子供の行動に不安を感じる…発達障がいなの?
発達障がいの子供の共有点は、話し言葉のように目で見て確かめることができないものの意味を理解することが上手ではないことでしょう。コミュニケーションがうまくとれない、マイペースさが目立つ、生活習慣が身につきにくいなどが共通点だと言われています。
一方で、発達障がいの子供の多くは視覚的情報を理解することが非常に上手だと言われています。記憶力がよい、好きなことには粘り強い、色やマーク・形などに興味を持つなどが共通点で、目で見て理解することが得意なのです。
家族が子供のためにできる3つのサポートポイント
それでは子供が安心して適応し、生活し学ぶための環境には何が必要なのでしょうか。子供に合わせたサポートのあり方とはどのようなものなのでしょうか。
大きく捉えると、目で見て理解することが得意なので、理解しやすいように視覚的な手がかりを使ったコミュニケーションをとることが必要です。子供が「今自分は何をしたら良いのか」「それはいつ終わるのか」「次に何をするのか」が予測できるように、様々な視覚的な工夫をすることが大切。
では具体的に「場所」「時間」「活動」の3つのポイントで実践できるサポート方法を紹介します。
生活の「場所」を見直そう
子供が日々生活する家庭や保育園・幼稚園は、子供にとって安心できる場所になっているのかどうか、見直しましょう。安心して生活できる場所は、物や刺激が散乱しておらず、子供がリラックスできるスペースです。
1-1.物や刺激を整理する
物や刺激が多いと注意が散漫になってしまう子供の場合、日常生活の中で生じる音や光、水、匂いなどの何でもないような感覚刺激に対して敏感だったり、鈍感だったりすることがあります。
蒸し暑い気候に弱かったり、騒がしくて人の多い場所が苦手だったりすると、衝動的な行動をとってしまうことにつながるのです。安心して落ち着いた生活をしていくために、物や刺激を整理していきましょう。
1-2.場所と意味を一致させる
物や刺激を整理することができたら、子供が今、何をしたら良いのか、意味がわかるような環境作りをしていきます。
例えば、トイレは排せつをするところ、お風呂場は入浴するところのように、場所と意味が一致しているところは、そこが何をするための場所なのか、子供にわかりやすいのです。カーテン内は勉強の場所、カーテンの外は遊ぶ場所と、視覚的に分けると、勉強にも遊びにも、一つの物事に集中して取り組むようになります。
1-3.リラックスできるスペースを作る
興奮して気持ちが高ぶりやすい子供の場合には、お家の中に気持ちをリラックスできる場所を用意するとようでしょう。パニック状態になると、興奮して人をたたいたりする子供には、自分でリラックスして落ち着けるようなスペースがあるだけで、自分の感情をコントロールできるようになっていきます。
「時間」や物事の流れを伝えてあげましょう
子供の中には、今、何をすれば良いのか理解することが苦手で、周りの子供と違うことをしてしまう子供がいると思います。そのような子供には、1日の出来事がどのように流れていくのか見通しを伝えたり、変更や変化があった際には細やかに伝えたり、時間の経過を伝えたりすることが大切です。
2-1.見通しを伝える
1日の出来事がどのように流れていくのか、予測可能なように日課に伝えることで、子供の不安が軽減されると言います。
特に可視化したスケジュールは、何度でも見ることができるので、より安心することができます。子供の理解力に合わせて、物や写真、絵、文字などを使って事前に示すとよいでしょう。
2-2.変更や変化を伝える
生活の中で、天候や事故などの影響で、その日に予定していた活動を急に変更せざるを得ない場合が多々あります。遠足や運動会のような行事や、日々の外遊びなどが当てはまります。
集団行動が苦手な子供には、普段の生活パターンや予定していた日課や場所が、事前の予告なしに急に変更されてしまうと、それに対処することが難しいです。
変更時に突然、言葉だけで知らされても、何がどう変わり、何をしたら良いのか理解することができない恐れがあります。その子供がわかりやすい形で、具体的に何をするのかを伝えるようにしましょう。
2-3.時間の経過を伝える
