発達障害の子供にみられる4つの特徴
発達障害は心身の発達時期に生じる脳の情報処理の問題であり、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)などがあります。これらの障害は重複して出ることがあるため、同じ障害であっても症状の出方はそれぞれ異なり、年齢や発達状況によっても変化していきます。
発達障害がある子供の特徴は、「集団での遊びが苦手」、「他の子とコミュニケーションをとることが苦手」、「遊びをイメージすることが苦手」、「注意集中、運動面に問題がある」の4点。それぞれの特徴の程度には個人差があるほか、周りの状況によって特徴が多く見られたり、少ししか見られなかったりすることもあるようです。そのため、大人が障害の特徴を理解した上で、子供たちが理解できるようコミュニケーションをとることが大切です。
発達障害を持つ子供との関わり方
発達障害を持つ子供とうまく遊ぶためには、子供一人ひとりの特徴に合わせたかかわり方をすることが大切です。一緒に遊んでいてもうまく意思疎通ができないという場面もあるかもしれません。
例えば、子供のそばに行っても関心をしめしてくれない、周りに人がいるのに一方的な遊び方をする、一つの遊びに集中できず気が散りやすいなどの様子がうかがえる場合は発達障害の症状が出ている可能性があります。
そのような場合でも、大人が子供に精一杯の愛情をもって接しながら一緒に遊んだり、子供を温かく見守ったりするなど、一緒に活動をしていくことがとても大切です。
発達障害の特徴に合わせるためのポイント
- 発達の差を理解する
- 目からの情報を活用する
- 活動の始まりと終わりを明確にする
- 具体的かつ短い言葉で声掛けをする
- 禁止するのではなくほめる環境づくりをする
- 子供のこだわりやパターンや行動を利用する
- 子供が強く拒否する場合は感覚の問題を意識する
発達障害の子供は発達の進み方に差があり、得意分野と苦手分野が極端にはっきりとしていますが、発達のすべてに遅れが生じているわけではありません。
大切なのは、その子が持つ特徴にあわせてかかわりを持つということです。
発達障害の特徴にあわせて遊ぶためのポイント
- 子供の興味関心に沿って題材を選ぶ
- 子供が興味関心を示すものは本物を与える
- 大人も一緒に真剣に遊ぶ
- 状況に応じて遊びを変える
発達障害を持つ子供と遊ぶときに重要なことは、子供の様子をみながら子ども目線で体験すること、そして大人も一生懸命遊ぶことです。
子供の遊びだからとうわの空で「ながら遊び」をするのではなく、子供を尊重し遊びに集中しましょう。
発達障害を持つ子供は自分の関心があることには積極的に取り組む傾向にあります。固定観念にとらわれず、状況に応じながら大人が遊びを発展させていく必要があります。
子供と楽しく遊ぶ7つの方法
発達障害の有無にかかわらず「遊ぶ」ということは子供にとって非常に重要な行為です。「遊び」を通じて多くのことを体験することで心身の発達に大きく影響します。
子供との遊びを考えるときは、その子の発達度合い、興味関心を持てる遊びであるのか、感覚の特徴を理解できているかを十分に考慮する必要があります。7つのカテゴリーに遊びを分類し、解説します。
1.みて遊ぶ
発達障害を持つ子供は、視覚情報の認識が他の間隔と比べると得意な傾向にありますが、好みは両極端といえます。光っているものや動くものに興味や関心を持つ子供もいれば、極度に嫌う子もいます。
子供の特性を見極めて興味や関心のあるものを選んであげるとよいでしょう。また、遊びの中には、大人が興じる遊びをみて楽しむということもあります。
ただし、興味があるわけではなくただ見ているという場合もあるので、適度に声掛けをすることによって遊具などに関心を持たせるように誘うようにするとよいかもしれません。
万が一、子供がおかしな見方をしている場合は視覚的な問題が潜んでいる場合があるので病院を受診するようにしましょう。
2.聴いて遊ぶ
聴く遊びでは、楽器や音楽プレイヤーを使い音に合わせて体を動かしたり音を出すのを真似てみたりして遊びます。
日常生活では無意識のうちでさまざまな音を聞いています。発達障害を持つ子供の中には特定の音をひどく嫌がる子供もいます。
