子供と上手に遊ぶことができないママへ
大人が子供と一緒に「楽しく遊べた」と感じる時は、「一緒に活動できた」「お互いに楽しいな」と遊びを通じて感情の交流ができた時ではないでしょうか。子供が一方的に遊んでいたり、声をかけても関心を示してくれなかったりすると、せっかく子供と一緒にいても楽しい時間にならないですよね。
特に発達障がいの子供とは、親子で一緒に楽しく遊ぶことが難しく、悩んでいるママが多いと思います。
親と子供の間に溝が生まれてしまうと、一緒に遊ぶことを諦めてしまい、子供が一人で遊んでいる様子を見守るだけになってしまうこともあると思います。
しかし、そうなってしまうと、子供のためにもなりません。子供は、ママやパパと遊ぶことで愛情を確かめたり、社会性を身につけたりするなど、色々なことを学んでいきます。
一緒に遊ぶためにできること
親子で一緒に楽しく遊ぶためには、子供の興味や関心を親が理解してあげて、それに寄り添ってあげることが大切です。
中でも、発達障がいの子供には、集中力がない場合や、自分の興味がないものには反応しづらい場合があります。子供の興味や関心に寄り添うだけでなく、子供が安心して取り組める環境で遊ぶことが大切です。
お家遊びは、子供が普段生活している安心して過ごすことができる居場所の一つです。子供とうまく遊ぶことができない方は、安心して遊ぶことのできるお家で色々と取り組むことがおすすめです。
また、お家遊びは、雨の日でも取り組むことができるので、楽しみにしていた遊びが中止になることもないので、子供が混乱したり不安になったりすることもありません。
親子で楽しめる!お家遊びのアイデアをご紹介
子供によって、得意なこと不得意なことがあり、興味や関心は違うものです。手先を使った遊びが得意な子供もいれば、全身を使った遊びが得意な子供もいます。発達障がいの子供は、発達が凸凹な傾向にあり、得意なこと不得意なことに隔たりがあります。
様々な種類の遊びをご紹介していきますので、自分の子供に合いそうなものを考えてみてくださいね。
なんでも絵本(見る遊び)
©︎大葉リビ
この遊びは、お家にあるパンフレットや電話帳など自由な冊子を使って、親子で一緒に楽しむものです。数字やマークなど特定のものが好きな子供におすすめです。
また、鉄道が好きな子供には時刻表、車が好きな子供には車のパンフレット、甘いものやお菓子が好きな子供にはレシピ本など、子供の興味や関心に合わせて遊ぶことができます。
親子で話題を共有して、一緒に話をする機会を持つことができます。
準備するもの
- 見る素材(時刻表、電話帳、天気図、子供が好きなもののパンフレット、ロゴマークなど)
- 机とイス
- 本を入れる箱、またはトレー
遊び方
- 準備したもののうち、子供が関心を示したものを絵本の素材として取り上げます。素材を見せた時、子供が動き回っていても構いません。どれか一つに注目できるように、本をペラペラめくって見せましょう。
- 子供が注目したり、関心を持ったりしたものがあったら、それを見せながら机に置いて、イスに座ることを促しましょう。それができれば、自分から座れるようにイスを引いたりして座りやすいようにします。
- 子供がイスに座って見始めたら、大人はあまりうるさく声をかけるのではなく、黙って数字を指差して「これは!」とか「あっ!」といった注意を引く声かけ程度で様子を見ましょう。
- しばらく見て、飽きてきたら、見ていたものを用意しておいた箱やトレーに入れるように促します。入れられたら「本はおしまい」と言って、イスから離れて自由にさせます。
- 子供の関心のあるものが見つかれば、見てもいい時間や場所を決めておくと、子供も大人も安心して遊ぶことができます。
めくる時に「パタン、パタン」などの声かけをしたり、書いてあることを読み上げたりすると、子供は興味を示しやすくなります。声かけをしすぎると、子供はその場にいること自体が嫌いになってしまうので、注意を引くことができたら、ほどほどにしましょう。
取り組み始める前は、強制的に座らせるのではなく、子供の身体にあまり触れないように、イスを叩いたりして座るところを示すようにすると良いです。
この音なーんだ?(聴く遊び)
©︎大葉リビ
音楽や楽器が好きな子供におすすめの遊びです。集中して音や話を聞く能力を身につけるきっかけになります。
普段、音楽などに触れる機会の少ない子供でも、この遊びを通して、楽器や音楽に興味を持ち始めると良いですね。
準備するもの
- 楽器各2つずつ(タンバリン、鈴、マラカス、カスタネットなど)
- 楽器を入れるトレー
- つい立てなどの楽器が見えないようにできるもの
遊び方
- 子供用に、各楽器を1つトレーに入れておきます。もう1つの楽器を1つずつ見せながら音を出します。(子供が嫌がる音があれば、トレーの中から外しましょう。)
- 次に、トレーを子供の前に出して、もう一度楽器を見せながら音を出します。そして、子供がトレーの中から楽器を選んで音を出します。音を出し終わったら、楽器をトレーに戻すように示します。(子供が楽器を選べない時は、同じものを持たせて音を出します。)
