳はやめなさい、浩介!」
義母がピシャリと言い放ちました。
「児相の職員さんが言ったことは、一文字だって間違っちゃいないよ。あんたたちは、自分たちの感情が一番なんだ。優太の気持ちなんて、これっぽっちも考えてこなかったんだよ」
私はうつむき、膝の上で拳を握りしめました。
「ヤンキーだったからとか、仕事が大変だったからとか、そんなのは親にならない理由にはなっても、虐待していい理由にはならない。あんたたちはね、『大人』になりきれていない子どもなんだよ。その尻拭いを、四歳の優太にさせてるんだ。恥を知りなさい」
義母の言葉は、刃のように私の心に刺さりました。
「自分たちの愚かさを、2人でとことん考えなさい。今のままじゃ、優太を返してもらったって、また同じことを繰り返すだけだよ。優太にとって、今のあんたたちは『パパとママ』じゃない。ただの『怖い大人』なんだから」
義母に一喝され、私たちはトボトボと自宅へ戻りました。
話し合った末の結論
「……俺、どうすればいいか分かんねえよ」
浩介がソファに顔を埋めました。
「離婚、する?」
私が震える声で尋ねると、浩介は勢いよく顔を上げました。
「冗談じゃねえ! 俺は、お前と一緒にいたい。優太と3人で暮らしたい。離婚なんて絶対しねえ」
「私も……私も、浩介と離れたくない。でも、このままじゃ優太が……」
私たちは、初めて「自分たちの問題」と正面から向き合いました。
愛し合っていることは間違いない。けれど、その愛の形が歪んでいたのです。
私たちは感情のコントロールの仕方を知りませんでした。気に入らないことがあれば声を荒らげ、力で解決しようとする。それが私たちの育ってきた世界の「ルール」だったからです。
「変わらなきゃ。絶対に」
私が言うと、浩介も強く頷きました。
「ああ。優太のために、まともな人間にならなきゃいけない。……もう、あんな悲しい顔はさせたくねえ」
私たちは、優太を取り戻すための、そして自分たちを作り直すための「計画」を立て始めました。
それは、これまで目を逸らしてきた「自分たちの弱さ」を認めるという、痛みを伴う作業でした。
カウンセリング、勉強、環境の改善。
やるべきことは山積みでした。けれど、やるしかない。
あの子の笑い声を、この家に取り戻すために。
🔴【続きを読む】「息子を取り戻す!」立派な親になるために、更生の道を歩みだした夫婦
あとがき:二人は前進できるのか?
自分たちの愚かさに改めて向き合うことができた二人。果たして優太のために、親として変わることができるのでしょうか?
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