時間の経過を捉えることは、子供にとって非常に難しいことです。そのため、今行っている活動から、次の活動に切り替えることが、なかなかできません。特に、子供が好きな遊びやゲームなどを行っていると、切り上げることができずに、次にやるべきことに切り替えられなくなります。
物事には必ず終わりがあり、その次の活動へとつながっていくのです。1日の見通しを立てた時に、決めた時間がきた際には声かけをしてお知らせをしたり、タイマーなどで時間が伝わるようにしてあげましょう。
3.「活動」の示し方や手順を考える
日々の生活の中で、朝起きたり、着替えたり、食事をとったりしますが、子供がいつまでも一人でできずに、成長を実感できていないママがいるのではないでしょうか。
大人にとっては、それらの活動がいつどのように始まり、いつ終わるのか明確になっていても、子供にとっては漠然としているのです。子供が日常生活で欠かせない活動を身につけていくためには、活動の始まりと終わりを明確にしたり、生活の中に習慣を作る必要があります。
3-1.活動の始めと終わりを伝える
子供の中には、日々行う活動がいつ、どのように始まって終わりになるのかが、わからないことがあります。そのような子供には、家族の方が始まりと終わりの形を見えるようにサポートすることが大切です。
例えば、毎朝の着替えはママが洋服を子供に渡すことでシャツから着替えを始め、着替えが終わったら椅子に座って朝食を待つなどのように、始まりと終わりの形をわかりやすくして、次の活動に切り替えられるようにしてあげましょう。
3-2.生活の中に良い習慣を作る
子供の時期から、生活の中に良いパターンや習慣を身につけていくことは、暮らしやすさにつながります。理由が理解できなくても、食事の前には手を洗うなどの習慣を作っておくことが大切です。
将来的に変わらない良い習慣は、幼い頃からきちんと身につけておくと、生活がうまく回っていきます。
3-3.手順の示し方は「左→右」「上→下」に統一する
日本人の生活では、ほとんど全てのものにおいて、横書きならば左から右に、縦書きであれば上から下に読んだり書いたりしています。カレンダーも左から右へ、上から下に見ていきます。
大人には、当たり前のことですが、子供の場合は自分の見たいところを見ているため、見方を教えてあげないと子供の好きなように読み取ってしまいます。
スケジュールや手順書の作り方も「左→右」「上→下」に統一したり、順番を表す数字を入れたりすることで、子供は活動の始まりを正しく認識することができるのです。
子供の性格や成長に合わせて、家族でサポートしてあげましょう
発達障がいの有無に関わらず、子供の中には家族や大人のサポートなくしては、成長することが難しい物事があります。
できない子供にストレスがたまって怒鳴ってしまい、冷静になった時に自己嫌悪になってしまうママもいるのではないでしょうか。
生活の中で、子供がうまく物事を身につけていくことができずに、悩んでいるママは今回ご紹介したようなポイントと工夫点を参考に、取り入れてみてはいかがでしょうか。怒鳴って押し付けることは、ママにとっても子供にとっても理想的ではありません。子供の成長や性格に環境や伝え方などを合わせてあげると良いですね。
成長の遅れを感じても、焦らず自分たちのペースで生活しましょう!
成長のペースは子供によって違うもので、身につけ方もそれぞれです。周りの子供ができていても焦ることはありません。発達障がいであろうとなかろうと、ご家族などの大人が子供に寄り添い、共に生活していくことは大切なことです。
その中で、発達障がいだと不安を感じる場合は、お医者さんに相談し、発達障がいについて理解を深めましょう。発達障がいをもつ子供の共通点は、目で見るものの理解度の高さです。日々の生活をする上で、視覚的に情報を伝えてあげられるよう意識すると、子供が安心して成長できる環境を整えることができるでしょう。
『発達障害の子ものびのび暮らせる生活サポートブック 幼児編』という本では、発達障がいの子供の特徴や、生活の中で大人ができるサポートの方法が丁寧に紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
本で紹介されている内容をもとに、子供のできることが一つずつ増えて、家族で一緒に成長を実感できるようになると良いですね。