- 子供が一通り楽器が選べたら、つい立てなどで楽器を隠して音を出し、子供に楽器を選んでもらいます。(「どれかな?」と言いながら音を出して、子供が関心を示せるようにします。)
- 子供が選べたら「同じだね」と見せて、一緒に音を出しましょう。終わる時は、最後の1回をやる前に「これで終わりにするよ」と宣言します。そして、終わりにして、楽器を見えなくなるように片付けます。
子供が楽器の音を出す時に、全ての楽器を取ろうとする場合、最初はトレーの中の楽器を1つにしましょう。それが取れるようになったら、楽器の数を少しずつ増やしていきます。
つい立ては、子供が寄ってきても倒れないように注意しましょう。子供がつい立てを覗き込んでしまう場合は、無理に止めるのではなく、覗き見た後にトレーから選ぶようにしていきましょう。また、家の中では、つい立ての代わりにテーブルの下やソファの後ろなどから音を出すこともできます。
ボトルキャップあそび(手先を使う遊び)
©︎大葉リビ
この遊びは、キャラクターや乗り物、動物などに関心がある子供と楽しめるものです。ペットボトルのキャップと仕切りのあるケースにシールを貼り付けて、キャップと同じシールが貼られているケースに入れていく遊びです。
子供が集中して取り組むことができ、全部できた時にハイタッチなどをして喜びを共有することができます。
準備するもの
- ペットボトルのキャップ15個程度
- キャップを入れておくトレー
- ピルケース(ペットボトルのキャップがちょうど入る程度に仕切ってあるもの)
- ペットボトルのキャップに貼れるシール15組程度(同じものを2枚ずつ)
遊ぶ前に必要な下準備
- ペットボトルのキャップと、ピルケースの底に用意したシールを貼ります。
- キャップとケースが一組ずつになるように、仕切られたマス分作ります。
遊び方
- まず、子供にモデルを示します。子供にペットボトルのキャップに貼ったシールをよく見せて、キャップをピルケースに入れます。
- 子供が関心を示すようなら、イスに座ってテーブルの上で取り組むように促します。そして、トレーに入れたキャップを示します。
- できなくて途中で止まってしまったら、指差しなどでヒントを出します。
- 全部入れ終わったら、「できた!」とハイタッチなどをして終わりになります。
子供にルールを理解してもらうためには、言葉で説明するのでなく、「これはここ」などとシールを見せながらにしましょう。できた時には、子供が頑張ったことを評価して、一緒に喜んであげることが大切です。
ペットボトルボーリング(全身を使う遊び)
©︎大葉リビ
身体を動かすことが好きな子供におすすめの遊びです。ペットボトルに向かってボールを転がすだけでも楽しめますが、スコア表を作成することで、数を数えたりルールを覚えたりしてさらに楽しむこともできます。
親子で交代しながら、遊ぶことで一緒に盛り上がることができます。
準備するもの
- 2リットルのペットボトル6〜10個
- 鈴(ペットボトルに入る程度の大きさのもの)20個程度
- ボール
- スコアを書く画用紙とマジック
- ビニールテープ
遊ぶ前に必要な下準備
- ペットボトルに鈴を2〜3個ずつ入れて、ボーリングのピンを作ります。
- スタートラインに、ビニールテープを貼ります。
- 3〜5回ほどのスコア表を作ります。
遊び方
- ペットボトルをボーリングのように並べて、大人がモデルを示します。
- 子供と交代して、投げてもらいます。子供の注意がそれてしまうようであれば、1投ずつで交代します。
- 倒れたペットボトルの本数を数えて、用意したスコア表に書き込みます。
- スコア表の最後の回になったら、「これでおしまい」と言って終了にします。さらに続ける場合は、新しいスコア表を作成して、最初から始めます。
モデルを示す時には、両手でボールを持って「3、2、1、0、発射!」などと言って、ゆっくり転がしましょう。子供が集中できそうであれば、2回投げますが、注意がそれるようであれば、1回で交代しましょう。
ルールを覚えて守ることが難しい場合は、無理に従わせずに子供がやりたいように挑戦させてあげるようにすることが大切です。
子供の意志を尊重して、一緒に遊びを楽しみましょう!
子供と一緒に遊ぶことは、信頼関係を築いていくことにもなります。そのためには、子供の興味や関心を理解して、安心して遊ぶことができる環境を作ることが大切です。
普段、子供とうまく遊べた実感があまりない方は、今回ご紹介した遊びを参考にしてみてくださいね。最初は、難しいこともありますが、少しずつ色々と試していくと、自然と子供の興味や関心を理解して、一緒に遊べるようになっていくと思います。
「発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび」という本では、発達障がいを持つ子供との遊び方についてカテゴリーごとに具体的な遊び方も紹介されているので是非参考にしてみてください。今回ご紹介したもの以外にも、お子さんの好きな遊びもあるかもしれません。
本でご紹介している遊びはほんの一部ですが、子供との遊びが今以上に大人自身を「発達」させられるような機会となれば嬉しいですね。