聴く遊びでは、子供にも受け入れやすいトーンの音を使うことで、聞き分けてほしい音と雑音の区別をしたり、聞いた音を繰り返し言えるようになったりする工夫をすることが大切です。
3.触って遊ぶ
発達障害では「触る」ということにも過敏に反応する子供がいます。感覚に対して極端に過敏であったり、鈍感であったりすることがあり日常生活に支障をきたすこともあります。
このような場合は遊びでも無理に触らせるようなことはしてはいけません。本人の努力ではどうにもならない部分なので、どのようにしたら一緒に遊べるのかということを考え、遊びを工夫する必要があります。
4.手先を使って遊ぶ
手先を使う遊びも、絵を描く、ハサミを使って切る等の触れる要素が含まれるため触れることに過敏に反応を示す子供は関心を向けにくいかもしれません。
子供が興味関心を示さないときや嫌がるときは、とにかく苦手なものを避け、子供が遊びに集中できるような環境づくりをすることが大切です。
そうすることで「できた」という成功体験を持ちやすくなります。
5.全身を使って遊ぶ
全身を使う遊びは、体のバランスを保つことにもつながります。遊び方によっては、体を動かすことでスポーツとしても楽しむことができます。
子供は、体を動かすことで外界からたくさんの刺激を受けて「歩く」、「走る」ということだけでなく、「体のバランスを保つ」、「みて動く」といった複雑な動きまでも習得していきます。
発達障害を持つ子供は、力の加減や調節が上手にできなことがありますが、体を動かすことに苦手意識のない子供であれば、関心のあることから誘ってみるとよいでしょう。
ここでも、あくまで子供が失敗感を持たずに取り組めて、かつ苦手意識を持たずに楽しみながら参加できることが大切です。
6.言葉を使って遊ぶ
言葉を使って遊ぶときは、子供自身の言葉の理解力に合わせて楽しく遊ぶという環境づくりが必要です。
遊びの中で一見言葉を理解しているように見えても、実際は理解できていないということもありますが、実物や写真をみせることで理解を助け、言葉でのやり取りを促していきます。
周囲の大人は、子供が自信をもって遊びに取り組めるようにかかわるようにして、子供がまたやりたいと思えるようにするのがポイントです。
7.何かに見立てて遊ぶ
通常子供はものを何かに見立てたり、「ごっこ遊び」をしたりすることで、イメージすることや人とのかかわり方などを身につけていきます。しかし、発達障害のある子供は人とかかわることや物事をイメージすることが苦手で見立て遊び等がうまくできないことがあります。
このような子供と遊ぶ場合は、子供自身が興味関心のあるものを使って日常生活を連想できるような遊びから始めます。生活を送る上でのルールを取り入れてより現実生活に近づけることで理解もしやすくなります。
よく子供を観察しながら大人も一緒に遊びましょう
遊びの中で子供はたくさんのことを習得していきます。
発達障害を持つ子供の場合、その症状からなかなか周囲から理解されなかったり、誤解を受けやすかったりするかもしれません。
ただ、大人のかかわり方次第で子供の発達における成長度合いも変わってきます。子供をよくみながら子供に合った遊びをえらび一緒に遊ぶこと、それが大人にとっても子供にとっても良い影響を与えることは言うまでもありません。
遊びの方法はいくつもありますが、子供に合った方法で楽しい遊び方を見つけられるとよいですね。
子供と楽しい遊びの時間を共有するために…
発達障害の有無にかかわらず「遊ぶ」ということは子供にとって非常に重要な行為です。「遊び」を通じて多くのことを体験していくのですが、どのような遊びでも大人のかかわり方次第で子供の心身の発達に大きく影響します。
発達障害とは何か、遊びとは何かを大人が理解し、状況に応じて適切な対応をすることが大切です。
「発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび」という本では、発達障害を持つ子供との遊び方についてカテゴリーごとに具体的な遊び方も紹介されているので是非参考にしてみてください。お子さんの好きな遊びもあるかもしれません。
本でご紹介している遊びはほんの一部ですが、子供との遊びが今以上に大人自身を「発達」させられるような機会となれば嬉しいですね。
- 木村常雄「発達障害のある子が楽しめる あんしんあそび」(すばる舎,2011年第1刷発行)